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亮平 22
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鈴音が目を覚ました知らせが入ってきた!
「そ、それじゃ今夜仕事が終わったらすぐに病院に行きます!勿論会えますよね?!」
しかし返事は俺の期待を裏切るものだった。
『申し訳有りませんが、まだ無理です』
「な、何故ですかっ?!」
どうして目が覚めたのに会わせてくれないんだよっ?!
『患者さんはまだICUから出ることは出来ません。何度も申し上げている通り、親族以外はICUの患者さんの面会は出来ないことになっているのです』
「そ、そんな…!」
すぐに会えると思ったのに…!
『個室病棟に移動出来らまたご連絡致します』
「わ、分かりました。…どうぞよろしくお願い致します…」
ピッ
電話を切ると深いため息が出てしまった。
「はぁ~…」
何てこった…。すぐにでも会えると思っていたのに…。そこでふと思った。
「忍は…鈴音の目が覚めた事を聞かされているのだろうか…?」
そうだ、忍に鈴音の目が覚めたことを教えてやろう。最近大分調子がよくなってきたからな…。
そして気を取り直して俺は外回りを再開した―。
****
午後7時―
「う~…すっかり遅くなってしまったな…」
腕時計を見ながら病院の臨時出入り口をくぐり抜けて、俺は忍の病室を目指した。
それにしても助かった。ここの病院は入院患者の面会を午後8時まで延長してくれる。そうじゃなければ俺は忍の面会に来ることが出来なかった。
エレベーターホールへ向かい、上行きのボタンを押した。
チーン
すぐにエレベーターのドアが開いたので乗り込むと忍が入院している5階の病室のボタンを押した。
上昇するエレベータの中で思った。
「忍…鈴音の目が覚めたら…どう思うかな…?」
3ヶ月前―
鈴音が交通事故に遭った直後、忍は半狂乱になって泣き叫んだという。そして血まみれで倒れている鈴音を抱き起こそうとした所を周囲の人々に動かしては駄目だと止められていた。忍の絶叫は救急車がやってくるまで続いた。
救急車がやってくるとすぐに忍は救急隊員から鈴音を引き剥がされて鎮静剤を撃たれ、そのまま病院へ戻され…今は鍵が掛けられた部屋に入院している―。
503号室―
看護師の案内の元、俺は忍の部屋の前に立っていた。
「それでは面会時間は30分ですからね」
俺を案内してくれた女性の看護師が言う。
「はい、分かりました」
看護師は頷くと個室の鍵を開けたので、俺は部屋の扉を開けて中へ入った。
「忍さん…俺だよ」
するとベッドの上でテレビを見ていた忍が俺の方を振り向くと言った。
「あら、今晩は。亮平君」
忍は俺を見てにっこり笑った。
そこにはもう…狂気を宿した忍はいなかった―。
****
「今日も来てくれたのね。仕事が忙しいから無理しなくてもいいのよ?」
「いえ、実は今日は忍さんに大事な話が合って来たんですよ」
椅子に座りながら俺は忍に言った。
「大事な話…?ま、まさか鈴音ちゃんに関することなのねっ?!」
「ええ、そうですよ」
「鈴音ちゃんは?鈴音ちゃんはどうなったのっ?!」
「はい…。鈴音は今日…目が覚めたそうです。看護師から電話が入ってきました」
「ほ、本当に…?」
「はい」
「そう…よ、良かった…」
忍…いや、忍さんは涙を流しながら…口元に笑みを浮かべた。その姿はとても美しかったけれども…俺の心には嘘のように忍に対する恋心は消えていた。代わりに俺の頭をしめていたのは鈴音のことばかりだった。
鈴音…早く、お前に会いたい。
会って…お前に大事な事を伝えたいんだ―。
「そ、それじゃ今夜仕事が終わったらすぐに病院に行きます!勿論会えますよね?!」
しかし返事は俺の期待を裏切るものだった。
『申し訳有りませんが、まだ無理です』
「な、何故ですかっ?!」
どうして目が覚めたのに会わせてくれないんだよっ?!
『患者さんはまだICUから出ることは出来ません。何度も申し上げている通り、親族以外はICUの患者さんの面会は出来ないことになっているのです』
「そ、そんな…!」
すぐに会えると思ったのに…!
『個室病棟に移動出来らまたご連絡致します』
「わ、分かりました。…どうぞよろしくお願い致します…」
ピッ
電話を切ると深いため息が出てしまった。
「はぁ~…」
何てこった…。すぐにでも会えると思っていたのに…。そこでふと思った。
「忍は…鈴音の目が覚めた事を聞かされているのだろうか…?」
そうだ、忍に鈴音の目が覚めたことを教えてやろう。最近大分調子がよくなってきたからな…。
そして気を取り直して俺は外回りを再開した―。
****
午後7時―
「う~…すっかり遅くなってしまったな…」
腕時計を見ながら病院の臨時出入り口をくぐり抜けて、俺は忍の病室を目指した。
それにしても助かった。ここの病院は入院患者の面会を午後8時まで延長してくれる。そうじゃなければ俺は忍の面会に来ることが出来なかった。
エレベーターホールへ向かい、上行きのボタンを押した。
チーン
すぐにエレベーターのドアが開いたので乗り込むと忍が入院している5階の病室のボタンを押した。
上昇するエレベータの中で思った。
「忍…鈴音の目が覚めたら…どう思うかな…?」
3ヶ月前―
鈴音が交通事故に遭った直後、忍は半狂乱になって泣き叫んだという。そして血まみれで倒れている鈴音を抱き起こそうとした所を周囲の人々に動かしては駄目だと止められていた。忍の絶叫は救急車がやってくるまで続いた。
救急車がやってくるとすぐに忍は救急隊員から鈴音を引き剥がされて鎮静剤を撃たれ、そのまま病院へ戻され…今は鍵が掛けられた部屋に入院している―。
503号室―
看護師の案内の元、俺は忍の部屋の前に立っていた。
「それでは面会時間は30分ですからね」
俺を案内してくれた女性の看護師が言う。
「はい、分かりました」
看護師は頷くと個室の鍵を開けたので、俺は部屋の扉を開けて中へ入った。
「忍さん…俺だよ」
するとベッドの上でテレビを見ていた忍が俺の方を振り向くと言った。
「あら、今晩は。亮平君」
忍は俺を見てにっこり笑った。
そこにはもう…狂気を宿した忍はいなかった―。
****
「今日も来てくれたのね。仕事が忙しいから無理しなくてもいいのよ?」
「いえ、実は今日は忍さんに大事な話が合って来たんですよ」
椅子に座りながら俺は忍に言った。
「大事な話…?ま、まさか鈴音ちゃんに関することなのねっ?!」
「ええ、そうですよ」
「鈴音ちゃんは?鈴音ちゃんはどうなったのっ?!」
「はい…。鈴音は今日…目が覚めたそうです。看護師から電話が入ってきました」
「ほ、本当に…?」
「はい」
「そう…よ、良かった…」
忍…いや、忍さんは涙を流しながら…口元に笑みを浮かべた。その姿はとても美しかったけれども…俺の心には嘘のように忍に対する恋心は消えていた。代わりに俺の頭をしめていたのは鈴音のことばかりだった。
鈴音…早く、お前に会いたい。
会って…お前に大事な事を伝えたいんだ―。
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