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第50話 迷惑王子
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「わ、分かりましたよ!行きますよ。行けばいいんでしょうっ?!」
ええっ?!貴方はベルナルド王子の腰ぎんちゃくじゃなかったのですか?何でそんな反抗的な言葉使いをするのだろう?でも確かにあんな態度を取られたら良い気分では無いだろうけど…。
「ああ、さっさと行け行け」
「チッ!」
なんとマテオは最後に舌打ちすると走り去って行った。それを憎々しげ?に見つめるベルナルド王子。一体、彼らの主従関係はどうなっているのだろう…?
唖然として、ベルナルド王子を見つめていると、私の視線に気付いたのかこちらを振り向いた。
「…何だ?そんなにじっと俺の顔に見惚れて…」
は?
「まぁ、見惚れたくなるのも無理はないが…な」
いえいえ、顔ならジョンの方が美しいですけど?しかしその台詞は決して言わない。
「よし、では行くぞ。理事長室に何の用事があるかわ分からないが…俺が特別に連れて行ってやろう。光栄に思えよ?」
そしてベルナルド王子は不敵?に笑った。
「は、はぁ…ありがとうございます」
私としては少しも光栄に思えないけれども、仮にも相手は王子様。下手に逆らって不敬罪に問われてはたまらない。
「よし、行くぞ」
そしてベルナルド王子は何故か私の隣に並んで歩き出した。
「…」
私は半ば呆れながら隣を歩くベルナルド王子を見た。一体この王子は何を考えているのだろう?あれ程私のことを馬鹿にして、毛嫌いしていたにも関わらず、婚約破棄をした途端にこんな風に懐いて?くるなんて…。
そこまで考えて、私は大事なことに気がついた。
「ベルナルド王子、そう言えば婚約破棄と請求書の件はどうなりましたか?」
「ああ。請求書の件なら気にするな。たかだか上着が1着燃やされて、踏みつけられて使い物にならなくなったからと言って、請求するような了見の狭い人間ではないぞ?だから気にするな」
「は、はい…ありがとうございます…」
言葉の節々に嫌味を織り交ぜながらベルナルド王子は言う。しかし、そんな言われ方をされれば気にするなという方が無理である。
「それなら婚約破棄の件はどうなりましたか?昨夜、国王陛下に話して頂けたのですよね?」
すると…。
「それが実はな…。昨夜話をするのを忘れてしまったのだ」
「え?忘れた…?冗談ですよね?」
昨日、帰り際に念押ししたのに忘れた?とてもではないが信じられない。
「いや、俺は冗談を言うような人間ではない。本当に話をするのを忘れてしまったのだ」
そんな…折角ベルナルド王子と縁が切れると思っていたのに…。
「何故ですかっ?!何故話をするのを忘れてしまったのですか?」
「仕方ないだろう?お前の屋敷であんな目に遭った直後なんだからっ!」
「え…?あんな事…?」
「ああ、そうだ。突如、俺の上着が発火して、危うく大やけどをしそうになった事件だ。しかもあの上着は特注品で一品物だったのに…誰かが踏みつけて、台無しにしてしまったからな」
「う…で、ですから請求書を…」
「その件は気にするなと言っただろう?とりあえず婚約破棄の件はまだ父に伝えられていない。分かったか?」
「わ、分かりました…。では今夜こそ国王陛下に婚約破棄の件、伝えて下さいね」
しかし、その言葉には返事をせずにベルナルド王子は言った。
「ほら、理事長室に着いたぞ。帰りは1人で戻れるな?」
「は、はい…恐らく」
「それじゃ、またな」
「は?」
それよりまたって?またって何?
返事をするまもなく、ベルナルド王子は足早に立ち去っていった―。
ええっ?!貴方はベルナルド王子の腰ぎんちゃくじゃなかったのですか?何でそんな反抗的な言葉使いをするのだろう?でも確かにあんな態度を取られたら良い気分では無いだろうけど…。
「ああ、さっさと行け行け」
「チッ!」
なんとマテオは最後に舌打ちすると走り去って行った。それを憎々しげ?に見つめるベルナルド王子。一体、彼らの主従関係はどうなっているのだろう…?
唖然として、ベルナルド王子を見つめていると、私の視線に気付いたのかこちらを振り向いた。
「…何だ?そんなにじっと俺の顔に見惚れて…」
は?
「まぁ、見惚れたくなるのも無理はないが…な」
いえいえ、顔ならジョンの方が美しいですけど?しかしその台詞は決して言わない。
「よし、では行くぞ。理事長室に何の用事があるかわ分からないが…俺が特別に連れて行ってやろう。光栄に思えよ?」
そしてベルナルド王子は不敵?に笑った。
「は、はぁ…ありがとうございます」
私としては少しも光栄に思えないけれども、仮にも相手は王子様。下手に逆らって不敬罪に問われてはたまらない。
「よし、行くぞ」
そしてベルナルド王子は何故か私の隣に並んで歩き出した。
「…」
私は半ば呆れながら隣を歩くベルナルド王子を見た。一体この王子は何を考えているのだろう?あれ程私のことを馬鹿にして、毛嫌いしていたにも関わらず、婚約破棄をした途端にこんな風に懐いて?くるなんて…。
そこまで考えて、私は大事なことに気がついた。
「ベルナルド王子、そう言えば婚約破棄と請求書の件はどうなりましたか?」
「ああ。請求書の件なら気にするな。たかだか上着が1着燃やされて、踏みつけられて使い物にならなくなったからと言って、請求するような了見の狭い人間ではないぞ?だから気にするな」
「は、はい…ありがとうございます…」
言葉の節々に嫌味を織り交ぜながらベルナルド王子は言う。しかし、そんな言われ方をされれば気にするなという方が無理である。
「それなら婚約破棄の件はどうなりましたか?昨夜、国王陛下に話して頂けたのですよね?」
すると…。
「それが実はな…。昨夜話をするのを忘れてしまったのだ」
「え?忘れた…?冗談ですよね?」
昨日、帰り際に念押ししたのに忘れた?とてもではないが信じられない。
「いや、俺は冗談を言うような人間ではない。本当に話をするのを忘れてしまったのだ」
そんな…折角ベルナルド王子と縁が切れると思っていたのに…。
「何故ですかっ?!何故話をするのを忘れてしまったのですか?」
「仕方ないだろう?お前の屋敷であんな目に遭った直後なんだからっ!」
「え…?あんな事…?」
「ああ、そうだ。突如、俺の上着が発火して、危うく大やけどをしそうになった事件だ。しかもあの上着は特注品で一品物だったのに…誰かが踏みつけて、台無しにしてしまったからな」
「う…で、ですから請求書を…」
「その件は気にするなと言っただろう?とりあえず婚約破棄の件はまだ父に伝えられていない。分かったか?」
「わ、分かりました…。では今夜こそ国王陛下に婚約破棄の件、伝えて下さいね」
しかし、その言葉には返事をせずにベルナルド王子は言った。
「ほら、理事長室に着いたぞ。帰りは1人で戻れるな?」
「は、はい…恐らく」
「それじゃ、またな」
「は?」
それよりまたって?またって何?
返事をするまもなく、ベルナルド王子は足早に立ち去っていった―。
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