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1章 15 校長マチルダ

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「ステラさん。貴女は本当にヒルダさんとお友達になりたいと思っていますか?」

マチルダはじっとステラの目を見つめながら尋ねてきた。

「え・・?」

ステラはマチルダからの意外な質問に戸惑ってしまった。

(校長先生・・・どうしたのかしら?そんな質問をしてくるなんて・・。)

「どうなのですか?ステラさん。質問にはきちんと答えて下さい。」

マチルダの眼鏡の奥で、強い視線を感じたステラは委縮しながらも答えた。

「は、はい・・本当の事です・・。そうじゃ無ければダフネさんの事・・・話したりしません・・・。」

ステラは俯いた。確かにそうかもしれないとマチルダは思った。
ヒルダの事を本当に助けたいと思わない限りは貴族派閥のリーダー角のダフネの事をわざわざ持ち出したりはしないだろう。もしステラが話した事がばれたりすると、恐らく只では済まされるはずは無い。そんな身の危険を犯してまで、ダフネの事を持ち出したのだから・・。ステラがヒルダと友達になりたいという気持ちは嘘では無いだろう。

「そうですか・・・もしよければ、何故ヒルダさんとお友達になりたいのか話して頂けますか?」

「え・・ええっ?」

(どうして・・・?どうして校長先生はこんな事を聞いてくるの・・・?)

するとマチルダは言った。

「私は・・・この学園でヒルダさんを救ってくれるような友人が現れてくれることを祈っているのです。」

「え・・?」

「もし・・貴女が本当にヒルダさんの友達になりたいと願っているのなら・・少しだけヒルダさんの事をお話してあげようかと思っています。彼女は・・本当に気の毒な生徒なのです・・・。」

「校長先生・・・。」

(知りたい・・ヒルダさんの事・・・。だって、彼女は私に取って・・・!)

「分かりました。校長先生・・・私が何故ヒルダさんのお友達になりたいのか・・・理由をお話します・・。」

ステラはマチルダの顔を見た。

「私・・・中学生の時に虐めに遭っていたんです。私の父は事業を行っているのですが、2年前までは貧しい生活をしていました。だけど、私が中等学部の3年だった時に父の事業が成功して・・・途端に我が家はお金持ちになったんです。そしたら今迄仲の良かった友達が離れて行って・・・私はクラスで孤立してしまいました。すると今度は不良グループの女子たちに目を付けられて・・・自分達のグループに入れてあげると言って来たんです。私は・・・一人ぼっちでいるのが辛くて・・彼女達の仲間に入れて貰ったのですけど・・・皆我が家のお金目当てだったんです。毎日お金を持ってくるように要求されて・・最初はお金を渡していたのですけど、それがだんだんエスカレートしていって・・・私、もう我慢の限界で断ったんです。そしたら成金のくせにケチだって言われて・・・いじめが酷くなって、私とうとう登校拒否を起こして・・そのまま卒業したんです・・。」

ステラは制服のスカートをギュッと握りしめた。

「そうだったのですね。それでご家族で転居して・・・この学園に入学したのですね。」

マチルダの問いにステラは頷いた。

「はい、そしてこの学園でヒルダさんに出会ったんです。何処の派閥にも属さず、グループにも入らず、さらに貴族派閥の人達から嫌がらせを受けているのに、毅然とした態度を取れるヒルダさんを尊敬しているんです。どうすればあんな風になれるんだろう、そして・・どうすればヒルダさんのかけがえのない友人になれるんだろうって思って・・・。」

「そうですか・・・。実は・・以前のヒルダさんは明るく、そして良く笑う少女だったそうです・・・。」

「え・・?!あのヒルダさんが・・っ?!」

ステラには到底信じられなかった。

「何故、ヒルダさんがあの様になってしまったのかは分かりませんが・・・私はヒルダさんが元の明るい少女に戻って欲しいと願っています。」

「校長先生・・・・。」

「どうか、ヒルダさんの助けになってあげて下さいね?」

マチルダはステラに笑いかけた—。






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