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第67話 もうひとりの兄
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「な、何者って…?」
私の背中に冷や汗が流れた。
「とぼけるな。お前本当は妹の姿そっくりに化けた別人だろう?白状しろ!」
兄が一歩近付いてくる。
「そ、そんな事言われても…」
後ずさりながら、ジリジリ私は徐々に壁際に追い詰められていく。そんな兄は私を睨みつけながら迫ってくる。
「あ…」
ついに壁に追い詰められてしまった。
ダンッ!!
「ヒッ!」
兄が両手を壁につ付き、私は逃げ場を失ってしまった。
「さぁ、答えろ。お前は何者だ?ユリアのフリをして一体何を考えている?何が狙いなんだ?本物のユリアを何処に隠したんだ?!」
兄は私を睨みつけながら矢継ぎ早に答えを迫ってくる。無理だ、私は記憶喪失だと言うのに…答えられるはずがない。
その時―
バンッ!
扉が突然開かれ、またしても見知らぬ青年が部屋の中に入ってきた。そして壁際に囲い込まれている私を見ると声を上げた。
「シリウスッ!お前…ユリアに何をしているんだっ?!」
そして大股で近づくとシリウスお兄様の肩をグイッとつかみ、私から引き離してくれた。
「何をするんだっ!兄さんっ!」
兄さん?それじゃ…この人が長男の『アレス』?
「よせっ!父さんから聞いているんだろう?ユリアが馬車事故で10日間も意識が戻らなかったことを…お前は病み上がりの妹に何をしているんだ!」
おおっ!アレス兄様は2番めの兄より理解力がある人なのかもしれない。
「何が妹だ!あいつは妹のふりをした真っ赤な偽物かもしれないだろうっ?!」
「何でそんな風に思うんだ?何処からどう見ても俺たちの妹のユリアじゃないかっ!」
「そんな事信じられるかっ!大体あいつは記憶喪失で何も覚えていないなんて言うんだぞ?それこそ怪しいじゃないかっ!」
うんうん、確かに怪しまれても無理はない。記憶喪失なんですと言って、はい、そうですかと納得する人はそうそういないと思う、自分自身で怪しいと思うのだから、他の人から見れば余計怪しく見えるだろう。
「まぁ、待て。落ち着くんだ。シリウス。いくら記憶喪失だからと言ってまるきり何もかも忘れているとは限らないだろう?」
「え?」
アレス兄さんが妙な事をいい出した。
「あ、ああ…確かにそうかもしれないな。人間そう簡単に全ての記憶を無くすはずがないからな」
シリウス兄さんが同意する。
んん?
「よし、それならユリアに簡単な質問をしてみればいいんだ」
「そうだね、兄さん。記憶を失っていても本物のユリアなら答えられる質問をしよう」
「ああ、それで答えられなければ尋問すればいいだけだ」
え…ええええっ?!な、なんだか話がまずい方向に進んでいるのだけど…。
「よし、兄さん。どんな質問をしようか?」
「そうだな…」
な、何て事だろう!いつの間にか2人の兄は結託して私にどんな質問をしようか話し合っている!このままではまずい…。
そ、そうだ。逃げよう…。
幸い、2人の兄は私に質問する内容を話し合っている真っ最中でこちらを見ていない。よし、今のうちに逃げて…。
そろそろと背を向けて部屋から出ようとした時―。
「「何処へ行くんだ?」」
背後で2人の兄に呼び止められた。
「え、えっと…ちょっと外の空気を吸いに…?」
「ああ、出掛けてもいいが…その前に質問がある」
アレス兄さんが私に言う。
「いいか、質問だ。俺たちの母さんの名前を言ってみろ」
「え…?」
シリウス兄さんの質問に私は頭の中が真っ白になった―。
私の背中に冷や汗が流れた。
「とぼけるな。お前本当は妹の姿そっくりに化けた別人だろう?白状しろ!」
兄が一歩近付いてくる。
「そ、そんな事言われても…」
後ずさりながら、ジリジリ私は徐々に壁際に追い詰められていく。そんな兄は私を睨みつけながら迫ってくる。
「あ…」
ついに壁に追い詰められてしまった。
ダンッ!!
「ヒッ!」
兄が両手を壁につ付き、私は逃げ場を失ってしまった。
「さぁ、答えろ。お前は何者だ?ユリアのフリをして一体何を考えている?何が狙いなんだ?本物のユリアを何処に隠したんだ?!」
兄は私を睨みつけながら矢継ぎ早に答えを迫ってくる。無理だ、私は記憶喪失だと言うのに…答えられるはずがない。
その時―
バンッ!
扉が突然開かれ、またしても見知らぬ青年が部屋の中に入ってきた。そして壁際に囲い込まれている私を見ると声を上げた。
「シリウスッ!お前…ユリアに何をしているんだっ?!」
そして大股で近づくとシリウスお兄様の肩をグイッとつかみ、私から引き離してくれた。
「何をするんだっ!兄さんっ!」
兄さん?それじゃ…この人が長男の『アレス』?
「よせっ!父さんから聞いているんだろう?ユリアが馬車事故で10日間も意識が戻らなかったことを…お前は病み上がりの妹に何をしているんだ!」
おおっ!アレス兄様は2番めの兄より理解力がある人なのかもしれない。
「何が妹だ!あいつは妹のふりをした真っ赤な偽物かもしれないだろうっ?!」
「何でそんな風に思うんだ?何処からどう見ても俺たちの妹のユリアじゃないかっ!」
「そんな事信じられるかっ!大体あいつは記憶喪失で何も覚えていないなんて言うんだぞ?それこそ怪しいじゃないかっ!」
うんうん、確かに怪しまれても無理はない。記憶喪失なんですと言って、はい、そうですかと納得する人はそうそういないと思う、自分自身で怪しいと思うのだから、他の人から見れば余計怪しく見えるだろう。
「まぁ、待て。落ち着くんだ。シリウス。いくら記憶喪失だからと言ってまるきり何もかも忘れているとは限らないだろう?」
「え?」
アレス兄さんが妙な事をいい出した。
「あ、ああ…確かにそうかもしれないな。人間そう簡単に全ての記憶を無くすはずがないからな」
シリウス兄さんが同意する。
んん?
「よし、それならユリアに簡単な質問をしてみればいいんだ」
「そうだね、兄さん。記憶を失っていても本物のユリアなら答えられる質問をしよう」
「ああ、それで答えられなければ尋問すればいいだけだ」
え…ええええっ?!な、なんだか話がまずい方向に進んでいるのだけど…。
「よし、兄さん。どんな質問をしようか?」
「そうだな…」
な、何て事だろう!いつの間にか2人の兄は結託して私にどんな質問をしようか話し合っている!このままではまずい…。
そ、そうだ。逃げよう…。
幸い、2人の兄は私に質問する内容を話し合っている真っ最中でこちらを見ていない。よし、今のうちに逃げて…。
そろそろと背を向けて部屋から出ようとした時―。
「「何処へ行くんだ?」」
背後で2人の兄に呼び止められた。
「え、えっと…ちょっと外の空気を吸いに…?」
「ああ、出掛けてもいいが…その前に質問がある」
アレス兄さんが私に言う。
「いいか、質問だ。俺たちの母さんの名前を言ってみろ」
「え…?」
シリウス兄さんの質問に私は頭の中が真っ白になった―。
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