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第1章 4 足りない勇気
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この日、アルバイトが休みだったヒルダはカミラが出勤した後、家の家事を全て済ませた後は自分の部屋で午前中いっぱいを勉強の時間に費やしていた。何故ここまで一生懸命に勉強を頑張っているかと言うと・・それははエドガーに大学を目指すように言われていたからだ。良い成績で入学出来れば特待生として奨学金を貰える。それにアレンからは大学進学後もアルバイトとして雇って貰える事になっているのでヒルダは希望を持って勉強に励んでいたのだ。
ボーン
ボーン
ボーン
その時12時を告げる振り子時計がリビングから響き渡って来た。
「まあ、もうお昼だったのね・・勉強に夢中になっていて気付かなかったわ。」
ヒルダは開いていた教科書とノートを閉じると左足を引きずりながらリビングへと向かった。
「お昼に何か食べるものはあったかしら・・・。」
リビングの奥にあるキッチンへ向かい、食料貯蔵庫を開けてみた。中に入っていたのは玉ねぎにじゃがいも、ニンジンのみだった。
「あら・・?お野菜があまりないわ・・。ここ最近カミラにばかり家事をお願いしていたから・・。そうだわ。今日は何か外でお昼を買いに行きましょう。そして夕食の買い物もすればいいわね。」
ヒルダは自分に言い聞かせるように呟くと、すぐに出かける準備をした。
コートを羽織り、マフラーを巻いて帽子をかぶった。そして財布を入れたポシェットを斜め掛けにし、手袋をはめると玄関へと向かった。
「杖は・・どうしようかしら・・。でも荷物が増えたら杖を持てないし・・。」
悩んだ末、ヒルダは杖を置いて行く事にした。買い物に行くと言っても、ヒルダ達の住むアパートの裏通りは商店街になっている。この商店街は『ロータス』駅から港まで何キロにまで渡って続く商店街で、中には観光土産屋なども多くあり、とても便利な場所にヒルダ達は住んでいると言えた。
「あまり奥の商店街まで行かなければいいわね・・。」
そしてヒルダはアパートメントを後にした―。
ヒルダが買い物に出かけてから40分後・・・。
ヒルダが住むアパートメントの前にはコートを着たルドルフの姿があった。ルドルフは昨日ロータスに戻って来たばかりであった。
「ヒルダ様・・・。」
青空の下・・賑やかなメインストリートを背後に、ルドルフは何度もヒルダの住むアパートメントの前を行ったり来たりしていた。あれほどカウベリーにいた頃はヒルダを夢で見る程に会いたいと思っていたのに、いざこうしてアパートメントの前まで来ると、勇気がなえてしまう。
でもどうしてヒルダに会うことが勇気を必要とするのか・・・ルドルフにはその理由が良く分かっていた。
(そうだ・・・僕とヒルダ様の別れと・・・再会が全て最悪だったからだ。学校でもほとんど口も利かずに半年以上も経過してしまったと言うのに・・・今更どんな顔でヒルダ様を尋ねればいいのだろう・・。)
ルドルフは美しい眉をひそめ、何度目かの溜息をつくと右手に持っていた紙袋をじっと見つめた。この紙袋にはルドルフがヒルダを思って買ってきたカウベリーのお土産が入っている。ヒルダが大好きなカウベリーティー、カウベリードライフルーツ、そしてカウベリージャムの瓶が2本入っている。これを渡した時のヒルダの喜ぶ顔が見たくて買ったのに、今はこうしてヒルダが住み部屋のドアをノックすることも出来ずにアパートメントの前を右往左往していたのだった。
(駄目だ・・・。今日は勇気が出ない・・寮に戻ろう・・・)
そしてくるりと背を向けてトボトボと俯き加減に歩いていると、不意に前方から声をかけられた。
「あら・・ルドルフ・・?貴方ルドルフじゃないの?」
「え?」
聞き覚えのある声にルドルフは顔を上げた―。
ボーン
ボーン
ボーン
その時12時を告げる振り子時計がリビングから響き渡って来た。
「まあ、もうお昼だったのね・・勉強に夢中になっていて気付かなかったわ。」
ヒルダは開いていた教科書とノートを閉じると左足を引きずりながらリビングへと向かった。
「お昼に何か食べるものはあったかしら・・・。」
リビングの奥にあるキッチンへ向かい、食料貯蔵庫を開けてみた。中に入っていたのは玉ねぎにじゃがいも、ニンジンのみだった。
「あら・・?お野菜があまりないわ・・。ここ最近カミラにばかり家事をお願いしていたから・・。そうだわ。今日は何か外でお昼を買いに行きましょう。そして夕食の買い物もすればいいわね。」
ヒルダは自分に言い聞かせるように呟くと、すぐに出かける準備をした。
コートを羽織り、マフラーを巻いて帽子をかぶった。そして財布を入れたポシェットを斜め掛けにし、手袋をはめると玄関へと向かった。
「杖は・・どうしようかしら・・。でも荷物が増えたら杖を持てないし・・。」
悩んだ末、ヒルダは杖を置いて行く事にした。買い物に行くと言っても、ヒルダ達の住むアパートの裏通りは商店街になっている。この商店街は『ロータス』駅から港まで何キロにまで渡って続く商店街で、中には観光土産屋なども多くあり、とても便利な場所にヒルダ達は住んでいると言えた。
「あまり奥の商店街まで行かなければいいわね・・。」
そしてヒルダはアパートメントを後にした―。
ヒルダが買い物に出かけてから40分後・・・。
ヒルダが住むアパートメントの前にはコートを着たルドルフの姿があった。ルドルフは昨日ロータスに戻って来たばかりであった。
「ヒルダ様・・・。」
青空の下・・賑やかなメインストリートを背後に、ルドルフは何度もヒルダの住むアパートメントの前を行ったり来たりしていた。あれほどカウベリーにいた頃はヒルダを夢で見る程に会いたいと思っていたのに、いざこうしてアパートメントの前まで来ると、勇気がなえてしまう。
でもどうしてヒルダに会うことが勇気を必要とするのか・・・ルドルフにはその理由が良く分かっていた。
(そうだ・・・僕とヒルダ様の別れと・・・再会が全て最悪だったからだ。学校でもほとんど口も利かずに半年以上も経過してしまったと言うのに・・・今更どんな顔でヒルダ様を尋ねればいいのだろう・・。)
ルドルフは美しい眉をひそめ、何度目かの溜息をつくと右手に持っていた紙袋をじっと見つめた。この紙袋にはルドルフがヒルダを思って買ってきたカウベリーのお土産が入っている。ヒルダが大好きなカウベリーティー、カウベリードライフルーツ、そしてカウベリージャムの瓶が2本入っている。これを渡した時のヒルダの喜ぶ顔が見たくて買ったのに、今はこうしてヒルダが住み部屋のドアをノックすることも出来ずにアパートメントの前を右往左往していたのだった。
(駄目だ・・・。今日は勇気が出ない・・寮に戻ろう・・・)
そしてくるりと背を向けてトボトボと俯き加減に歩いていると、不意に前方から声をかけられた。
「あら・・ルドルフ・・?貴方ルドルフじゃないの?」
「え?」
聞き覚えのある声にルドルフは顔を上げた―。
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