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川口直人 91
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「忍の方から言ってきたんだよ。鈴音の為に結婚式を挙げたいって」
岡本はコーヒーを飲みながら言った。
「え?その話…本当なのか?」
思わず俺は身を乗り出した。
「ああ、本当だ。忍にも伝えてあったからな。お前のことは。7月には正式に婚約破棄をして…鈴音の所へ戻るつもりだって。そしたら忍がサプライズの結婚式を挙げたいって言ってきたんだ。そして…鈴音の結婚相手の候補は…お前と俺だ」
「…は?何だって?」
あまりにも突然の発言で一瞬思考が停止してしまった。
「ちょっと待って下さい。その話、本気で言ってるんですか?」
和也が岡本に詰め寄った事で、我に返った。
「ああ、本気だ。俺だって鈴音の事が好きなんだからな」
大真面目にうなずく岡本に思わず、頭に血が上る。
「何言ってるんだ?ふざけるなよっ!鈴音の恋人はこの俺だろう?!なのに何で鈴音の結婚相手が俺かお前のどちらかになるんだよっ!」
思わずここがカフェだと言うことを忘れて声を荒らげてしまった。
「に、兄ちゃん…。落ち着いて。ここは店内だからさ…」
和也が慌てた様子で俺を宥める。
「…」
自分の気持ちを落ち着かせる為、深呼吸してコーヒーを一口飲むと、再び俺は岡本に言った。
「兎に角、鈴音は俺の恋人だ。絶対にお前に渡すつもりはないからな」
「お前…鈴音を捨てておいて、よくそんなセリフ吐けるよな」
岡本は何処か挑戦的な目で俺を見た。
「そ、それは…!か、会社の事で…」
「そんなのお前がいけないんだろう?川口家電の御曹司でありながら自らの立場を放棄して会社の経営状況も何も気にしていなかったから…こんな事になるまで気付かなかったんだろう?だがな…それだって鈴音には何も関係ない話だろう?お前が勝手に別れ話に巻き込んだんじゃないか!」
「…!」
思わず言葉に詰まると和也が口を挟んできた。
「岡本さん。父だって兄に今迄会社が赤字経営だって言うことは内緒にしていたんです。兄が気付かないのも無理は無いんです」
「いや、いいんだ…和也。俺がいけなかったんだよ…もっと会社の事考えていれば…隙があったから、こんな事になったんだ…」
「ああ、そうだよ。お前のせいだ。お前がいなくなって…失意の鈴音の側に寄り添っていたのは他でもない、俺なんだからな。お前に約束していたから、鈴音に近付く奴らを牽制したし、お前のことを諦めないほうがいいって言い聞かせたのもこの俺だ」
「…」
俺は黙って岡本の話を聞いていた。
「常盤社長の娘と縁が切れて、自由になれたのならこっちだってそうさせてもらう。いいか?川口。俺と勝負しろ。鈴音には内緒にしてあるが、7月に俺と忍の結婚式を挙げるという名目で鈴音に結婚式場を選ばせた。ウェディングドレスも下見に行って、鈴音も着てみろと言って、あいつは既に選んでる。結婚式の当日、俺は鈴音に種明かして、プロポーズする。お前もその日に鈴音と再会してプロポーズするんだ」
「お、お前…本気で言ってるのか…?」
「ああ、本気だ。鈴音が俺とお前…誰を選ぶか見ものだ。…言っておくが俺は最後まで鈴音を諦めないからな?」
そう言って岡本は残りのコーヒーを飲み干した―。
岡本はコーヒーを飲みながら言った。
「え?その話…本当なのか?」
思わず俺は身を乗り出した。
「ああ、本当だ。忍にも伝えてあったからな。お前のことは。7月には正式に婚約破棄をして…鈴音の所へ戻るつもりだって。そしたら忍がサプライズの結婚式を挙げたいって言ってきたんだ。そして…鈴音の結婚相手の候補は…お前と俺だ」
「…は?何だって?」
あまりにも突然の発言で一瞬思考が停止してしまった。
「ちょっと待って下さい。その話、本気で言ってるんですか?」
和也が岡本に詰め寄った事で、我に返った。
「ああ、本気だ。俺だって鈴音の事が好きなんだからな」
大真面目にうなずく岡本に思わず、頭に血が上る。
「何言ってるんだ?ふざけるなよっ!鈴音の恋人はこの俺だろう?!なのに何で鈴音の結婚相手が俺かお前のどちらかになるんだよっ!」
思わずここがカフェだと言うことを忘れて声を荒らげてしまった。
「に、兄ちゃん…。落ち着いて。ここは店内だからさ…」
和也が慌てた様子で俺を宥める。
「…」
自分の気持ちを落ち着かせる為、深呼吸してコーヒーを一口飲むと、再び俺は岡本に言った。
「兎に角、鈴音は俺の恋人だ。絶対にお前に渡すつもりはないからな」
「お前…鈴音を捨てておいて、よくそんなセリフ吐けるよな」
岡本は何処か挑戦的な目で俺を見た。
「そ、それは…!か、会社の事で…」
「そんなのお前がいけないんだろう?川口家電の御曹司でありながら自らの立場を放棄して会社の経営状況も何も気にしていなかったから…こんな事になるまで気付かなかったんだろう?だがな…それだって鈴音には何も関係ない話だろう?お前が勝手に別れ話に巻き込んだんじゃないか!」
「…!」
思わず言葉に詰まると和也が口を挟んできた。
「岡本さん。父だって兄に今迄会社が赤字経営だって言うことは内緒にしていたんです。兄が気付かないのも無理は無いんです」
「いや、いいんだ…和也。俺がいけなかったんだよ…もっと会社の事考えていれば…隙があったから、こんな事になったんだ…」
「ああ、そうだよ。お前のせいだ。お前がいなくなって…失意の鈴音の側に寄り添っていたのは他でもない、俺なんだからな。お前に約束していたから、鈴音に近付く奴らを牽制したし、お前のことを諦めないほうがいいって言い聞かせたのもこの俺だ」
「…」
俺は黙って岡本の話を聞いていた。
「常盤社長の娘と縁が切れて、自由になれたのならこっちだってそうさせてもらう。いいか?川口。俺と勝負しろ。鈴音には内緒にしてあるが、7月に俺と忍の結婚式を挙げるという名目で鈴音に結婚式場を選ばせた。ウェディングドレスも下見に行って、鈴音も着てみろと言って、あいつは既に選んでる。結婚式の当日、俺は鈴音に種明かして、プロポーズする。お前もその日に鈴音と再会してプロポーズするんだ」
「お、お前…本気で言ってるのか…?」
「ああ、本気だ。鈴音が俺とお前…誰を選ぶか見ものだ。…言っておくが俺は最後まで鈴音を諦めないからな?」
そう言って岡本は残りのコーヒーを飲み干した―。
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