307 / 566
第2章 16 自分たちの立場
しおりを挟む
『ボルト』の町は空気が悪く、空の空気はどんよりしている。2人はホテルマンに勧められたガーゼのマスクをして手をつなぎながら工場の入り口を目指して歩いていた。
「ルドルフ・・・ここは本当に環境が悪い場所なのね。そういえば学校の授業で習ったわ。工業地帯は環境汚染が激しくて・・水も汚れているって・・・。」
「ええ。そうですね・・・。僕たちが住んでいた『カウべリー』は確かにとても田舎ですけど、自然のとても美しい場所です。そんなところで生まれ育った彼らが・・・こんな公害が酷い場所に住んで働いているなんて・・。」
ルドルフはヒルダの握り締める手に少しだけ力をこめると、コリンが働いている工場を見上げた。ヒルダもルドルフの隣に立ち、建物を見上げると言った。
「ここに・・・コリンさんが働いているのよね・・?」
「はい、そうです。学校の話によると土日は工場の仕事が休みだそうで、従業員のほとんどは寮生活で・・寮から出ることはほとんどないそうです。
「そう・・なの?」
「はい。過酷な労働環境の上・・・最低賃金で、何とか生活出来るレベルらしいので贅沢する余裕もないそうです。それにもともと空気も悪い町を出歩く人々はいないそうですから・・。」
「・・・。」
ヒルダは黙ってルドルフの言葉を聞いていた。それにしても聞けば聞くほどになんてひどい環境なのだろうとヒルダは思った。そして・・・たとえ、縁を切られても学校へ行かせてもらえている。家からお金の援助も出ている。さらに親切なアレン医師の元で診療所でアルバイトをさせてもらっている自分の事を改めて考えた。
(私って・・・とても恵まれた環境で暮らしていたのね・・。お父様や・・お兄様、そしてアレン先生に感謝しなくては・・・。)
一方のルドルフも同じ気持ちだった。今自分が爵位を貰い、優秀な高校へ行けるのは・・元をただせば、すべてはヒルダのお陰なのだ。そして今、2人は相思相愛の関係・・。ルドルフは心の中で誓った。
(必ず・・コリンとノラに教会での事件を白状させ・・・足の怪我の真相も聞き出してやるんだ・・!)
その時、ヒルダが声を上げた。
「見て、ルドルフ。あそこに扉があるわ。あれが工場の入り口じゃないかしら?」
ヒルダが指示したコンクリートでできた工場の一部が青い鉄の扉がはめ込まれている。
「ええ、そうですね。では行ってみましょう。」
「そうね。」
そして2人は扉へ向かって歩き出した―。
ゴンゴン
ルドルフは扉の前に着くと、ドアをノックした。しかし、何の反応もない。
「開いているかしら・・?」
「どうでしょう?試してみますね?」
ルドルフは言うと、扉にグッと手を掛けて開けようとするがびくともしない。
「駄目ですね・・開いていないようです。」
「そうなの・・・どうすればいいかしら・・。」
2人が扉の前で途方に暮れていると背後から声がかけられた。
「君たち!そんなところで何してるんだ?ここは関係者以外立ち入り禁止だ!」
振り向くと、そこには泥で汚れたつなぎを来た50代ほどの男性がバケツにモップを持って立っていた。
「すみません。僕たちはこの工場で働いている人を尋ねてきたのですが・・。」
ルドルフが言うと、男性は答えた。
「面会に来たのか?なら、ここは違う。今は休みだから寮に行くんだな。」
「その寮はどこにあるのですか?」
「ああ、ほら。向かい側にあるだろう?」
男性の指さした方向には先ほどのコンクリートの建物とは打って変わって木材建築の古びた建物が建っていた。
「あれが寮だ。入り口に管理人がいるから彼に尋ねるといい。」
「「ありがとうございます。」」
ルドルフとヒルダは頭を下げると、ルドルフはヒルダを見た。
「ヒルダ様、行きましょう。」
「ええ・・。」
2人は寮を目指して進んだ―。
「ルドルフ・・・ここは本当に環境が悪い場所なのね。そういえば学校の授業で習ったわ。工業地帯は環境汚染が激しくて・・水も汚れているって・・・。」
「ええ。そうですね・・・。僕たちが住んでいた『カウべリー』は確かにとても田舎ですけど、自然のとても美しい場所です。そんなところで生まれ育った彼らが・・・こんな公害が酷い場所に住んで働いているなんて・・。」
ルドルフはヒルダの握り締める手に少しだけ力をこめると、コリンが働いている工場を見上げた。ヒルダもルドルフの隣に立ち、建物を見上げると言った。
「ここに・・・コリンさんが働いているのよね・・?」
「はい、そうです。学校の話によると土日は工場の仕事が休みだそうで、従業員のほとんどは寮生活で・・寮から出ることはほとんどないそうです。
「そう・・なの?」
「はい。過酷な労働環境の上・・・最低賃金で、何とか生活出来るレベルらしいので贅沢する余裕もないそうです。それにもともと空気も悪い町を出歩く人々はいないそうですから・・。」
「・・・。」
ヒルダは黙ってルドルフの言葉を聞いていた。それにしても聞けば聞くほどになんてひどい環境なのだろうとヒルダは思った。そして・・・たとえ、縁を切られても学校へ行かせてもらえている。家からお金の援助も出ている。さらに親切なアレン医師の元で診療所でアルバイトをさせてもらっている自分の事を改めて考えた。
(私って・・・とても恵まれた環境で暮らしていたのね・・。お父様や・・お兄様、そしてアレン先生に感謝しなくては・・・。)
一方のルドルフも同じ気持ちだった。今自分が爵位を貰い、優秀な高校へ行けるのは・・元をただせば、すべてはヒルダのお陰なのだ。そして今、2人は相思相愛の関係・・。ルドルフは心の中で誓った。
(必ず・・コリンとノラに教会での事件を白状させ・・・足の怪我の真相も聞き出してやるんだ・・!)
その時、ヒルダが声を上げた。
「見て、ルドルフ。あそこに扉があるわ。あれが工場の入り口じゃないかしら?」
ヒルダが指示したコンクリートでできた工場の一部が青い鉄の扉がはめ込まれている。
「ええ、そうですね。では行ってみましょう。」
「そうね。」
そして2人は扉へ向かって歩き出した―。
ゴンゴン
ルドルフは扉の前に着くと、ドアをノックした。しかし、何の反応もない。
「開いているかしら・・?」
「どうでしょう?試してみますね?」
ルドルフは言うと、扉にグッと手を掛けて開けようとするがびくともしない。
「駄目ですね・・開いていないようです。」
「そうなの・・・どうすればいいかしら・・。」
2人が扉の前で途方に暮れていると背後から声がかけられた。
「君たち!そんなところで何してるんだ?ここは関係者以外立ち入り禁止だ!」
振り向くと、そこには泥で汚れたつなぎを来た50代ほどの男性がバケツにモップを持って立っていた。
「すみません。僕たちはこの工場で働いている人を尋ねてきたのですが・・。」
ルドルフが言うと、男性は答えた。
「面会に来たのか?なら、ここは違う。今は休みだから寮に行くんだな。」
「その寮はどこにあるのですか?」
「ああ、ほら。向かい側にあるだろう?」
男性の指さした方向には先ほどのコンクリートの建物とは打って変わって木材建築の古びた建物が建っていた。
「あれが寮だ。入り口に管理人がいるから彼に尋ねるといい。」
「「ありがとうございます。」」
ルドルフとヒルダは頭を下げると、ルドルフはヒルダを見た。
「ヒルダ様、行きましょう。」
「ええ・・。」
2人は寮を目指して進んだ―。
0
お気に入りに追加
725
あなたにおすすめの小説
大切なあのひとを失ったこと絶対許しません
にいるず
恋愛
公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、王太子の思い人の命を脅かした罪状で、毒杯を飲んで死んだ。
はずだった。
目を開けると、いつものベッド。ここは天国?違う?
あれっ、私生きかえったの?しかも若返ってる?
でもどうしてこの世界にあの人はいないの?どうしてみんなあの人の事を覚えていないの?
私だけは、自分を犠牲にして助けてくれたあの人の事を忘れない。絶対に許すものか。こんな原因を作った人たちを。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※小説家になろう様にも掲載させて頂いております。ただ改稿を行い、結末がこちらに掲載している内容とは異なりますので物語全体の雰囲気が異なる場合がございます。あらかじめご了承下さい。(あちらはゲオルグと並び人気が高かったエイドENDです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる