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第92話 消えたのはどっち?
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セラフィムが出ていってどれくらい経過しただろう。この部屋には家具も一切無ければ時計すら置かれていない。本当に何も無い部屋だった。
「こんな部屋…屋敷にあったかしら…?」
いや、そもそもまだ記憶が完全に戻っていない私にはこの屋敷の構造すらよく理解できなかった。さっき、セラフィムは言っていた。
『60日経過していないから無理か…』
それなら…60日経過すれば私の記憶は完全に戻るのだろうか?でもそもそも何故私の記憶が消えたのだろう?
そう言えばあの時夢の中でセラフィムが言っていた。記憶の操作から始めると。一体何故私はわざわざセラフィムを訪ねて記憶の操作をしてもらったのだろう?私の命に関わることと何か関係があるのだろうか?
「どの道…。セラフィムが戻ってこない限り何も分からないわよね…。それにしても一体いつまでこの部屋でこうしていないといけないのかしら…」
ただ黙って部屋にこもってたせいなのか何だか非常に眠くなってきた。
「うぅ…。眠くてたまらないわ…。こんな時なのに…眠っちゃいけないの…に…」
そしてとうとう私は眠ってしまった―。
****
私は夢を見ていた―。
それは学生時代、仲良しの友達と飲みに行った時の夢だった―。
「ほら、〇〇!もっと飲みなよっ!」
「そうそう、ビール好きでしょ?」
よし、それじゃ飲もうかな?えい!
ゴクゴクゴク!
ぷは~っ!
「おお~!さっすが◯◯だね?」
「いい飲みっぷり!」
えへへ~
まあね~
それじゃもっと飲むよ~!
「よっ!さすが酒豪だね?」
ゴクゴクゴク
あ~ビール最高っ!
………
****
「…リア…ユリア…」
誰かが私を揺すぶっている…。
「う~ん…」
「ユリアさんっ!起きてってばっ!」
「うん…だめ…もう飲めない…」
「おい!いい加減にしろっ!何がもう飲めないだっ!」
いきなりの大声で私は一気に目が覚めた。
「え?何?何?!」
ガバッと起きて周りをキョロキョロ見渡すと、そこには私を見下ろす10個の目。
「キャアアアアアッ!!」
私の絶叫に全員が耳を塞ぐ。
「な、な、な、な、何してるんですかっ!ひ、人の寝顔を…全員で見るなんて!」
全員を指さしながら私は言う。
「何が人の寝顔を全員で見てっ!だっ!」
ベルナルド王子が声を荒げる。
「そうですよっ!何でこんな非常事態に寝てられるんですかっ?!」
テレシアが私の肩をガシッと掴む。
「全くなんて呑気な女だ…最もそれが魅力的なんだがな」
ポッと顔を赤らめるマテオ。
…何か変だ。
「おいっ!マテオッ!ドサクサに紛れて妙なことを言うなっ!」
「そうだそうだ!ユリアに手を出すなっ!」
アークとオーランドが口々に叫ぶ。
「いい加減にしろっ!貴様らっ!俺はユリアの婚約者だぞ?!」
「えっ?!私達、婚約破棄したんじゃなかったんですかっ?!」
ベルナルド王子の聞き捨てならない言葉に驚く私。
「兄さんっ!まだお父様に報告していなかったのねっ?!」
もう訳がわからない状況になっていた。
「皆さんっ!落ち着いて下さいっ!とりあえず何があったか説明して下さいっ!」
私が大声を上げてようやく全員おとなしくなった。
「…それで?一体何があったんですか?屋敷に入った途端、皆勝手にいなくなって…酷いじゃないですかっ!」
腕組みしながら抗議すると全員が妙な顔で私を見る。
「な、何ですか?そ、その目は…」
するとベルナルド王子が言った。
「何言ってるんだ?お前のほうじゃないか。いなくなったのは」
「え?私が?」
「そうですよ。急に屋敷の中の霧が濃くなって周りの景色が見えなくなって…それで霧がはれた時にはユリアさんの姿が消えていたんですから」
テレシアの言葉に続いてアークが言う。
「そうだ、それで俺たちはありとあらゆる部屋の扉を開けてユリアを探し続けた」
「それで、とうとうこの部屋で呑気に寝ているお前を発見したんだよ」
オーランドとマテオが状況を説明した。
「え…?」
それじゃ…もしかして…。
「どうしたんだ?ユリア」
ベルナルド王子が声を掛けてきた。
「そうよ…きっとセラフィムのお陰だわ…。セラフィムがジョンを何とかしたんだわ…」
「何の事ですか?」
テレシアが尋ねてくる。
「私…セラフィムを探さなくちゃ!」
そして私は部屋を飛び出した―。
「こんな部屋…屋敷にあったかしら…?」
いや、そもそもまだ記憶が完全に戻っていない私にはこの屋敷の構造すらよく理解できなかった。さっき、セラフィムは言っていた。
『60日経過していないから無理か…』
それなら…60日経過すれば私の記憶は完全に戻るのだろうか?でもそもそも何故私の記憶が消えたのだろう?
そう言えばあの時夢の中でセラフィムが言っていた。記憶の操作から始めると。一体何故私はわざわざセラフィムを訪ねて記憶の操作をしてもらったのだろう?私の命に関わることと何か関係があるのだろうか?
「どの道…。セラフィムが戻ってこない限り何も分からないわよね…。それにしても一体いつまでこの部屋でこうしていないといけないのかしら…」
ただ黙って部屋にこもってたせいなのか何だか非常に眠くなってきた。
「うぅ…。眠くてたまらないわ…。こんな時なのに…眠っちゃいけないの…に…」
そしてとうとう私は眠ってしまった―。
****
私は夢を見ていた―。
それは学生時代、仲良しの友達と飲みに行った時の夢だった―。
「ほら、〇〇!もっと飲みなよっ!」
「そうそう、ビール好きでしょ?」
よし、それじゃ飲もうかな?えい!
ゴクゴクゴク!
ぷは~っ!
「おお~!さっすが◯◯だね?」
「いい飲みっぷり!」
えへへ~
まあね~
それじゃもっと飲むよ~!
「よっ!さすが酒豪だね?」
ゴクゴクゴク
あ~ビール最高っ!
………
****
「…リア…ユリア…」
誰かが私を揺すぶっている…。
「う~ん…」
「ユリアさんっ!起きてってばっ!」
「うん…だめ…もう飲めない…」
「おい!いい加減にしろっ!何がもう飲めないだっ!」
いきなりの大声で私は一気に目が覚めた。
「え?何?何?!」
ガバッと起きて周りをキョロキョロ見渡すと、そこには私を見下ろす10個の目。
「キャアアアアアッ!!」
私の絶叫に全員が耳を塞ぐ。
「な、な、な、な、何してるんですかっ!ひ、人の寝顔を…全員で見るなんて!」
全員を指さしながら私は言う。
「何が人の寝顔を全員で見てっ!だっ!」
ベルナルド王子が声を荒げる。
「そうですよっ!何でこんな非常事態に寝てられるんですかっ?!」
テレシアが私の肩をガシッと掴む。
「全くなんて呑気な女だ…最もそれが魅力的なんだがな」
ポッと顔を赤らめるマテオ。
…何か変だ。
「おいっ!マテオッ!ドサクサに紛れて妙なことを言うなっ!」
「そうだそうだ!ユリアに手を出すなっ!」
アークとオーランドが口々に叫ぶ。
「いい加減にしろっ!貴様らっ!俺はユリアの婚約者だぞ?!」
「えっ?!私達、婚約破棄したんじゃなかったんですかっ?!」
ベルナルド王子の聞き捨てならない言葉に驚く私。
「兄さんっ!まだお父様に報告していなかったのねっ?!」
もう訳がわからない状況になっていた。
「皆さんっ!落ち着いて下さいっ!とりあえず何があったか説明して下さいっ!」
私が大声を上げてようやく全員おとなしくなった。
「…それで?一体何があったんですか?屋敷に入った途端、皆勝手にいなくなって…酷いじゃないですかっ!」
腕組みしながら抗議すると全員が妙な顔で私を見る。
「な、何ですか?そ、その目は…」
するとベルナルド王子が言った。
「何言ってるんだ?お前のほうじゃないか。いなくなったのは」
「え?私が?」
「そうですよ。急に屋敷の中の霧が濃くなって周りの景色が見えなくなって…それで霧がはれた時にはユリアさんの姿が消えていたんですから」
テレシアの言葉に続いてアークが言う。
「そうだ、それで俺たちはありとあらゆる部屋の扉を開けてユリアを探し続けた」
「それで、とうとうこの部屋で呑気に寝ているお前を発見したんだよ」
オーランドとマテオが状況を説明した。
「え…?」
それじゃ…もしかして…。
「どうしたんだ?ユリア」
ベルナルド王子が声を掛けてきた。
「そうよ…きっとセラフィムのお陰だわ…。セラフィムがジョンを何とかしたんだわ…」
「何の事ですか?」
テレシアが尋ねてくる。
「私…セラフィムを探さなくちゃ!」
そして私は部屋を飛び出した―。
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