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第2話 狂女扱いされる私
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「行ってしまったわ…あの様子だとメイド長以外に他にも人を連れてきそうね」
だとしたら急いで着替えなければ!こんな露出の激しいナイトウェア姿を大勢の人の前で晒したくない!
「着替え…着替えはどこっ?!」
とりあえず手始めに一番大きな衣装棚の扉を勢いよく開けた。
「な、何よ。これは…」
それは衣装棚ではなく、いかにも高級そうな貴金属のアクセサリーが陳列されている棚だった。
「それならこれはどうっ?!」
続いて隣の衣装棚を開けると、そこにはズラリと靴が何十足も並べられている。
「今度は靴…」
おかしい。いくら何でも…おかしすぎる。自分の姿に違和感を感じるだけでなく、こんなに何もかも…恐らく自分の部屋であるはずなのに、どこに何があるかも分からないなんて。
「私…本当に一体どうしてしまったのかしら…」
するとそこへ―。
コンコンコンコン!
いささか乱暴気味に部屋の扉がノックされた。ま、まずいっ!着替えが終わっていないのに…もう部屋に戻って来てしまったなんて!こうなったらもう開き直るしか無い。堂々とこの恥ずかしい姿で出迎えてやろうじゃないの。
「はーい、どうぞ!」
「失礼いたします…」
扉がカチャリと開かれ、うっすら白髪交じりの髪をお団子にゆった中年メイドが部屋の中に入ってきた。
成程…。あの堂々とした佇まい…。恐らく彼女がメイド長に違いない。彼女の背後には先程部屋を飛び出していったメイドの他に10人前後のメイド達が震えながら立っていた。
「ユリアお嬢様…池で溺れた後、体調が優れないそうですが…大丈夫でしょうか?」
「えっ?!私が溺れたのって…池だったのですかっ?!」
その言葉に驚く。
「池だったのですかって…ま、まさかユリアお嬢様っ!何処で溺れたのか覚えておいでではないのですかっ?!」
「はい、そうです。…眼前に水面が近づいてきたところから先はあまり覚えていなくて…と言うか、さっきから私の事を『ユリアお嬢様』と呼んでいますけど…本当に私の名前はユリアなのですか?そこにいるメイドさんにも『ユリアお嬢様』と呼ばれたのですけど」
いつの間にか私は恥ずかしいナイトウェア姿のままで普通に話をしていた
「な、何ですって…っ!」
恐らくメイド長?が身をのけぞらせて大げさに驚く。そしてさらに背後にいるメイド達がビクビクしながら話している。
「信じられない…あのユリアお嬢様が私達に丁寧な言葉遣いを…」
「口を開けば人のことをナイフで突き刺すかのような悪態しか言ってこないのに」
「いいえ、騙されてはいけないわ。あれは演技かも知れないじゃない」
「そうね。油断したところで後からバッサリやられるかも知れないわ」
「やっぱり、あの時のアレがショックで壊れてしまったのね」
「そうよ。絶対に狂ってしまったのだわ」
あの…全て丸聞こえなのですけど…。けれどやはり私の今の話し方は彼女たちにとっては違和感しか無いのだろう。それにしても今、1人のメイドが何やら気になる事を言っていたようだけど…あの時のアレって一体何の事だろう?
「ほら、だから言ったじゃありませんか。お嬢様はおかしくなってしまったと」
そこへ先程私の部屋に現れたメイドが口を挟んできた。その言葉を聞いたメイド長は神妙な顔で頷くと、再度私の方を振り向くと質問してきた。
「ほ、本当に…ご自分のお名前も覚えていらっしゃらないのですか?私の名前も?」
「ええ、ごめんなさい。何も分からないのよ」
「な、何ですってっ?!このメイド長である私の名前もですかっ?!」
「ええ、そうね」
「な、何て事なのでしょう…っ!」
あ、やっぱりあの女性がメイド長だったのか。それにしても…大体、自分の事すら何一つ覚えていないのに、他人の事まで覚えている方がどうかしているのではないだろうか?
「それどころか、この姿が本当に自分なのか…それすら今疑っている状態なのよ。この部屋の作りだって何一つ覚えていないし、服が何処にしまってあるかも分からないのよ。このケバケバしい部屋だって落ち着かないし…」
部屋の装飾品を見渡した後に今の心境を語る。
するとメイド長の顔に驚愕の表情が浮かんだ―。
だとしたら急いで着替えなければ!こんな露出の激しいナイトウェア姿を大勢の人の前で晒したくない!
「着替え…着替えはどこっ?!」
とりあえず手始めに一番大きな衣装棚の扉を勢いよく開けた。
「な、何よ。これは…」
それは衣装棚ではなく、いかにも高級そうな貴金属のアクセサリーが陳列されている棚だった。
「それならこれはどうっ?!」
続いて隣の衣装棚を開けると、そこにはズラリと靴が何十足も並べられている。
「今度は靴…」
おかしい。いくら何でも…おかしすぎる。自分の姿に違和感を感じるだけでなく、こんなに何もかも…恐らく自分の部屋であるはずなのに、どこに何があるかも分からないなんて。
「私…本当に一体どうしてしまったのかしら…」
するとそこへ―。
コンコンコンコン!
いささか乱暴気味に部屋の扉がノックされた。ま、まずいっ!着替えが終わっていないのに…もう部屋に戻って来てしまったなんて!こうなったらもう開き直るしか無い。堂々とこの恥ずかしい姿で出迎えてやろうじゃないの。
「はーい、どうぞ!」
「失礼いたします…」
扉がカチャリと開かれ、うっすら白髪交じりの髪をお団子にゆった中年メイドが部屋の中に入ってきた。
成程…。あの堂々とした佇まい…。恐らく彼女がメイド長に違いない。彼女の背後には先程部屋を飛び出していったメイドの他に10人前後のメイド達が震えながら立っていた。
「ユリアお嬢様…池で溺れた後、体調が優れないそうですが…大丈夫でしょうか?」
「えっ?!私が溺れたのって…池だったのですかっ?!」
その言葉に驚く。
「池だったのですかって…ま、まさかユリアお嬢様っ!何処で溺れたのか覚えておいでではないのですかっ?!」
「はい、そうです。…眼前に水面が近づいてきたところから先はあまり覚えていなくて…と言うか、さっきから私の事を『ユリアお嬢様』と呼んでいますけど…本当に私の名前はユリアなのですか?そこにいるメイドさんにも『ユリアお嬢様』と呼ばれたのですけど」
いつの間にか私は恥ずかしいナイトウェア姿のままで普通に話をしていた
「な、何ですって…っ!」
恐らくメイド長?が身をのけぞらせて大げさに驚く。そしてさらに背後にいるメイド達がビクビクしながら話している。
「信じられない…あのユリアお嬢様が私達に丁寧な言葉遣いを…」
「口を開けば人のことをナイフで突き刺すかのような悪態しか言ってこないのに」
「いいえ、騙されてはいけないわ。あれは演技かも知れないじゃない」
「そうね。油断したところで後からバッサリやられるかも知れないわ」
「やっぱり、あの時のアレがショックで壊れてしまったのね」
「そうよ。絶対に狂ってしまったのだわ」
あの…全て丸聞こえなのですけど…。けれどやはり私の今の話し方は彼女たちにとっては違和感しか無いのだろう。それにしても今、1人のメイドが何やら気になる事を言っていたようだけど…あの時のアレって一体何の事だろう?
「ほら、だから言ったじゃありませんか。お嬢様はおかしくなってしまったと」
そこへ先程私の部屋に現れたメイドが口を挟んできた。その言葉を聞いたメイド長は神妙な顔で頷くと、再度私の方を振り向くと質問してきた。
「ほ、本当に…ご自分のお名前も覚えていらっしゃらないのですか?私の名前も?」
「ええ、ごめんなさい。何も分からないのよ」
「な、何ですってっ?!このメイド長である私の名前もですかっ?!」
「ええ、そうね」
「な、何て事なのでしょう…っ!」
あ、やっぱりあの女性がメイド長だったのか。それにしても…大体、自分の事すら何一つ覚えていないのに、他人の事まで覚えている方がどうかしているのではないだろうか?
「それどころか、この姿が本当に自分なのか…それすら今疑っている状態なのよ。この部屋の作りだって何一つ覚えていないし、服が何処にしまってあるかも分からないのよ。このケバケバしい部屋だって落ち着かないし…」
部屋の装飾品を見渡した後に今の心境を語る。
するとメイド長の顔に驚愕の表情が浮かんだ―。
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