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第2章 27 衝撃的な再会
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だだっ広い部屋は隣のベッドとの間にカーテンの仕切りがない。それに外は12月だというのに部屋中の窓はところどころ開け放たれている。そして2人の患者は時折苦しそうに咳をしていた。
「ルドルフ・・どういう事かしら・・・?こんなに寒いのに窓が開いているなんて・・・。」
しかし、ルドルフはこの部屋の異常な様子から・・ある事に気づいていた。
「ヒルダ様・・マスクをしてください。僕もしますから。」
「え?ええ・・。」
ルドルフに言われたヒルダは素直にマスクをつけた。ルドルフもマスクをつけると言った。
「ヒルダ様、念の為にスカーフも鼻と口に巻いておいていただけますか?」
「わ、分かったわ。」
ヒルダはさらにスカーフを口元に巻くとルドルフもマフラーを口元に巻きつけた。
「ヒルダ様・・息苦しいかもしれませんが・・念の為です。少し我慢してくださいね。」
「ええ、私なら大丈夫よ。」
「では行きましょう。」
再びルドルフはヒルダの手をつなぐと、入り口側に近いベッドに近づいてみた。近づく程に咳は酷くなっている。
「ノラ・・・?」
ルドルフが小声で呼びかけると、毛布をかぶったままその人物は言った。
「ゴホッ・・・ゴホッ・・・私は・・ジョージーよ・・。」
「そうですか、すみません。」
「・・・。」
ルドルフは謝罪するも返事は無かった。
「行きましょう、ヒルダ様。」
ルドルフはヒルダに声を掛けた。
「ええ・・・。」
そして次に2人は一番左側のベッドへ向かった。
「ゴホッゴホッ!ゴホッ!」
壁際を向いて背中を見せている人物から苦し気な咳が聞こえてくる。
「ノラ・・・。」
ルドルフはそっと声をかけると、その肩が大きく動いた。
「え・・?誰・・?」
咳をしていた人物は向きを変えてルドルフとヒルダの方を向いた。
「ノ・・・ノラ・・!」
ルドルフはベッドの中の人物を見て息を飲んだ。痩せこけて、肌はすっかり青ざめていたが・・その顔にはノラの面影が残っていた。
「ま・・まさか・・ルドルフ・・?うっ!ゴホッ!」
ノラは手元にあったタオルで口を押えて咳をした。すると・・タオルに血が付くのが見えた。
「血・・・っ!」
ヒルダはノラが咳と同時に血を吐く姿を見て驚き・・・すぐに状況を理解した。
(そうだわ・・ルドルフはこの部屋の状況を見て・・すぐに理解したのだわ。それで・・私にマスクと口元を覆うように言ってきたのね・・?)
「ノラ・・・ひょっとして・・・・。」
ルドルフは静かに尋ねた。
「え・・ええ・・そうよ。結核よ・・・あんたたち・・うつるといけないから・・早く帰った方がいい・・わよ・・。」
ノラは荒い息を吐きながら言う。
「家族は?見舞いには来ないのかい?」
するとノラはフッと笑うと言った。
「家族・・・?みんな・・結核で死んだわよ。」
「「!」」
あまりの衝撃的な話でルドルフもヒルダも言葉を失った。
「こんな・・死にぞこないに今更・・何の用・・よ・・?」
ノラは荒い息を吐きながら尋ねてきた。
「ノラ・・君は具合が悪そうだから単刀直入に聞くよ・・。ヒルダ様を落馬させたのは・・グレースの入れ知恵だろう?それに・・教会の火事だって・・犯人はグレースだろう?」
「は・・?そんな事を尋ねにわざわざここへ・・?」
そして口元をグルグルに隠しているヒルダを見ると納得したかのようにうなずいた。
「ああ・・・今気づいたけど・・その人は・・ヒルダさんね・・・?ええ、そうよ・・。全部・・グレースのせいよ・・・私は・・あの女に・・人生を狂わされた・・うう・・ゆ、許せない・・あの女と関わっていなければ私は・・うっ!ゴホッゴホッ!」
「ノラ・・・グレースは死んだよ。父親に殺されたんだ。それに・・イワンは・・・自殺してしまった・・。」
ルドルフは声を振り絞ると言った。
「え・・?」
一瞬、何のことか分からなかったノラは唖然とした顔を見せたが・・やがて笑みを浮かべると笑いだした。
「アハハハハ・・・死んだ?グレースが・・・?しかも父親に殺されたなんて・・いい気味よ・・私の人生を・・滅茶苦茶に・・したのだか・・ら・・・・。」
最後は涙声になっていた。その姿は・・とても哀れだった―。
(ノラさん・・・っ!)
ヒルダは・・・・ノラがあまりにも気の毒で・・涙を流した。
「行きましょう、ヒルダ様。」
ルドルフはヒルダの肩を抱くと言った。
「え・・ええ・・・。」
「さよなら・・・ルドルフ。ヒルダさん・・・。」
ノラは力なくベッドの上で言う。
「「さよなら・・。」」
ルドルフとヒルダは振り替えることなく、ノラに別れを告げた―。
「ルドルフ・・どういう事かしら・・・?こんなに寒いのに窓が開いているなんて・・・。」
しかし、ルドルフはこの部屋の異常な様子から・・ある事に気づいていた。
「ヒルダ様・・マスクをしてください。僕もしますから。」
「え?ええ・・。」
ルドルフに言われたヒルダは素直にマスクをつけた。ルドルフもマスクをつけると言った。
「ヒルダ様、念の為にスカーフも鼻と口に巻いておいていただけますか?」
「わ、分かったわ。」
ヒルダはさらにスカーフを口元に巻くとルドルフもマフラーを口元に巻きつけた。
「ヒルダ様・・息苦しいかもしれませんが・・念の為です。少し我慢してくださいね。」
「ええ、私なら大丈夫よ。」
「では行きましょう。」
再びルドルフはヒルダの手をつなぐと、入り口側に近いベッドに近づいてみた。近づく程に咳は酷くなっている。
「ノラ・・・?」
ルドルフが小声で呼びかけると、毛布をかぶったままその人物は言った。
「ゴホッ・・・ゴホッ・・・私は・・ジョージーよ・・。」
「そうですか、すみません。」
「・・・。」
ルドルフは謝罪するも返事は無かった。
「行きましょう、ヒルダ様。」
ルドルフはヒルダに声を掛けた。
「ええ・・・。」
そして次に2人は一番左側のベッドへ向かった。
「ゴホッゴホッ!ゴホッ!」
壁際を向いて背中を見せている人物から苦し気な咳が聞こえてくる。
「ノラ・・・。」
ルドルフはそっと声をかけると、その肩が大きく動いた。
「え・・?誰・・?」
咳をしていた人物は向きを変えてルドルフとヒルダの方を向いた。
「ノ・・・ノラ・・!」
ルドルフはベッドの中の人物を見て息を飲んだ。痩せこけて、肌はすっかり青ざめていたが・・その顔にはノラの面影が残っていた。
「ま・・まさか・・ルドルフ・・?うっ!ゴホッ!」
ノラは手元にあったタオルで口を押えて咳をした。すると・・タオルに血が付くのが見えた。
「血・・・っ!」
ヒルダはノラが咳と同時に血を吐く姿を見て驚き・・・すぐに状況を理解した。
(そうだわ・・ルドルフはこの部屋の状況を見て・・すぐに理解したのだわ。それで・・私にマスクと口元を覆うように言ってきたのね・・?)
「ノラ・・・ひょっとして・・・・。」
ルドルフは静かに尋ねた。
「え・・ええ・・そうよ。結核よ・・・あんたたち・・うつるといけないから・・早く帰った方がいい・・わよ・・。」
ノラは荒い息を吐きながら言う。
「家族は?見舞いには来ないのかい?」
するとノラはフッと笑うと言った。
「家族・・・?みんな・・結核で死んだわよ。」
「「!」」
あまりの衝撃的な話でルドルフもヒルダも言葉を失った。
「こんな・・死にぞこないに今更・・何の用・・よ・・?」
ノラは荒い息を吐きながら尋ねてきた。
「ノラ・・君は具合が悪そうだから単刀直入に聞くよ・・。ヒルダ様を落馬させたのは・・グレースの入れ知恵だろう?それに・・教会の火事だって・・犯人はグレースだろう?」
「は・・?そんな事を尋ねにわざわざここへ・・?」
そして口元をグルグルに隠しているヒルダを見ると納得したかのようにうなずいた。
「ああ・・・今気づいたけど・・その人は・・ヒルダさんね・・・?ええ、そうよ・・。全部・・グレースのせいよ・・・私は・・あの女に・・人生を狂わされた・・うう・・ゆ、許せない・・あの女と関わっていなければ私は・・うっ!ゴホッゴホッ!」
「ノラ・・・グレースは死んだよ。父親に殺されたんだ。それに・・イワンは・・・自殺してしまった・・。」
ルドルフは声を振り絞ると言った。
「え・・?」
一瞬、何のことか分からなかったノラは唖然とした顔を見せたが・・やがて笑みを浮かべると笑いだした。
「アハハハハ・・・死んだ?グレースが・・・?しかも父親に殺されたなんて・・いい気味よ・・私の人生を・・滅茶苦茶に・・したのだか・・ら・・・・。」
最後は涙声になっていた。その姿は・・とても哀れだった―。
(ノラさん・・・っ!)
ヒルダは・・・・ノラがあまりにも気の毒で・・涙を流した。
「行きましょう、ヒルダ様。」
ルドルフはヒルダの肩を抱くと言った。
「え・・ええ・・・。」
「さよなら・・・ルドルフ。ヒルダさん・・・。」
ノラは力なくベッドの上で言う。
「「さよなら・・。」」
ルドルフとヒルダは振り替えることなく、ノラに別れを告げた―。
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