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第12話 敵意の込められた視線
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学園に到着して馬車から降りると早速私はジョンに尋ねた。
「ねぇ、私は何年何組なのかしら?」
するとジョンは溜息をついた。
「何故そういう大事な事を今頃尋ねるのですか?普通記憶が無いのでしたら前日には確認をとるものではありませんか?」
確かに言われてみればそうかもしれないが…。
「だ、だって…校舎を見れば…記憶が戻るかもしれないと思ったのよ…」
「ご自分の部屋を見ても、鏡でご自分の姿を確認しても…何一つ思い出す事が出来なかったのに、今頃校舎を目にして記憶が戻ると思ったのですか?甘い考えですね」
きっぱり言い切られてしまった。だけど私にだって言い分がある。何もそんな言い方をしなくてもジョンの方から私のクラスを教えてくれたっていいようなものだと思った。しかし、唯一私の今の所一番?の理解者である彼の機嫌を損ねたくないので、ここはグッと我慢した。
「そうよね…言われてみればその通りだったわ…それで?私は何年何クラスなの?」
「ユリアお嬢様は3年Cクラスです。校舎はあの大きな時計が取り付けられているのと同じ建物で3階にあります。あ、ちなみに私も同じクラスに編入する事になっていますからね」
「…」
私はじっとジョンを見る。
「何ですか?」
「…今更、学生に戻るの嫌じゃない?それよりも先生になってこの学園に入って来た方が良かったのじゃないのかしら?」
まさか26歳にもなって学生に戻るなんて…私だったら折角学校を卒業して社会に出られたと言うのに、もう一度高校生をやり直すなんて絶対に嫌だけど…。するとジョンが言った。
「生徒達に授業を教える?冗談じゃありません。そんな事をしたらサボれないじゃないですか」
「サ、サボるって…」
「私は頭脳も優秀ですからね、今更誰かに教えを請うつもりも、教えるつもりも毛頭無いですから。私がこの学園に通うのはあくまでユリアお嬢様の護衛の為です」
「あ…そ、そうなのね」
「それでは私は職員室に行ってきますが…先程も言っていた通り、学園内では対等な口を聞かせてもらいますからね」
「ええ、いいわよ」
するとジョンはニヤリと不敵な笑みを浮かべると言った。
「それじゃユリア。また後でな」
そしてクルリと背を向けると、恐らく?職員室のある方角へと行ってしまった。
「そ、それにしても…何て変わり身の早さなのかしら…」
呆然としていると、私のそばを大勢の学生たちが通り過ぎていく。
「あ!こうしちゃいられないわ!私も早く教室へ行かなくちゃ!」
私は急いで校舎の入り口をくぐり抜けた―。
****
「え~と…確か私の教室は3年Cクラスで…この校舎の3階だったわよね…」
校舎に入り、教室を目指していると何故か通り過ぎる学生たちが私を遠巻きに見て、コソコソと話をしている。
「…?」
視線を向けると、何故か女子学生も男子学生もサッと顔をそらしてしまう。やれやれ…どうやら私はやはり家族からだけではなく、学校でも嫌われているようだ。
「まぁ、誰にも話しかけられない方がいいかもね…何しろ記憶が無いのだから」
ボソリと呟くと、前方から見事なまでの金色の髪に青い瞳の美しい男子学生がこちらに歩いてくるのが見えた。彼の隣には銀色の髪の美少女が並んで歩き、その2人の背後を3人のこれまたハンサムな男子学生たちがついて歩いている。彼等は一目おかれているようで、廊下を歩く学生たちはサッと道を避けている。…まぁ端っこを歩いていれば彼等の邪魔にはならないだろう。そう思い、なるべく廊下の端を歩いていると何故か5人は私のことを凝視してきた。男子学生たちは私のことを明らかに敵意のある目で見つめてくるし、女子学生は何か言いたげに…しかも何故か怯えている様子で私を見ている。…一体何だと言うのだろう?
なるべく彼等と視線を合わせないように真正面を向いて通り過ぎたその時―。
「おい、この俺を無視する気なのか?」
どこかイライラした口調で背後から声を掛けられた―。
「ねぇ、私は何年何組なのかしら?」
するとジョンは溜息をついた。
「何故そういう大事な事を今頃尋ねるのですか?普通記憶が無いのでしたら前日には確認をとるものではありませんか?」
確かに言われてみればそうかもしれないが…。
「だ、だって…校舎を見れば…記憶が戻るかもしれないと思ったのよ…」
「ご自分の部屋を見ても、鏡でご自分の姿を確認しても…何一つ思い出す事が出来なかったのに、今頃校舎を目にして記憶が戻ると思ったのですか?甘い考えですね」
きっぱり言い切られてしまった。だけど私にだって言い分がある。何もそんな言い方をしなくてもジョンの方から私のクラスを教えてくれたっていいようなものだと思った。しかし、唯一私の今の所一番?の理解者である彼の機嫌を損ねたくないので、ここはグッと我慢した。
「そうよね…言われてみればその通りだったわ…それで?私は何年何クラスなの?」
「ユリアお嬢様は3年Cクラスです。校舎はあの大きな時計が取り付けられているのと同じ建物で3階にあります。あ、ちなみに私も同じクラスに編入する事になっていますからね」
「…」
私はじっとジョンを見る。
「何ですか?」
「…今更、学生に戻るの嫌じゃない?それよりも先生になってこの学園に入って来た方が良かったのじゃないのかしら?」
まさか26歳にもなって学生に戻るなんて…私だったら折角学校を卒業して社会に出られたと言うのに、もう一度高校生をやり直すなんて絶対に嫌だけど…。するとジョンが言った。
「生徒達に授業を教える?冗談じゃありません。そんな事をしたらサボれないじゃないですか」
「サ、サボるって…」
「私は頭脳も優秀ですからね、今更誰かに教えを請うつもりも、教えるつもりも毛頭無いですから。私がこの学園に通うのはあくまでユリアお嬢様の護衛の為です」
「あ…そ、そうなのね」
「それでは私は職員室に行ってきますが…先程も言っていた通り、学園内では対等な口を聞かせてもらいますからね」
「ええ、いいわよ」
するとジョンはニヤリと不敵な笑みを浮かべると言った。
「それじゃユリア。また後でな」
そしてクルリと背を向けると、恐らく?職員室のある方角へと行ってしまった。
「そ、それにしても…何て変わり身の早さなのかしら…」
呆然としていると、私のそばを大勢の学生たちが通り過ぎていく。
「あ!こうしちゃいられないわ!私も早く教室へ行かなくちゃ!」
私は急いで校舎の入り口をくぐり抜けた―。
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「え~と…確か私の教室は3年Cクラスで…この校舎の3階だったわよね…」
校舎に入り、教室を目指していると何故か通り過ぎる学生たちが私を遠巻きに見て、コソコソと話をしている。
「…?」
視線を向けると、何故か女子学生も男子学生もサッと顔をそらしてしまう。やれやれ…どうやら私はやはり家族からだけではなく、学校でも嫌われているようだ。
「まぁ、誰にも話しかけられない方がいいかもね…何しろ記憶が無いのだから」
ボソリと呟くと、前方から見事なまでの金色の髪に青い瞳の美しい男子学生がこちらに歩いてくるのが見えた。彼の隣には銀色の髪の美少女が並んで歩き、その2人の背後を3人のこれまたハンサムな男子学生たちがついて歩いている。彼等は一目おかれているようで、廊下を歩く学生たちはサッと道を避けている。…まぁ端っこを歩いていれば彼等の邪魔にはならないだろう。そう思い、なるべく廊下の端を歩いていると何故か5人は私のことを凝視してきた。男子学生たちは私のことを明らかに敵意のある目で見つめてくるし、女子学生は何か言いたげに…しかも何故か怯えている様子で私を見ている。…一体何だと言うのだろう?
なるべく彼等と視線を合わせないように真正面を向いて通り過ぎたその時―。
「おい、この俺を無視する気なのか?」
どこかイライラした口調で背後から声を掛けられた―。
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