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番外編 カウベリーの事件簿 ⑧
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「私は・・先祖代々から続く『カウベリー』の領主として・・この地を治めてきました。見ての通り・・ここはとても田舎の土地で、冬場はとても雪深く寒い場所です。貧しい住民たちも数多くいます。」
「「・・・。」
クロード警部補もカール巡査も黙ってハリスの話を聞いている。
「なので、領民たちは皆とても信仰心が厚い人々ばかりが住んでいます。神に祈れば・・きっと今に幸せになれるだろうと信じてやまないのです・・・。その為にこの土地には教会が沢山あります。焼失事件のあったあの教会・・・実はもう廃墟だったのですが、その教会にはめられていたステンドグラスがとても年季が入っており・・『カウベリー』の重要指定文化財としてあの教会を修復し、観光地として旅行者を募ろうという計画を立てていたのです・・。領民達もそれは楽しみにしていました。なのに・・あんな火事が起こって・・・!」
ハリスは悔しそうに拳を握り締めた。
「教会が焼け落ちた時・・その場に居合わせたのが自分の娘であると言う事を知って・・私は仰天しました。挙句に犯人は自分だと言い出したのです。領民たちは子供たちの火の不始末が原因である事は知っており・・犯人は誰だったのかを調べて欲しいと私に訴えていたのです。そこで私は自分の娘だった事を伝ると・・・領民たちは激怒し・・・そんな不届き物はこの土地から追い出してくれと私に迫ってきたのです。」
「うわ・・仮にも領主様に向かって・・容赦ないですね・・。」
カール巡査は痛まし気に眉をひそめた。
「はい・・・それほど領民たちは切羽詰まっていたのです・・。だから私は心を鬼にして・・まだたった15歳の実の・・足が・・不自由な私の一人娘を・・・心無い言葉で怒り・・爵位を奪い、親子の縁を切り・・そしてこの地を追い払ったのです・・!そうするしか・・私には方法が無かったのです・・っ!」
ハリスは目に涙を浮かべながら語る。
「それは・・・とてもつらい・・・しかし、英断でしたね・・・。」
クロード警部補は静かに語る。
「そして・・私は・・あの子は・・ヒルダはもう死んだものとして・・あの子がここにいた証を全て消し去ったのです・・・。部屋を潰し・・領民達には罪の子は二度とこの地に戻ってくることは無いと話し・・一切ヒルダについての話をすることを・・禁じたのです・・・。でも・・それは私が・・領民たちがヒルダの悪口を言うのを聞きたくなかったからです・・全て自分の身勝手でここ『カウベリー』から娘を抹殺したのです・・。」
ハリスは嗚咽混じりに言った。
「そ、そんな・・。」
まだ若いカール巡査は目を潤ませながらハリスの話を聞いていた。
「そうでしたか・・それは大変つらい経験をされたのですね・・・。」
クロード警部補は静かに言う。
「ええ・・・それで失ったヒルダの代わりに・・遠縁から優秀な青年を・・養子に迎えたのです。」
「確か・・エドガーという名前の方ですね?」
カール巡査が尋ねる。
「はい・・・彼はとても頭が良く・・教会が焼失した代わりに、何か収益が見込まれる特産品の開発や・・観光地として呼べるような方法が無いか・・2人で模索している最中です。そして・・『カウベリー』を繫栄させる為に裕福な伯爵家の令嬢と・・婚約もさせたのです・・。息子には本当に・・悪い事をしたと思っております・・。」
「そんな事はありませんよ。父上。」
すると突然部屋の中に声が響き渡った。3人は驚いて顔を上げると、そこにはエドガーが立っていた。そしてハリスの傍へ来ると跪いて言った。
「父上・・私は父上に養子にしていただいて本当に感謝しております。それに・・・アンナ嬢もとても気立ての良い素敵な少女です。彼女と知り合えたのも・・父上のお陰です。なので・・これからもご指導よろしくお願いします。」
そしてエドガーはハリスに頭を下げた―。
「「・・・。」
クロード警部補もカール巡査も黙ってハリスの話を聞いている。
「なので、領民たちは皆とても信仰心が厚い人々ばかりが住んでいます。神に祈れば・・きっと今に幸せになれるだろうと信じてやまないのです・・・。その為にこの土地には教会が沢山あります。焼失事件のあったあの教会・・・実はもう廃墟だったのですが、その教会にはめられていたステンドグラスがとても年季が入っており・・『カウベリー』の重要指定文化財としてあの教会を修復し、観光地として旅行者を募ろうという計画を立てていたのです・・。領民達もそれは楽しみにしていました。なのに・・あんな火事が起こって・・・!」
ハリスは悔しそうに拳を握り締めた。
「教会が焼け落ちた時・・その場に居合わせたのが自分の娘であると言う事を知って・・私は仰天しました。挙句に犯人は自分だと言い出したのです。領民たちは子供たちの火の不始末が原因である事は知っており・・犯人は誰だったのかを調べて欲しいと私に訴えていたのです。そこで私は自分の娘だった事を伝ると・・・領民たちは激怒し・・・そんな不届き物はこの土地から追い出してくれと私に迫ってきたのです。」
「うわ・・仮にも領主様に向かって・・容赦ないですね・・。」
カール巡査は痛まし気に眉をひそめた。
「はい・・・それほど領民たちは切羽詰まっていたのです・・。だから私は心を鬼にして・・まだたった15歳の実の・・足が・・不自由な私の一人娘を・・・心無い言葉で怒り・・爵位を奪い、親子の縁を切り・・そしてこの地を追い払ったのです・・!そうするしか・・私には方法が無かったのです・・っ!」
ハリスは目に涙を浮かべながら語る。
「それは・・・とてもつらい・・・しかし、英断でしたね・・・。」
クロード警部補は静かに語る。
「そして・・私は・・あの子は・・ヒルダはもう死んだものとして・・あの子がここにいた証を全て消し去ったのです・・・。部屋を潰し・・領民達には罪の子は二度とこの地に戻ってくることは無いと話し・・一切ヒルダについての話をすることを・・禁じたのです・・・。でも・・それは私が・・領民たちがヒルダの悪口を言うのを聞きたくなかったからです・・全て自分の身勝手でここ『カウベリー』から娘を抹殺したのです・・。」
ハリスは嗚咽混じりに言った。
「そ、そんな・・。」
まだ若いカール巡査は目を潤ませながらハリスの話を聞いていた。
「そうでしたか・・それは大変つらい経験をされたのですね・・・。」
クロード警部補は静かに言う。
「ええ・・・それで失ったヒルダの代わりに・・遠縁から優秀な青年を・・養子に迎えたのです。」
「確か・・エドガーという名前の方ですね?」
カール巡査が尋ねる。
「はい・・・彼はとても頭が良く・・教会が焼失した代わりに、何か収益が見込まれる特産品の開発や・・観光地として呼べるような方法が無いか・・2人で模索している最中です。そして・・『カウベリー』を繫栄させる為に裕福な伯爵家の令嬢と・・婚約もさせたのです・・。息子には本当に・・悪い事をしたと思っております・・。」
「そんな事はありませんよ。父上。」
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「父上・・私は父上に養子にしていただいて本当に感謝しております。それに・・・アンナ嬢もとても気立ての良い素敵な少女です。彼女と知り合えたのも・・父上のお陰です。なので・・これからもご指導よろしくお願いします。」
そしてエドガーはハリスに頭を下げた―。
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