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第85話 正反対の2人
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「あ…ベルナルド王子…それにテレシアさん…」
見知った顔がこちらへ向かって駆けつけてくる姿を見て、安堵のあまり腰が抜けて地面に座り込んでしまった。
「どうしたんだっ?!ユリアッ!」
「ユリアさん、しっかりして!」
2人から支えられて、何とか立ち上がるとすぐにベルナルド王子が口を開いた。
「ユリア、心配させるなっ!今の今まで何処で何をしていたんだっ?!」
「私達ずっと心配していたのよ?何日も学校を休むから様子を見に来てみれば屋敷に見えない壁でも出来たかのように近寄ることが出来ないし…」
「えっ?!ほ、本当にっ?!それならあれから何日経過しているんですかっ?!」
「俺たちがユリアを屋敷へ送った日から10日経過しているぞ?」
「10日…?そ、そんな…」
まさかの話に驚いた。あれから10日も経過していたなんて…。
「それで今日も試しに屋敷へ寄ったのよ?そうしたらユリアさんが突然空中から現れたのだから…本当に驚いたわ」
「一体何があったんだ?まぁ今日は遅刻しても別に構う事はないだろう。話を聞くぞ?」
ベルナルド王子はそういうけれども、本当に遅刻しても構わないのだろうか?
「ええ、そうね。もし遅刻して何かお咎めがあった場合は権力を行使してしまえばいいのよ」
テレシアは確か王族である身分を隠したいのではなかったっけ?それなのに権力を行使すればいいって…。
「ほら、早く話せ」
「ええ、話してよ」
ベルナルド王子とテレシアは好奇心旺盛な目で迫って来る。
「は、はい。実は…」
私は2人に昨夜の出来事を全て話す事にした。ベルナルド王子とテレシアに馬車で送って貰った後に父と2人で夕食を取った事、その後ベッドに入って眠りに就き、寒さで目が覚めるとそこは森の中だった事。
さらに自分の護衛騎士として雇い、馬車事故の後から行方不明になっていたジョンが目の前に現れ、いきなり命を狙われた事。そこへジョンそっくりの謎の青年が現れて突然眠らされ、目覚めるとそこは自分のベッドの上だった事。
そして廊下を出ると異変を感じ、次の瞬間再びジョンが現れて命を狙って来たものの昨夜と同様同じ青年が現れ、彼のお陰で気付けば外に出ていた事…それら全てを一気に話した。
私が話している間、途中何度もベルナルド王子やテレシアが質問してきたけれども、話の腰を折られるのが嫌で一気に説明してしまった。
「…以上ですが、何かご質問はありますか?」
「えっと…あると言えばあるけれど…」
テレシアが口ごもりながら言う。
「何言ってるんだっ?!俺は質問しかないぞ?!そもそもユリア、お前は命を狙われていたのか?大体ジョンて誰だ?そんな奴いたのか?!」
矢継ぎ早にベルナルド王子が尋ねて来るが…こちらも頭が混乱していて何が何だかわからないので王子の質問に答えるのも億劫だった。
「ベルナルド王子、そろそろ学校へ行った方がいいのではないですか?」
「おい。今俺の質問を無視したな?」
「そうね、そろそろ学校へ行った方がいいかもしれないわね。ユリアさんはどうするの?」
「行った方が…いいのかしら…?」
自分でもどうすれば良いのか分からなかった。
思わずポツリと呟くとベルナルド王子が言った。
「ああ、そうだな。行った方がいいに決まっている。こういう時こそ何気ない日常を送るべきだ」
「何言ってるの?屋敷の中がどうなっているか心配よ。今日は学校を休むベきだわ」
テレシアは真逆の意見を述べる。
「何言ってるんだ?屋敷に戻ったらまだあの殺人鬼がうろついてるかもしれないだろう?ユリアがまた危険な目に遭わされたらどうするんだっ?!」
殺人鬼…ジョンの事だろうか?
「だからこそでしょうっ?!屋敷の人達がどうなったか気になるじゃないっ!学校へ行くよりもまずは屋敷へ様子を見に行くべきよっ!」
「何だと?!」
「何よっ?!」
そして激しくにらみ合う2人。これではまるでらちがあかない。
「2人共、落ち着いてくださいっ!いいことを思いつきましたからっ!」
「いいこと?」
「一体どんな?」
ベルナルド王子とテレシアは同時に私を見た。
「ええ、いいですか?それは…」
私の話に2人は目を見開いた―。
見知った顔がこちらへ向かって駆けつけてくる姿を見て、安堵のあまり腰が抜けて地面に座り込んでしまった。
「どうしたんだっ?!ユリアッ!」
「ユリアさん、しっかりして!」
2人から支えられて、何とか立ち上がるとすぐにベルナルド王子が口を開いた。
「ユリア、心配させるなっ!今の今まで何処で何をしていたんだっ?!」
「私達ずっと心配していたのよ?何日も学校を休むから様子を見に来てみれば屋敷に見えない壁でも出来たかのように近寄ることが出来ないし…」
「えっ?!ほ、本当にっ?!それならあれから何日経過しているんですかっ?!」
「俺たちがユリアを屋敷へ送った日から10日経過しているぞ?」
「10日…?そ、そんな…」
まさかの話に驚いた。あれから10日も経過していたなんて…。
「それで今日も試しに屋敷へ寄ったのよ?そうしたらユリアさんが突然空中から現れたのだから…本当に驚いたわ」
「一体何があったんだ?まぁ今日は遅刻しても別に構う事はないだろう。話を聞くぞ?」
ベルナルド王子はそういうけれども、本当に遅刻しても構わないのだろうか?
「ええ、そうね。もし遅刻して何かお咎めがあった場合は権力を行使してしまえばいいのよ」
テレシアは確か王族である身分を隠したいのではなかったっけ?それなのに権力を行使すればいいって…。
「ほら、早く話せ」
「ええ、話してよ」
ベルナルド王子とテレシアは好奇心旺盛な目で迫って来る。
「は、はい。実は…」
私は2人に昨夜の出来事を全て話す事にした。ベルナルド王子とテレシアに馬車で送って貰った後に父と2人で夕食を取った事、その後ベッドに入って眠りに就き、寒さで目が覚めるとそこは森の中だった事。
さらに自分の護衛騎士として雇い、馬車事故の後から行方不明になっていたジョンが目の前に現れ、いきなり命を狙われた事。そこへジョンそっくりの謎の青年が現れて突然眠らされ、目覚めるとそこは自分のベッドの上だった事。
そして廊下を出ると異変を感じ、次の瞬間再びジョンが現れて命を狙って来たものの昨夜と同様同じ青年が現れ、彼のお陰で気付けば外に出ていた事…それら全てを一気に話した。
私が話している間、途中何度もベルナルド王子やテレシアが質問してきたけれども、話の腰を折られるのが嫌で一気に説明してしまった。
「…以上ですが、何かご質問はありますか?」
「えっと…あると言えばあるけれど…」
テレシアが口ごもりながら言う。
「何言ってるんだっ?!俺は質問しかないぞ?!そもそもユリア、お前は命を狙われていたのか?大体ジョンて誰だ?そんな奴いたのか?!」
矢継ぎ早にベルナルド王子が尋ねて来るが…こちらも頭が混乱していて何が何だかわからないので王子の質問に答えるのも億劫だった。
「ベルナルド王子、そろそろ学校へ行った方がいいのではないですか?」
「おい。今俺の質問を無視したな?」
「そうね、そろそろ学校へ行った方がいいかもしれないわね。ユリアさんはどうするの?」
「行った方が…いいのかしら…?」
自分でもどうすれば良いのか分からなかった。
思わずポツリと呟くとベルナルド王子が言った。
「ああ、そうだな。行った方がいいに決まっている。こういう時こそ何気ない日常を送るべきだ」
「何言ってるの?屋敷の中がどうなっているか心配よ。今日は学校を休むベきだわ」
テレシアは真逆の意見を述べる。
「何言ってるんだ?屋敷に戻ったらまだあの殺人鬼がうろついてるかもしれないだろう?ユリアがまた危険な目に遭わされたらどうするんだっ?!」
殺人鬼…ジョンの事だろうか?
「だからこそでしょうっ?!屋敷の人達がどうなったか気になるじゃないっ!学校へ行くよりもまずは屋敷へ様子を見に行くべきよっ!」
「何だと?!」
「何よっ?!」
そして激しくにらみ合う2人。これではまるでらちがあかない。
「2人共、落ち着いてくださいっ!いいことを思いつきましたからっ!」
「いいこと?」
「一体どんな?」
ベルナルド王子とテレシアは同時に私を見た。
「ええ、いいですか?それは…」
私の話に2人は目を見開いた―。
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