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第51話 腑に落ちない
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理事長室の前に立ち、ノックをする前に私は深呼吸することにした。
「す~…は~…」
よし、心も落ち着いたところだし…。
コンコン
扉をノックした。
「うん?誰だね?」
「おはようございます。ユリア・アルフォンスです」
「何?…入り給え」
「はい、失礼致します…」
私は扉を開けると、理事長室の中へ足を踏み入れた。
「アルフォンス嬢、どうしたのだ?突然私を尋ねてくるとは…」
「え?あの…私をお呼びでは無かったのですか?」
「いや?呼んではおらんが?」
「で、ですが…魔法学のキャロライン先生が辞めてしまったので、代わりに理事長にレポートと反省文の提出をする事になったのですよね?」
「何だと?そんな話は初耳だが?大体、ミス・キャロラインが辞めた?本気で言っているのかね?」
理事長はとても嘘をついているようには見えなかった。それならジョンが勝手に作り話をしたのだろうか?
「そ、そんな…」
分からない。ジョンが何故そんな嘘をついたのか…?
すると、その時―。
コンコンコンッ!
扉を乱暴にノックする音が聞こえた。
「誰だね!」
「私です、校長です!」
「何だ。今取り込み中なのだ。悪いが後にしてもらえるか?」
すると校長先生の声が尚も続く。
「大変なんです!今朝私の机の上にミス・キャロラインの辞職願いが置かれていたのです!」
「何だとっ?!」
「え?!」
あろうことか、私は理事長と顔を合わせてしまった。理事長の顔にも戸惑いの表情が浮かんでいる。
「校長、中へ入り給え」
理事長は扉に向かって言うと、すぐに校長先生?が部屋の中に入ってきた。
「失礼致します」
一礼すると理事長の元へと歩み寄る。校長と呼ばれた男性は50代半ばに見えた。
成程…あの人が校長先生…しかし、やはり私の知らない顔だった。
「一体どういうことなのだね?辞職願が置かれていたとは?」
早速理事長が校長先生に尋ねてくる。
「はい、私がいつものように今朝出勤してくると、机の上には辞職願と書かれた封筒が置かれていたのです。しかも名前はミス・キャロラインのものでした。こちらがその手紙です」
校長先生は理事長に封筒を手渡した。
「どれ…」
封筒を受け取った理事長は中から手紙を取り出し、目を走らせた。
「間違いない…確かにこれは辞職願だ。大した魔力も無いのに、魔法学を教えるだけのレベルに届かない自分が生徒達に教える資格は無いので退職させて欲しいと書かれている」
「…!」
理事長の言葉に息を飲む。
「確かに…アルフォンス令嬢の言う通り…ミス・キャロラインは辞めてしまったのだな…。しかし、何故その事を君が知っていたのかね?」
ジロリと私を見ながら理事長が言う。う…。何故だろう?何故か分からないが怪しい雲行きを感じる…。そこで私は慌てて言った。
「し、知りませんっ!本当に何も知りませんよ?私はただ、今朝ジョンに魔法学の女教師がクビにされたから代わりに理事長本人にレポート用紙と反省文を手渡すように言われただけですから!」
「何だって?少なくとも私は彼女にクビになど…」
しかし、そこで校長が何故か一瞬肩をビクリとさせる。
「…そう言えば、それらしき話をした事を思い出しました」
「何だって?」
理事長が眉をひそめる。
「はい、確かに言いました。私は彼女に、一定レベルの魔力もない人間は魔法学を教える資格はないと言いましたが、それをクビにされたと取ってしまったのでしょうか…?」
「成程、そういう事ならこの辞職願は受け取ろう。ではアルフォンス令嬢。私が代わりに君のレポートと反省文を預からせてもらおう。出しなさい」
「は、はい。分かりました」
早速持っていた鞄からレポート用紙と反省文を理事長に手渡した。
「うむ、確かに預かったぞ。それではもう教室に戻り給え」
「は、はい。失礼致します…」
頭を下げると私は理事長室を後にした。
何か腑に落ちない、モヤモヤした気持ちを抱えながら―。
「す~…は~…」
よし、心も落ち着いたところだし…。
コンコン
扉をノックした。
「うん?誰だね?」
「おはようございます。ユリア・アルフォンスです」
「何?…入り給え」
「はい、失礼致します…」
私は扉を開けると、理事長室の中へ足を踏み入れた。
「アルフォンス嬢、どうしたのだ?突然私を尋ねてくるとは…」
「え?あの…私をお呼びでは無かったのですか?」
「いや?呼んではおらんが?」
「で、ですが…魔法学のキャロライン先生が辞めてしまったので、代わりに理事長にレポートと反省文の提出をする事になったのですよね?」
「何だと?そんな話は初耳だが?大体、ミス・キャロラインが辞めた?本気で言っているのかね?」
理事長はとても嘘をついているようには見えなかった。それならジョンが勝手に作り話をしたのだろうか?
「そ、そんな…」
分からない。ジョンが何故そんな嘘をついたのか…?
すると、その時―。
コンコンコンッ!
扉を乱暴にノックする音が聞こえた。
「誰だね!」
「私です、校長です!」
「何だ。今取り込み中なのだ。悪いが後にしてもらえるか?」
すると校長先生の声が尚も続く。
「大変なんです!今朝私の机の上にミス・キャロラインの辞職願いが置かれていたのです!」
「何だとっ?!」
「え?!」
あろうことか、私は理事長と顔を合わせてしまった。理事長の顔にも戸惑いの表情が浮かんでいる。
「校長、中へ入り給え」
理事長は扉に向かって言うと、すぐに校長先生?が部屋の中に入ってきた。
「失礼致します」
一礼すると理事長の元へと歩み寄る。校長と呼ばれた男性は50代半ばに見えた。
成程…あの人が校長先生…しかし、やはり私の知らない顔だった。
「一体どういうことなのだね?辞職願が置かれていたとは?」
早速理事長が校長先生に尋ねてくる。
「はい、私がいつものように今朝出勤してくると、机の上には辞職願と書かれた封筒が置かれていたのです。しかも名前はミス・キャロラインのものでした。こちらがその手紙です」
校長先生は理事長に封筒を手渡した。
「どれ…」
封筒を受け取った理事長は中から手紙を取り出し、目を走らせた。
「間違いない…確かにこれは辞職願だ。大した魔力も無いのに、魔法学を教えるだけのレベルに届かない自分が生徒達に教える資格は無いので退職させて欲しいと書かれている」
「…!」
理事長の言葉に息を飲む。
「確かに…アルフォンス令嬢の言う通り…ミス・キャロラインは辞めてしまったのだな…。しかし、何故その事を君が知っていたのかね?」
ジロリと私を見ながら理事長が言う。う…。何故だろう?何故か分からないが怪しい雲行きを感じる…。そこで私は慌てて言った。
「し、知りませんっ!本当に何も知りませんよ?私はただ、今朝ジョンに魔法学の女教師がクビにされたから代わりに理事長本人にレポート用紙と反省文を手渡すように言われただけですから!」
「何だって?少なくとも私は彼女にクビになど…」
しかし、そこで校長が何故か一瞬肩をビクリとさせる。
「…そう言えば、それらしき話をした事を思い出しました」
「何だって?」
理事長が眉をひそめる。
「はい、確かに言いました。私は彼女に、一定レベルの魔力もない人間は魔法学を教える資格はないと言いましたが、それをクビにされたと取ってしまったのでしょうか…?」
「成程、そういう事ならこの辞職願は受け取ろう。ではアルフォンス令嬢。私が代わりに君のレポートと反省文を預からせてもらおう。出しなさい」
「は、はい。分かりました」
早速持っていた鞄からレポート用紙と反省文を理事長に手渡した。
「うむ、確かに預かったぞ。それではもう教室に戻り給え」
「は、はい。失礼致します…」
頭を下げると私は理事長室を後にした。
何か腑に落ちない、モヤモヤした気持ちを抱えながら―。
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