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第47話 夢見の悪い朝
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「お、終わったわ…これでやっと寝れるわ」
ライティングデスクの上にペンを置くと、身体を伸ばして私は恨めしい気持ちで隣のジョンの部屋へと続く扉を見つめた。ジョンは今から2時間ほど前に「では引き続き頑張って下さい」と言って部屋に戻ってしまったのだ。
「全く…私は少しも悪くないのに、こんな事させられて…割に合わないったら無いわ」
けれど、レポートをまとめることによって、今迄ちんぷんかんぷんだった魔法学の知識が少しは身についたのは認めざるを得ない。
「どうして記憶を失う前の私は少しの努力もしなかったのかしら…」
よし、今から少しずつ勉強を頑張ってみることにしよう。私は自分に言い聞かせ、部屋の明かりを消すとベッドへ潜り込んだ。本棚に置いてある日記帳がキラキラと光り輝いている事にも気づかずに…。
****
あ…また夢を見ている。これは昨夜の夢の続きだ…。
薄暗い森の中を私は歩いている。鬱蒼と生い茂る木々の間を抜けながら…。
夢の中の私はマント姿にフードを被っている。
< 急がなくちゃ… >
そこで私の目は覚めた―。
「…」
金ピカに光り輝く天井を眺めながら、何とも寝覚めの悪い朝を迎えた私。それにしても一体あの夢は何だろう…?夢にしてはやけにリアルだった。私の耳にはまだ森に響き渡る不気味なフクロウの声や、草を踏みしめて歩いた感覚が身体の中に残っている。
「あれは夢だったのかしら。夢にしてはやけにリアルだったわ…」
夢の中の私は1人であんな不気味な森を何故歩いていたのだろう?ひょっとすると誰かに会いに行こうとしていたのだろうか…?会いに…?そう言えば、私は…。
なにか重大な事を思い出しかけたその時―。
「いつまでお休みになっているおつもりですか?ユリアお嬢様」
突如、ジョンが私の前に顔を突き出してきた。
「キャアアアアアッ!!」
私は思わず叫んでいた―。
「全く朝っぱらから騒がしい方ですね。ユリアお嬢様は。一々、大袈裟に叫ぶのはやめていただけませんか?」
ジョンがモーニングコーヒーを飲みながら言う。
「し、仕方ないでしょう?いきなり眠っている部屋に現れたら誰だって叫ぶわよ」
とっくに朝食を食べ終えているジョンの前で、寝坊した私はトーストにバターだけという粗末な料理を口に運びながら言う。
「ところでユリアお嬢様…何か思い出したのですか?」
「え?思い出したって…何を?」
首を傾げるとジョンが言う。
「とぼけるつもりですか?先ほどベッドの中で『あれは夢だったのかしら。夢にしてはやけにリアルだったわ…』と仰っていたじゃありませんか?」
「…ねぇ、一々私のモノマネをしながら言わないでくれる?気持ちが悪いから」
最後の一口のパンを飲み込むと言った。
「気持ちが悪いだけ余計です。それで、一体何を思い出したのです?」
何故かジョンの瞳が冷たい光をたたえているように感じる。駄目だ…ジョンの前では夢の話をしてはいけない…。
何故か私の中で警鐘が鳴っている。
「さぁ、何の事なのかさっぱり分からないわ」
食後のコーヒーを飲みながら私は言う。
「本当に何も思い出していないのでしょうね…?」
ジョンはまるで何かを探るかのような視線で私を見る。
「ええ、本当に何も思い出せないのよ。嘘ついてどうするのよ」
「…仕方ありませんね。とりあえず信じて上げますか…」
「そうよ、信じる者は救われるって言うじゃない」
「は?何ですか?それは?」
ジョンが私をジロリと見た。
「いいえ、何でも無いわ。それより食事が済んだら、すぐに学校へ行かないとね」
私は残りのコーヒーを飲み終えると言った。
「そうですね…学校は大事ですから」
「ええ。何しろ退学がかかっているのでしょう?」
「その通りです。ところでユリアお嬢様…私は貴女の護衛騎士であるのですから我々の間に隠し事は一切してはいけませんからね」
「ええ。分かってるわよ」
返事をしながら私は思った。
先ほど…一瞬ジョンの顔が全く別人の様に見えてしまったという事を―。
ライティングデスクの上にペンを置くと、身体を伸ばして私は恨めしい気持ちで隣のジョンの部屋へと続く扉を見つめた。ジョンは今から2時間ほど前に「では引き続き頑張って下さい」と言って部屋に戻ってしまったのだ。
「全く…私は少しも悪くないのに、こんな事させられて…割に合わないったら無いわ」
けれど、レポートをまとめることによって、今迄ちんぷんかんぷんだった魔法学の知識が少しは身についたのは認めざるを得ない。
「どうして記憶を失う前の私は少しの努力もしなかったのかしら…」
よし、今から少しずつ勉強を頑張ってみることにしよう。私は自分に言い聞かせ、部屋の明かりを消すとベッドへ潜り込んだ。本棚に置いてある日記帳がキラキラと光り輝いている事にも気づかずに…。
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あ…また夢を見ている。これは昨夜の夢の続きだ…。
薄暗い森の中を私は歩いている。鬱蒼と生い茂る木々の間を抜けながら…。
夢の中の私はマント姿にフードを被っている。
< 急がなくちゃ… >
そこで私の目は覚めた―。
「…」
金ピカに光り輝く天井を眺めながら、何とも寝覚めの悪い朝を迎えた私。それにしても一体あの夢は何だろう…?夢にしてはやけにリアルだった。私の耳にはまだ森に響き渡る不気味なフクロウの声や、草を踏みしめて歩いた感覚が身体の中に残っている。
「あれは夢だったのかしら。夢にしてはやけにリアルだったわ…」
夢の中の私は1人であんな不気味な森を何故歩いていたのだろう?ひょっとすると誰かに会いに行こうとしていたのだろうか…?会いに…?そう言えば、私は…。
なにか重大な事を思い出しかけたその時―。
「いつまでお休みになっているおつもりですか?ユリアお嬢様」
突如、ジョンが私の前に顔を突き出してきた。
「キャアアアアアッ!!」
私は思わず叫んでいた―。
「全く朝っぱらから騒がしい方ですね。ユリアお嬢様は。一々、大袈裟に叫ぶのはやめていただけませんか?」
ジョンがモーニングコーヒーを飲みながら言う。
「し、仕方ないでしょう?いきなり眠っている部屋に現れたら誰だって叫ぶわよ」
とっくに朝食を食べ終えているジョンの前で、寝坊した私はトーストにバターだけという粗末な料理を口に運びながら言う。
「ところでユリアお嬢様…何か思い出したのですか?」
「え?思い出したって…何を?」
首を傾げるとジョンが言う。
「とぼけるつもりですか?先ほどベッドの中で『あれは夢だったのかしら。夢にしてはやけにリアルだったわ…』と仰っていたじゃありませんか?」
「…ねぇ、一々私のモノマネをしながら言わないでくれる?気持ちが悪いから」
最後の一口のパンを飲み込むと言った。
「気持ちが悪いだけ余計です。それで、一体何を思い出したのです?」
何故かジョンの瞳が冷たい光をたたえているように感じる。駄目だ…ジョンの前では夢の話をしてはいけない…。
何故か私の中で警鐘が鳴っている。
「さぁ、何の事なのかさっぱり分からないわ」
食後のコーヒーを飲みながら私は言う。
「本当に何も思い出していないのでしょうね…?」
ジョンはまるで何かを探るかのような視線で私を見る。
「ええ、本当に何も思い出せないのよ。嘘ついてどうするのよ」
「…仕方ありませんね。とりあえず信じて上げますか…」
「そうよ、信じる者は救われるって言うじゃない」
「は?何ですか?それは?」
ジョンが私をジロリと見た。
「いいえ、何でも無いわ。それより食事が済んだら、すぐに学校へ行かないとね」
私は残りのコーヒーを飲み終えると言った。
「そうですね…学校は大事ですから」
「ええ。何しろ退学がかかっているのでしょう?」
「その通りです。ところでユリアお嬢様…私は貴女の護衛騎士であるのですから我々の間に隠し事は一切してはいけませんからね」
「ええ。分かってるわよ」
返事をしながら私は思った。
先ほど…一瞬ジョンの顔が全く別人の様に見えてしまったという事を―。
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