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第4章 3 クロード警部補の事情聴取 3
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「コリン君、君は今の生活を立て直したいと思っているんだね?」
クロード警部補は静かに尋ねた。
「当然ですっ!こんな底辺の生活から足を洗って‥もっと人間らしい生活をしたいですよっ!」
コリンは叫ぶように言う。
「そうか…実は君に提案があるのだが、さっきオルゴール工房の話が出たけど、君は本気で職人を目指したいと思っているかい?」
「俺…『カウベリー』に住んでいた頃、家の椅子やベンチを自分で作っていたんです。本当は工場でなんか働きたくなかった。俺は故郷で物造りの職人になりたかったんです。だけど、あんな火事事件のせいで俺はあの町に住みにくくなって…俺だけじゃない!ノラだってあの町から逃げるようにここへやってきたんだ!」
コリンの目には涙が浮かんでいた。
「そうか。君の話を聞いて良く分かったよ。コリン君、君はもうこの工場をクビになったんだろう?」
「は、はい」
「なら私はここで待っているからすぐに荷物をまとめてきなさい。これからある場所へ連れて行ってあげるよ」
クロード警部補は優しい笑みを浮かべて言う。
「は、はい…分かりました」
コリンは痩せ細った身体で立ち上がると、寝泊まりしている宿舎へと小走りにかけて言った。その後姿を見届けるとクロード警部補はポケットから煙草を取り出し、マッチで火をつけると口にくわえた。
「ふ~…」
口から煙を噴出しながら先ほどのコリンの話を思い出していた。
(それにしても…この工場の労働環境は酷い状態だったな‥これは一度上の方に報告するレベルだぞ。まして死者が出ているとなるとなおさらだ。全く酷いものだ‥何も知らない田舎の若者を騙し、いいようにこき使って…使えなくなると分かれば、まるでボロ雑巾のように捨てるのだからな。)
そしてクロード警部補は煙草を捨てると足もとで踏みつけて火を消し、目の前の工場を見つめた―。
****
ガラガラガラガラ…
走る馬車の中、コリンとクロード警部補は向かい合わせに座っていた。
「あ、あの…これから一体何処へ行くんですか?」
擦り切れたコートを羽織り、風呂敷に包んだ僅かな荷物を膝の上に乗せたコリンが尋ねた。
「ああ、実は君を紹介したい人物がいるんだよ」
「え?俺を‥?」
首を傾げるコリンにクロード警部補は言った。
「今から10年程昔の事なんだが‥当時の私はまだ駆け出しの刑事でね。ここの町でアヘンの取り締まりをしていたんだよ」
「?」
突如昔話を始めたクロード警部補にコリンは首を傾げた。
「それで、ある日のことだった。まだ当時20歳そこそこの若い男がアヘン取り締まりの罪で逮捕されたんだよ。彼は元工場の工員だったらしいが、辛い仕事がたまらず逃げ出したらしい。そして仕事を得る為にアヘンの密売人をしていて、我らの手によって逮捕された。」
「…」
コリンは黙って話を聞いている。
「彼の刑期は2年だった。そして刑期を終えて出てきた彼はまじめに生きる事を誓って…あ、ここで止めて下さい」
不意にクロード警部補は話の途中で御者に声を掛けた。そしてコリンに言う。
「着いたよ。降りなさい」
「は、はい」
風呂敷の荷物を抱えて降りた先は1軒のオルゴール工房だった。クロード警部補は馬車の代金として御者に銅貨5枚を渡すと、彼は頭を下げると走り去って行った。
「あ、あの…刑事さん。ここは?」
コリンは工房を眺めながら尋ねた。
「この店の主人はね、かつてアヘン取り締まりで逮捕された男の店なんだ。彼はこの店のオーナーで、人手不足に悩んでると言っていた。君の事を彼に紹介しようと思っているんだ。」
「ほ、本当ですかっ?!」
コリンの目が大きく見開かれた―。
クロード警部補は静かに尋ねた。
「当然ですっ!こんな底辺の生活から足を洗って‥もっと人間らしい生活をしたいですよっ!」
コリンは叫ぶように言う。
「そうか…実は君に提案があるのだが、さっきオルゴール工房の話が出たけど、君は本気で職人を目指したいと思っているかい?」
「俺…『カウベリー』に住んでいた頃、家の椅子やベンチを自分で作っていたんです。本当は工場でなんか働きたくなかった。俺は故郷で物造りの職人になりたかったんです。だけど、あんな火事事件のせいで俺はあの町に住みにくくなって…俺だけじゃない!ノラだってあの町から逃げるようにここへやってきたんだ!」
コリンの目には涙が浮かんでいた。
「そうか。君の話を聞いて良く分かったよ。コリン君、君はもうこの工場をクビになったんだろう?」
「は、はい」
「なら私はここで待っているからすぐに荷物をまとめてきなさい。これからある場所へ連れて行ってあげるよ」
クロード警部補は優しい笑みを浮かべて言う。
「は、はい…分かりました」
コリンは痩せ細った身体で立ち上がると、寝泊まりしている宿舎へと小走りにかけて言った。その後姿を見届けるとクロード警部補はポケットから煙草を取り出し、マッチで火をつけると口にくわえた。
「ふ~…」
口から煙を噴出しながら先ほどのコリンの話を思い出していた。
(それにしても…この工場の労働環境は酷い状態だったな‥これは一度上の方に報告するレベルだぞ。まして死者が出ているとなるとなおさらだ。全く酷いものだ‥何も知らない田舎の若者を騙し、いいようにこき使って…使えなくなると分かれば、まるでボロ雑巾のように捨てるのだからな。)
そしてクロード警部補は煙草を捨てると足もとで踏みつけて火を消し、目の前の工場を見つめた―。
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ガラガラガラガラ…
走る馬車の中、コリンとクロード警部補は向かい合わせに座っていた。
「あ、あの…これから一体何処へ行くんですか?」
擦り切れたコートを羽織り、風呂敷に包んだ僅かな荷物を膝の上に乗せたコリンが尋ねた。
「ああ、実は君を紹介したい人物がいるんだよ」
「え?俺を‥?」
首を傾げるコリンにクロード警部補は言った。
「今から10年程昔の事なんだが‥当時の私はまだ駆け出しの刑事でね。ここの町でアヘンの取り締まりをしていたんだよ」
「?」
突如昔話を始めたクロード警部補にコリンは首を傾げた。
「それで、ある日のことだった。まだ当時20歳そこそこの若い男がアヘン取り締まりの罪で逮捕されたんだよ。彼は元工場の工員だったらしいが、辛い仕事がたまらず逃げ出したらしい。そして仕事を得る為にアヘンの密売人をしていて、我らの手によって逮捕された。」
「…」
コリンは黙って話を聞いている。
「彼の刑期は2年だった。そして刑期を終えて出てきた彼はまじめに生きる事を誓って…あ、ここで止めて下さい」
不意にクロード警部補は話の途中で御者に声を掛けた。そしてコリンに言う。
「着いたよ。降りなさい」
「は、はい」
風呂敷の荷物を抱えて降りた先は1軒のオルゴール工房だった。クロード警部補は馬車の代金として御者に銅貨5枚を渡すと、彼は頭を下げると走り去って行った。
「あ、あの…刑事さん。ここは?」
コリンは工房を眺めながら尋ねた。
「この店の主人はね、かつてアヘン取り締まりで逮捕された男の店なんだ。彼はこの店のオーナーで、人手不足に悩んでると言っていた。君の事を彼に紹介しようと思っているんだ。」
「ほ、本当ですかっ?!」
コリンの目が大きく見開かれた―。
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