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第6章 16 カミラの提案
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17時半になり、仕事から帰ったカミラが玄関で声を掛けた。
「ヒルダ様。ただいま戻りました。」
しかし、いつもなら出迎えに来るヒルダの姿が無い。
「ヒルダ様・・・?」
何かいつもと様子が違うと感じ取ったカミラは慌ててリビングへ駈け込んできた。するとそこには明かりもつけずに薄暗い部屋で茫然とソファに座り込んで窓の外を眺めているヒルダの姿があった。
「ヒルダ様・・・どうされたのですか?明かりもつけずにこのような薄暗い部屋におられるなんて・・・。」
カミラは部屋のオイルランプに火を灯した。
「カミラ・・・。」
部屋がオレンジ色の明かりに満たされると、ヒルダはカミラを振り向き、名前を呼んだ。
「どうされましたか?ヒルダ様」
カミラはヒルダの近くに行くと、ヒルダは腕を回して抱き着いてきた。そしてカミラの身体に顔をうずめると、くぐもった声で言った。
「カミラ・・。お母さまが・・。」
「はい、奥様がどうされましたか?」
カミラはヒルダの髪を優しくなでながら言う。
「お兄様からお手紙を頂いたの。お母さまの・・ご病気があまりよくないのですって。私のせいよ・・あんなに元気だったお母さまがご病気になられたのは・・・。」
「ヒルダ様・・・。」
「ねえ、カミラ。私は・・・どうすればいいのかしら?お母さまに会いたい・・・。お兄様は言ってるの。お母さまは私に酷く会いたがっているって。私に会えば元気になれるかもしれないって・・・お兄様は言ってるの。だけど・・・私はもう二度と『カウベリー』の地を踏むことは許されない・・・。それにお母さまだって屋敷から動かすことは出来ないほど・・体調が悪いのよ・・もし、もし・・お母さまが死んでしまったら、それはきっと私のせい、そしてお父様は・・ますます私を許してはくれないと思うのよ・・・。」
「ヒルダ様っ!」
カミラはヒルダを強く抱きしめて涙した。どんなに悲しくても・・涙が枯れ果てて、もう涙を流すことが出来なくなってしまったヒルダの分まで―。
どのくらい2人は寄り添ってソファに座っていただろうか?
やがてポツリとヒルダが言った。
「せめて・・・お母さまに直に会えなくても・・・今の私が元気でいる姿を見せることが出来たならいいのに・・・。」
するとその言葉にカミラはピンときた。実は以前フランシスの家で子守りの仕事をしていた時に、暖炉の上に写真が飾られているのを思い出したのだ。
「そうだ・・・写真・・。」
「え?何?カミラ。」
すると今までの暗い表情とは打って変わり、カミラは笑顔になると言った。
「そうですよ、ヒルダ様、良い方法があります!」
「え・・?どんな方法なのかしら?」
ヒルダが怪訝そうに首を傾げた。
「ヒルダ様。きっと奥様はヒルダ様に直に会うことが出来なくても、今のヒルダ様のお姿を映した写真を見れば・・・きっとお喜びになられてお元気になられるはずですよっ!」
「カミラ・・・。そ、そうよね?きっと私の写真を見れば・・お母さまはお元気になるわよね?」
「ええ、勿論ですよ。ヒルダ様。ひょっとするとまだ写真館・・開いているかもしれませんよ?これから出かけてみませんか?」
「ええ、そうね。カミラ。すぐに写真館へ行ってみましょう?」
2人は見つめあってほほ笑むと、すぐに外出する準備を始めた。
それから約30分後―
ヒルダとカミラは写真を撮ると言うことで、いつより良い服を着た。ヒルダは外出着用の淡い花柄のパフスリーブのプリンセスラインのワンピース、そしてカミラは水色の解禁襟のついたワンピースに着替えた。
「ヒルダ様。とてもよくお似合いですよ?」
「ありがとう、カミラも取っても素敵よ。」
そして2人は微笑みあうと、戸締りをして写真館へと向かった―。
「ヒルダ様。ただいま戻りました。」
しかし、いつもなら出迎えに来るヒルダの姿が無い。
「ヒルダ様・・・?」
何かいつもと様子が違うと感じ取ったカミラは慌ててリビングへ駈け込んできた。するとそこには明かりもつけずに薄暗い部屋で茫然とソファに座り込んで窓の外を眺めているヒルダの姿があった。
「ヒルダ様・・・どうされたのですか?明かりもつけずにこのような薄暗い部屋におられるなんて・・・。」
カミラは部屋のオイルランプに火を灯した。
「カミラ・・・。」
部屋がオレンジ色の明かりに満たされると、ヒルダはカミラを振り向き、名前を呼んだ。
「どうされましたか?ヒルダ様」
カミラはヒルダの近くに行くと、ヒルダは腕を回して抱き着いてきた。そしてカミラの身体に顔をうずめると、くぐもった声で言った。
「カミラ・・。お母さまが・・。」
「はい、奥様がどうされましたか?」
カミラはヒルダの髪を優しくなでながら言う。
「お兄様からお手紙を頂いたの。お母さまの・・ご病気があまりよくないのですって。私のせいよ・・あんなに元気だったお母さまがご病気になられたのは・・・。」
「ヒルダ様・・・。」
「ねえ、カミラ。私は・・・どうすればいいのかしら?お母さまに会いたい・・・。お兄様は言ってるの。お母さまは私に酷く会いたがっているって。私に会えば元気になれるかもしれないって・・・お兄様は言ってるの。だけど・・・私はもう二度と『カウベリー』の地を踏むことは許されない・・・。それにお母さまだって屋敷から動かすことは出来ないほど・・体調が悪いのよ・・もし、もし・・お母さまが死んでしまったら、それはきっと私のせい、そしてお父様は・・ますます私を許してはくれないと思うのよ・・・。」
「ヒルダ様っ!」
カミラはヒルダを強く抱きしめて涙した。どんなに悲しくても・・涙が枯れ果てて、もう涙を流すことが出来なくなってしまったヒルダの分まで―。
どのくらい2人は寄り添ってソファに座っていただろうか?
やがてポツリとヒルダが言った。
「せめて・・・お母さまに直に会えなくても・・・今の私が元気でいる姿を見せることが出来たならいいのに・・・。」
するとその言葉にカミラはピンときた。実は以前フランシスの家で子守りの仕事をしていた時に、暖炉の上に写真が飾られているのを思い出したのだ。
「そうだ・・・写真・・。」
「え?何?カミラ。」
すると今までの暗い表情とは打って変わり、カミラは笑顔になると言った。
「そうですよ、ヒルダ様、良い方法があります!」
「え・・?どんな方法なのかしら?」
ヒルダが怪訝そうに首を傾げた。
「ヒルダ様。きっと奥様はヒルダ様に直に会うことが出来なくても、今のヒルダ様のお姿を映した写真を見れば・・・きっとお喜びになられてお元気になられるはずですよっ!」
「カミラ・・・。そ、そうよね?きっと私の写真を見れば・・お母さまはお元気になるわよね?」
「ええ、勿論ですよ。ヒルダ様。ひょっとするとまだ写真館・・開いているかもしれませんよ?これから出かけてみませんか?」
「ええ、そうね。カミラ。すぐに写真館へ行ってみましょう?」
2人は見つめあってほほ笑むと、すぐに外出する準備を始めた。
それから約30分後―
ヒルダとカミラは写真を撮ると言うことで、いつより良い服を着た。ヒルダは外出着用の淡い花柄のパフスリーブのプリンセスラインのワンピース、そしてカミラは水色の解禁襟のついたワンピースに着替えた。
「ヒルダ様。とてもよくお似合いですよ?」
「ありがとう、カミラも取っても素敵よ。」
そして2人は微笑みあうと、戸締りをして写真館へと向かった―。
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