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川口直人 29
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「くそっ!あいつさえ現れていなければ…っ!」
部屋に戻ると、ドサリとベッドの上に座り、右手で頭を押さえた。久しぶりに会えた加藤さん…もっと話がしたかったのに、あの男が強引に彼女を連れ去ってしまった。
「あいつ…絶対に加藤さんに気があるに決まっている‥」
その時―
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「え…誰だ?和也か?」
玄関に向かい、ドアアイを覗き込んで驚いた。
な、なんであいつがいるんだ…?
何だか随分鼻息を荒くしているように見えた。だが…いいだろう。こっちだってあいつに言いたい事は山ほどあるんだ。
そこで俺は扉を開けた―。
ガチャ…
「…何の用だい?」
不機嫌な態度があからさまに出ているが、そんなのは知った事か。
「鈴音の事で話があるんだよ」
「そうか…それじゃあがれよ」
「いや、ここでいい。用件はすぐに済むからな」
「…」
すぐに済むだって?
「どういうつもりか知らないが、これ以上鈴音につきまとうな。お前のしている事はどう見てもストーカーだからな」
「へぇ~…ストーカーねぇ…ひょっとすると自分の事を言っているのかい?」
驚きだ。まさかこの男からそんな言葉が飛び出すなんて。だが俺からしてみればこいつのほうが余程ストーカーに見える。
「何だと…?」
男の眉が険しくなる。本当に…血の気のが多い短気な男だ。こんな男が幼馴染なんて…加藤さんが気の毒だ。
「俺はストーカーじゃない。何せ鈴音とは幼馴染だからな」
「へぇ?幼馴染なら彼女にどんな強引な手を使ってもいいと思ってるのかい?いいか?彼女の幼馴染だか何だか知らないけれど、俺から言わせるとあんたの方が余程ストーカーに見えるよ」
すると男は呆れた台詞を言った。
「何だと?俺はな…お前のような奴らから鈴音を守るのが義務だと思っているんだ」
本当に…自覚が無いのか?相当重症化しているとしか思えない。
「それこそ典型的なストーカーの考えだと思わないのか?大体加藤さんに聞いてるよ。彼女のお姉さんと恋人同士なんだって?それなのに何故彼女につきまとっているんだよ。恋人に付き添ってやるのが普通じゃないのか?」
「何だって…?」
怒気を含んだ声で男が俺を睨み付けて来る。こんな奴に…彼女を渡せるか…っ!
「…生憎俺は加藤さんを諦めるつもりは無い。本気で彼女の事が好きだから。近いうちに必ず告白して…絶対に恋人同士になるつもりだ。…初めてなんだよ。こんなに誰かを好きになるなんて…」
気付けば俺は自分の気持ちを吐露していた。
「お、お前…っ!」
男の顔が青ざめる。だが、もうこれ以上こいつと議論する気は無かった。
「もう話は終わりだ。早く家に帰ったほうがいいんじゃないか?」
チラリと壁にかかっている時計を見た。男も俺の視線に気付き、時間を確認し…次に怒鳴りつけて来た。
「ああ、言われなくても帰ってやるよ!」
そして乱暴にドアを開けて出て行った。
バンッ!!
乱暴に扉が閉じられ、ため息をついた。
「…全く…何て短気な男だ…」
再び部屋に戻ると、俺はカーテンを開けて加藤さんの住むマンションを眺めた。
…ここからは彼女の住む部屋の窓すら確認出来ない。
「今頃は…あの幼馴染と一緒に部屋で過ごしているんだろうな…」
その事を思うと、虚しい気持ちで一杯になる。
部屋のカーテンを握りしめながら思った。
必ず、加藤さんに告白しようと―。
部屋に戻ると、ドサリとベッドの上に座り、右手で頭を押さえた。久しぶりに会えた加藤さん…もっと話がしたかったのに、あの男が強引に彼女を連れ去ってしまった。
「あいつ…絶対に加藤さんに気があるに決まっている‥」
その時―
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「え…誰だ?和也か?」
玄関に向かい、ドアアイを覗き込んで驚いた。
な、なんであいつがいるんだ…?
何だか随分鼻息を荒くしているように見えた。だが…いいだろう。こっちだってあいつに言いたい事は山ほどあるんだ。
そこで俺は扉を開けた―。
ガチャ…
「…何の用だい?」
不機嫌な態度があからさまに出ているが、そんなのは知った事か。
「鈴音の事で話があるんだよ」
「そうか…それじゃあがれよ」
「いや、ここでいい。用件はすぐに済むからな」
「…」
すぐに済むだって?
「どういうつもりか知らないが、これ以上鈴音につきまとうな。お前のしている事はどう見てもストーカーだからな」
「へぇ~…ストーカーねぇ…ひょっとすると自分の事を言っているのかい?」
驚きだ。まさかこの男からそんな言葉が飛び出すなんて。だが俺からしてみればこいつのほうが余程ストーカーに見える。
「何だと…?」
男の眉が険しくなる。本当に…血の気のが多い短気な男だ。こんな男が幼馴染なんて…加藤さんが気の毒だ。
「俺はストーカーじゃない。何せ鈴音とは幼馴染だからな」
「へぇ?幼馴染なら彼女にどんな強引な手を使ってもいいと思ってるのかい?いいか?彼女の幼馴染だか何だか知らないけれど、俺から言わせるとあんたの方が余程ストーカーに見えるよ」
すると男は呆れた台詞を言った。
「何だと?俺はな…お前のような奴らから鈴音を守るのが義務だと思っているんだ」
本当に…自覚が無いのか?相当重症化しているとしか思えない。
「それこそ典型的なストーカーの考えだと思わないのか?大体加藤さんに聞いてるよ。彼女のお姉さんと恋人同士なんだって?それなのに何故彼女につきまとっているんだよ。恋人に付き添ってやるのが普通じゃないのか?」
「何だって…?」
怒気を含んだ声で男が俺を睨み付けて来る。こんな奴に…彼女を渡せるか…っ!
「…生憎俺は加藤さんを諦めるつもりは無い。本気で彼女の事が好きだから。近いうちに必ず告白して…絶対に恋人同士になるつもりだ。…初めてなんだよ。こんなに誰かを好きになるなんて…」
気付けば俺は自分の気持ちを吐露していた。
「お、お前…っ!」
男の顔が青ざめる。だが、もうこれ以上こいつと議論する気は無かった。
「もう話は終わりだ。早く家に帰ったほうがいいんじゃないか?」
チラリと壁にかかっている時計を見た。男も俺の視線に気付き、時間を確認し…次に怒鳴りつけて来た。
「ああ、言われなくても帰ってやるよ!」
そして乱暴にドアを開けて出て行った。
バンッ!!
乱暴に扉が閉じられ、ため息をついた。
「…全く…何て短気な男だ…」
再び部屋に戻ると、俺はカーテンを開けて加藤さんの住むマンションを眺めた。
…ここからは彼女の住む部屋の窓すら確認出来ない。
「今頃は…あの幼馴染と一緒に部屋で過ごしているんだろうな…」
その事を思うと、虚しい気持ちで一杯になる。
部屋のカーテンを握りしめながら思った。
必ず、加藤さんに告白しようと―。
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