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第83話 私の命を狙う者は
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嘘だ、そんな信じられない…。
美しい満月を背に、剣を私に向けているのは馬車事故の時から行方不明になっていたジョンだった。
「このまま大人しく眠っていれば…何も分からない内に死ねたものを…。本当に相変わらずユリアは要領が悪いな」
「ジョ、ジョン…う、嘘でしょう…?どうしてこんな真似を…?」
月明かりに照らされてキラリと冷たく光る剣。
「ジョン?ああ…そう言えばそんな名前を名乗っていたっけな…すっかり忘れていたよ」
ジョンはゾクリとする位、美しい笑みを浮かべて私を見る。
「な、何故…あ、貴方は…私の護衛騎士じゃなかったの…?」
恐怖で腰が抜けて立つことが出来ない。それでも何か話し続けていなければ、すぐにでも殺されてしまいそうで怖い。
「護衛騎士…?ああ、正確に言えば護衛騎士のフリをしてユリアの命を狙っていた…と言ったほうがいいんじゃないか?」
「な、何故よっ!どうして私を殺そうとするのよ…!わ、私…殺されなければならないほど…あ、貴方に恨みを買ったの?!」
そうだ、私はまだ記憶を半分も取り戻していないのだから、恨みを買う理由すら分からない。
「恨み?いや、俺はユリアには何一つ恨みなんか持っちゃいない。むしろ殺すには少しだけ惜しい人物かなとも思っている。何しろユリアはからかい甲斐があったからな」
クックッと肩で笑うジョン。だったらこのまま見逃してくれないだろうか?けれど、ジョンは相変わらず剣の切っ先を私に向けている。…恐らく見逃すつもりはさらさら無いのだろう。
「ね、ねぇ…私を助けるふりをして…本当は殺そうとしていたって言うわけ…?」
するとジョンは顔をしかめると言った。
「全く…相変わらずユリアは馬鹿だな。もうすぐ殺されるかもしれないっていうのによくも口が回るものだ。普通ならここで命乞いをするんじゃないか?」
「それじゃ…命乞いをすれば…た、助けてくれるって言うの?」
「いや、それはないな。ユリアには今ここで死んでもらう」
「な、なんでよっ!そ、そうだっ!い、いくらで雇われたか知らないけど…お、お金なら払うわっ!雇われた金額の…2倍…い、いえ!3倍支払うわっ!」
「悪いが、金で雇われたけわけじゃないんでね…それは無理だ」
ジョンは首を振る。
そ、そんな…っ!
「そ、それじゃ…!」
そこまで言いかけて私は口を閉ざした。
「何だ?言いかけて途中でやめるな。気分が悪い」
私を殺そうとしているくせに、こんな時でもジョンはジョンだ。
「いいえ…言わないわ…言えないわよっ!」
半ば自棄気味になって私は叫ぶ。
「何で言わないんだよ?」
「だ、だってもし言えば…死亡フラグが立つからよーっ!」
「…何だ?死亡フラグって?初めて聞く言葉だ」
ジョンが首を傾げる。
「ええ、そうでしょうよ。だって貴方に分かるはずないわよ。そもそも死亡フラグって言うのはねぇ…アニメやゲーム、もしくはドラマなんかでこの言動を取れば、そのまま死ぬ流れに繋がっていく事を指している言葉なんだからっ!」
「何だ?やっぱりユリアは頭の弱い人間だったんだな?アニメとかゲームとか…訳の分からないことを…もう話しを聞くのも面倒だ。ここで大人しく死ぬんだな」
そしてジョンは剣を私に向かって振り下ろした。
シュンッ!!
その瞬間―。
キィンッ!!
金属が弾き返される音が聞こえた。
「え…?」
見ると、私の周囲にシールドのようなものが張られている。
「チッ!」
その瞬間、ジョン目掛けて雷が落ちてきた。
ドォォォォンッ!!
地面が大きくえぐられ、辺り一帯が土埃に覆われる。
「クソッ!貴様かっ?!」
ジョンの焦る声が聞こえるも、周りが土埃で何も見えない。
「ユリア、大丈夫だったかい?」
すぐ背後で誰かの声が聞こえた。そして助け起こされた。
「え?」
振り向くとそこには…。
「ジョ、ジョン…?い、いえ…違うわ…あ、貴方は…?」
誰だろう?ジョンはこんなに優しい表情をしない。
すると彼は言った。
「ごめん、今は説明している時間はないんだ。奴はユリアの意識を感知する。悪いけど…少し眠っててもらうよ」
「え…?」
彼が私の額に手をかざした次の瞬間…私は意識を無くした―。
美しい満月を背に、剣を私に向けているのは馬車事故の時から行方不明になっていたジョンだった。
「このまま大人しく眠っていれば…何も分からない内に死ねたものを…。本当に相変わらずユリアは要領が悪いな」
「ジョ、ジョン…う、嘘でしょう…?どうしてこんな真似を…?」
月明かりに照らされてキラリと冷たく光る剣。
「ジョン?ああ…そう言えばそんな名前を名乗っていたっけな…すっかり忘れていたよ」
ジョンはゾクリとする位、美しい笑みを浮かべて私を見る。
「な、何故…あ、貴方は…私の護衛騎士じゃなかったの…?」
恐怖で腰が抜けて立つことが出来ない。それでも何か話し続けていなければ、すぐにでも殺されてしまいそうで怖い。
「護衛騎士…?ああ、正確に言えば護衛騎士のフリをしてユリアの命を狙っていた…と言ったほうがいいんじゃないか?」
「な、何故よっ!どうして私を殺そうとするのよ…!わ、私…殺されなければならないほど…あ、貴方に恨みを買ったの?!」
そうだ、私はまだ記憶を半分も取り戻していないのだから、恨みを買う理由すら分からない。
「恨み?いや、俺はユリアには何一つ恨みなんか持っちゃいない。むしろ殺すには少しだけ惜しい人物かなとも思っている。何しろユリアはからかい甲斐があったからな」
クックッと肩で笑うジョン。だったらこのまま見逃してくれないだろうか?けれど、ジョンは相変わらず剣の切っ先を私に向けている。…恐らく見逃すつもりはさらさら無いのだろう。
「ね、ねぇ…私を助けるふりをして…本当は殺そうとしていたって言うわけ…?」
するとジョンは顔をしかめると言った。
「全く…相変わらずユリアは馬鹿だな。もうすぐ殺されるかもしれないっていうのによくも口が回るものだ。普通ならここで命乞いをするんじゃないか?」
「それじゃ…命乞いをすれば…た、助けてくれるって言うの?」
「いや、それはないな。ユリアには今ここで死んでもらう」
「な、なんでよっ!そ、そうだっ!い、いくらで雇われたか知らないけど…お、お金なら払うわっ!雇われた金額の…2倍…い、いえ!3倍支払うわっ!」
「悪いが、金で雇われたけわけじゃないんでね…それは無理だ」
ジョンは首を振る。
そ、そんな…っ!
「そ、それじゃ…!」
そこまで言いかけて私は口を閉ざした。
「何だ?言いかけて途中でやめるな。気分が悪い」
私を殺そうとしているくせに、こんな時でもジョンはジョンだ。
「いいえ…言わないわ…言えないわよっ!」
半ば自棄気味になって私は叫ぶ。
「何で言わないんだよ?」
「だ、だってもし言えば…死亡フラグが立つからよーっ!」
「…何だ?死亡フラグって?初めて聞く言葉だ」
ジョンが首を傾げる。
「ええ、そうでしょうよ。だって貴方に分かるはずないわよ。そもそも死亡フラグって言うのはねぇ…アニメやゲーム、もしくはドラマなんかでこの言動を取れば、そのまま死ぬ流れに繋がっていく事を指している言葉なんだからっ!」
「何だ?やっぱりユリアは頭の弱い人間だったんだな?アニメとかゲームとか…訳の分からないことを…もう話しを聞くのも面倒だ。ここで大人しく死ぬんだな」
そしてジョンは剣を私に向かって振り下ろした。
シュンッ!!
その瞬間―。
キィンッ!!
金属が弾き返される音が聞こえた。
「え…?」
見ると、私の周囲にシールドのようなものが張られている。
「チッ!」
その瞬間、ジョン目掛けて雷が落ちてきた。
ドォォォォンッ!!
地面が大きくえぐられ、辺り一帯が土埃に覆われる。
「クソッ!貴様かっ?!」
ジョンの焦る声が聞こえるも、周りが土埃で何も見えない。
「ユリア、大丈夫だったかい?」
すぐ背後で誰かの声が聞こえた。そして助け起こされた。
「え?」
振り向くとそこには…。
「ジョ、ジョン…?い、いえ…違うわ…あ、貴方は…?」
誰だろう?ジョンはこんなに優しい表情をしない。
すると彼は言った。
「ごめん、今は説明している時間はないんだ。奴はユリアの意識を感知する。悪いけど…少し眠っててもらうよ」
「え…?」
彼が私の額に手をかざした次の瞬間…私は意識を無くした―。
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