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第88話 不安な人選
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「おかしい、こんな事ありえない。何故俺たちがよりにもよってユリアに妙な感情を持つんだ…」
マテオが頭を抱えている。
「ああ、俺だってそうだ。こんなクソ生意気な女を婚約者にしている王子の気が知れないとずっと思っていたんだ」
アークが神妙そうな顔で言う。
「おい!アークッ!今、お前失礼な事を言っただろうっ?!」
ベルナルド王子がアークを避難する。
「俺もおかしいと思ってるんだ…どうしてユリアに…」
オーランドが私を見て…ボッと顔を赤くする。
「「「オーランドッ!貴様っ!」」」
男性陣がオーランドを非難する。
「ねぇ、あの人達絶対におかしいと思わない?」
テレシアが私に同意を求めてくる。
「ええ、そうね。変だと思うわ」
頷く私。
「そうなのよ、だってあの人達はユリアさんの事を鼻にも掛けなかったのよ?それが何故急に態度を変えたのかしら?」
テレシアは真剣な顔で言う。
「鼻にも掛けない…た、確かにそうかもしれないけれど、これも何か裏があるかもしれないわ」
「ええ、絶対に私もそう思う。と言うわけで…」
不意にテレシアは立ち上がるとベルナルド王子たちに向かって言った。
「それじゃ、皆!行くわよっ!ユリアさんの住む屋敷へっ!」
「な、何で俺たちが行かなくちゃならないんだよっ!」
アークが情けない声で言う。
「馬鹿っ!忘れたのか?彼女は王女だったんだぞ!言う事を聞かなければ何をされるか分かったもんじゃないだろう?!」
マテオがアークの肩をガクガク揺すぶりながら言う。
「そうだ、俺たちに逆らえばお前たちの親にいいつけるぞ」
まるで子供のような台詞を言うベルナルド王子。しかし、この言葉は絶大だった。
結局『親に言いつける』と言う言葉で彼らは全員素直に頷いたのだった。
****
私達、総勢6人は馬車に揺られて我が家を目指していた。
「うう…授業をサボってしまった…」
オーランドが肩を震わせている。
「オーランド、貴方って随分真面目だったのね。授業をサボったくらいでそんなに落ち込むなんて」
私が言うとマテオが即答した。
「いや。それは違う。オーランドは馬鹿なんだ。それはユリア、お前と匹敵するぐらいにな。だからせめて出席日数だけでも稼いで置かなければ成績に関わってくるんだ」
「私と匹敵するくらいと言う言葉は余計だと思うけど…」
口をとがらせて言うと、ベルナルド王子が尋ねてきた。
「それでユリア。敵は1人だけなのか?強さのレベルは?弱点は何だ?」
「敵は1人だけだと思いますけど、強さのレベルは相当強いという事しか分かりません。そもそも弱点があるかどうかなんて不明ですよ」
「こんな事なら武器の一つでも持ってくれば良かった。丸腰なんて不安でたまらない…」
アークが震えながらブツブツ言っている。
…ひょっとすると私は人選を誤ってしまったのかもしれない。王子の護衛をつとめるくらいだから彼らはさぞかし強いのだろうと思っていたのに…。
窓の外を眺めながら私はため息をついた―。
マテオが頭を抱えている。
「ああ、俺だってそうだ。こんなクソ生意気な女を婚約者にしている王子の気が知れないとずっと思っていたんだ」
アークが神妙そうな顔で言う。
「おい!アークッ!今、お前失礼な事を言っただろうっ?!」
ベルナルド王子がアークを避難する。
「俺もおかしいと思ってるんだ…どうしてユリアに…」
オーランドが私を見て…ボッと顔を赤くする。
「「「オーランドッ!貴様っ!」」」
男性陣がオーランドを非難する。
「ねぇ、あの人達絶対におかしいと思わない?」
テレシアが私に同意を求めてくる。
「ええ、そうね。変だと思うわ」
頷く私。
「そうなのよ、だってあの人達はユリアさんの事を鼻にも掛けなかったのよ?それが何故急に態度を変えたのかしら?」
テレシアは真剣な顔で言う。
「鼻にも掛けない…た、確かにそうかもしれないけれど、これも何か裏があるかもしれないわ」
「ええ、絶対に私もそう思う。と言うわけで…」
不意にテレシアは立ち上がるとベルナルド王子たちに向かって言った。
「それじゃ、皆!行くわよっ!ユリアさんの住む屋敷へっ!」
「な、何で俺たちが行かなくちゃならないんだよっ!」
アークが情けない声で言う。
「馬鹿っ!忘れたのか?彼女は王女だったんだぞ!言う事を聞かなければ何をされるか分かったもんじゃないだろう?!」
マテオがアークの肩をガクガク揺すぶりながら言う。
「そうだ、俺たちに逆らえばお前たちの親にいいつけるぞ」
まるで子供のような台詞を言うベルナルド王子。しかし、この言葉は絶大だった。
結局『親に言いつける』と言う言葉で彼らは全員素直に頷いたのだった。
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私達、総勢6人は馬車に揺られて我が家を目指していた。
「うう…授業をサボってしまった…」
オーランドが肩を震わせている。
「オーランド、貴方って随分真面目だったのね。授業をサボったくらいでそんなに落ち込むなんて」
私が言うとマテオが即答した。
「いや。それは違う。オーランドは馬鹿なんだ。それはユリア、お前と匹敵するぐらいにな。だからせめて出席日数だけでも稼いで置かなければ成績に関わってくるんだ」
「私と匹敵するくらいと言う言葉は余計だと思うけど…」
口をとがらせて言うと、ベルナルド王子が尋ねてきた。
「それでユリア。敵は1人だけなのか?強さのレベルは?弱点は何だ?」
「敵は1人だけだと思いますけど、強さのレベルは相当強いという事しか分かりません。そもそも弱点があるかどうかなんて不明ですよ」
「こんな事なら武器の一つでも持ってくれば良かった。丸腰なんて不安でたまらない…」
アークが震えながらブツブツ言っている。
…ひょっとすると私は人選を誤ってしまったのかもしれない。王子の護衛をつとめるくらいだから彼らはさぞかし強いのだろうと思っていたのに…。
窓の外を眺めながら私はため息をついた―。
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