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亮平 55
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どうしようもない罪悪感に襲われ、ため息を付いた。眠っている鈴音を抱きかかえて部屋に連れていき、忍が敷いてくれた布団をめくると鈴音を横たわらせた。そして布団を掛け…鈴音に言った。
「ごめん…鈴音…」
そして俺は鈴音の部屋を出て、扉を閉めると階下に降りていき…再びアルコールを飲み始めたが…どうあっても酔うことが出来なかった―。
****
「亮平くん…亮平くん…」
誰かに肩を揺さぶられ、目を開けるとそこには呆れ顔の忍が俺を見下ろしていた。
「あ…忍さん…どうも…」
目をこすりながら身体を起こした。…どうやら俺はソファの上で眠ってしまっていたようだった。
「どうもじゃないわよ?もう年が明けて新年よ?」
「え?」
慌てて周りをよく見ると、カーテンが開けられて朝日が部屋の中に差し込んでいた。時計を見るともうすぐ7時になろうとしている。
「いつの間に…」
あの後、浴びるほど酒を飲んで…それでも眠気に襲われなかったのに…。そして毛布が掛けられていることに気付く。
「この毛布…ひょっとして忍さんが?」
「ええ、そうよ。夜中…喉が乾いて下に降りてみると亮平くん、ソファの上で眠っていたのよ?びっくりしたわ。風邪を引いたらいけないと思って毛布を掛けたのよ」
「そうですか…ありがとうございます…」
見るとテーブルの上にあったアルコールの痕跡も全て消えている。俺の視線に気付いたのか、忍が言った。
「テーブルの上も片付けておいたわ。これからおせちの準備を始めるから」
「すみませんでした…お詫びに俺もお手伝いしますよ」
俺はソファから立ち上がった。
「本当?それじゃかまぼこと伊達巻を切って貰えるかしら?お雑煮に入れたいから」
「はい、分かりました」
そして俺と忍はおせち料理の準備を始めた―。
****
手伝いが終わり、俺はリビングで新年の正月番組を観ていると、忍が言った。
「さて、と…。大体の準備は終わったし…鈴音ちゃんを起こして3人でおせち料理食べましょうか?」
「え?」
忍が鈴音の名前を出したので、思わずドキリとする。
「それじゃ、鈴音ちゃんを起こしてくるわ」
忍は俺の異変に気付く様子もなく、鈴音を呼びに2階へと上がっていった。
まずい…鈴音がもうすぐ下に降りてくる…。夜中、あんな真似をしてしまって…俺は鈴音の前で平常心を保っていられるだろうか…。ドキドキ高鳴る胸を押さえつつ、緊張しながらテレビの方を眺めていると、台所で鈴音の声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん。何か手伝おうか?」
鈴音だっ!
「いいのよ、鈴音ちゃん。何だか顔色が青くて具合悪そうだから…リビングで休んでいて。どうせおせち料理は出来ているんだから」
え…?具合が悪い…?酒を飲ませすぎてしまっただろうか…?
「うん、ありがと」
鈴音のどこか気だるそうな声が聞こえた後、リビングにやってくる気配を感じた。
「明けましておめでとう。亮平」
突然背後から声を掛けられる。
「あ、ああ…お、おはよう。いや、明けましておめでとう」
ゆっくり鈴音の方を向きながら朝の挨拶をするが…駄目だ。鈴音の唇ばかりに視線がいってしまい…思わず顔が赤くなってしまった。慌てて視線をそらすと、鈴音が尋ねてきた。
「亮平、どうかしたの?」
「べ、別にっ!何でもない!そ、それよりお前、寝坊し過ぎだろ?」
鈴音…昨夜の事、ひょっとして何か覚えているだろうか…?しかし、その後も会話を続けたが、結局鈴音は昨夜の事を何一つ覚えていなかったのだ。
…緊張しきっていた自分がバカみたいに思えた新年の朝だった―。
「ごめん…鈴音…」
そして俺は鈴音の部屋を出て、扉を閉めると階下に降りていき…再びアルコールを飲み始めたが…どうあっても酔うことが出来なかった―。
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「亮平くん…亮平くん…」
誰かに肩を揺さぶられ、目を開けるとそこには呆れ顔の忍が俺を見下ろしていた。
「あ…忍さん…どうも…」
目をこすりながら身体を起こした。…どうやら俺はソファの上で眠ってしまっていたようだった。
「どうもじゃないわよ?もう年が明けて新年よ?」
「え?」
慌てて周りをよく見ると、カーテンが開けられて朝日が部屋の中に差し込んでいた。時計を見るともうすぐ7時になろうとしている。
「いつの間に…」
あの後、浴びるほど酒を飲んで…それでも眠気に襲われなかったのに…。そして毛布が掛けられていることに気付く。
「この毛布…ひょっとして忍さんが?」
「ええ、そうよ。夜中…喉が乾いて下に降りてみると亮平くん、ソファの上で眠っていたのよ?びっくりしたわ。風邪を引いたらいけないと思って毛布を掛けたのよ」
「そうですか…ありがとうございます…」
見るとテーブルの上にあったアルコールの痕跡も全て消えている。俺の視線に気付いたのか、忍が言った。
「テーブルの上も片付けておいたわ。これからおせちの準備を始めるから」
「すみませんでした…お詫びに俺もお手伝いしますよ」
俺はソファから立ち上がった。
「本当?それじゃかまぼこと伊達巻を切って貰えるかしら?お雑煮に入れたいから」
「はい、分かりました」
そして俺と忍はおせち料理の準備を始めた―。
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手伝いが終わり、俺はリビングで新年の正月番組を観ていると、忍が言った。
「さて、と…。大体の準備は終わったし…鈴音ちゃんを起こして3人でおせち料理食べましょうか?」
「え?」
忍が鈴音の名前を出したので、思わずドキリとする。
「それじゃ、鈴音ちゃんを起こしてくるわ」
忍は俺の異変に気付く様子もなく、鈴音を呼びに2階へと上がっていった。
まずい…鈴音がもうすぐ下に降りてくる…。夜中、あんな真似をしてしまって…俺は鈴音の前で平常心を保っていられるだろうか…。ドキドキ高鳴る胸を押さえつつ、緊張しながらテレビの方を眺めていると、台所で鈴音の声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん。何か手伝おうか?」
鈴音だっ!
「いいのよ、鈴音ちゃん。何だか顔色が青くて具合悪そうだから…リビングで休んでいて。どうせおせち料理は出来ているんだから」
え…?具合が悪い…?酒を飲ませすぎてしまっただろうか…?
「うん、ありがと」
鈴音のどこか気だるそうな声が聞こえた後、リビングにやってくる気配を感じた。
「明けましておめでとう。亮平」
突然背後から声を掛けられる。
「あ、ああ…お、おはよう。いや、明けましておめでとう」
ゆっくり鈴音の方を向きながら朝の挨拶をするが…駄目だ。鈴音の唇ばかりに視線がいってしまい…思わず顔が赤くなってしまった。慌てて視線をそらすと、鈴音が尋ねてきた。
「亮平、どうかしたの?」
「べ、別にっ!何でもない!そ、それよりお前、寝坊し過ぎだろ?」
鈴音…昨夜の事、ひょっとして何か覚えているだろうか…?しかし、その後も会話を続けたが、結局鈴音は昨夜の事を何一つ覚えていなかったのだ。
…緊張しきっていた自分がバカみたいに思えた新年の朝だった―。
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