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亮平 11
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熱を出して寝込んでいた鈴音の為に俺は甲斐甲斐しく世話をした。何故か今日の俺は自分でも思うが、凄く大切な幼馴染の鈴音に親切にしてやれている気がした。その証拠に帰ろうとした俺に鈴音が言った。
「帰らないで…亮平。心細いの…傍にいてよ…」
熱のせいで赤くなった顔、潤んだ瞳で訴えられた時俺は深くにも胸の動悸が早まった。鈴音…俺を望んでくれているのか?あんなに普段からお前にきつい態度や憎まれ口ばかり叩いてしまうこの俺に…?
勿論鈴音の頼みを断るはずは無かった。そして俺は鈴音に乞われるままにマンションにとどまることにした。…今日はクリスマスで、忍が1人で家にいることを知りながら、鈴音の側にいることを決めた。
その後は2人で昔の思い出を語った。その途中、鈴音は眠くなってしまったのかウトウトし始めた。
「ほら、鈴音…眠そうだ。寝ろよ」
すると鈴音は小さく頷き、目を閉じるとすぐに眠りについてしまった。
「鈴音…」
眠ってしまった鈴音の髪にそっと触れる。柔らかい髪にシャンプーの香り…。忍とは全く違う…。
「鈴音…」
もう一度、そっと名前を呟いた時…。
トゥルルルルル…
突然俺のスマホが着信を知らせた。
「うううぅ…ん…」
鈴音がべっどの中で寝返りを打つ。まずい!目を覚ましてしまう!
「…ったく…誰だ?」
慌ててスマホを手に取り、ギョッとした。着信相手は忍だったのだ
「し、忍…」
なんて事だ。俺はついさっきまで忍の存在を完全に忘れていた。俺は恋人だって言うのに…。
「仕方ない。出るか…」
俺は気乗りしない電話を
「…もしもし…」
『進さんっ?!今何処にいるのよっ?!』
忍のヒステリックな声が受話器越しから聞こえてくる。
「ああ、ごめん。ちょっと買い物に出ていただけだよ?」
『買い物?買い物なら私と一緒に行けばいいじゃない』
「でも忍はまだ人混みが苦手だろう?」
『それは…そうだけど…』
「ごめん。でも黙って出てきて悪かったよ」
『ねぇ…もしかして鈴音ちゃんのところへ行ってるんじゃないでしょうね?』
「え?」
忍の言葉にドキリとした。
『いやよ、鈴音ちゃんのところへ行くなんて…ひょっとして進さんは私よりも鈴音ちゃんのほうが良いの?』
「何言ってる?俺は忍の恋人だろう?」
駄目だ…鈴音は今風邪で身体が弱っている。忍の悪意の目を鈴音に向けさせるわけにはいかない。
『ねぇ…私の事好きなのよね…?』
涙声の忍の声が受話器越しから聞こえる。だから俺は彼女を安心させるために言ってやる。
「当り前だろう?俺が好きなのは…忍だけなんだから、だから泣きやめよ。」
『本当…?愛してるわ…』
「ああ…もちろんだよ、忍。俺も…愛してるよ」
『分かったわ…その言葉信じるから…それじゃ早く帰ってきてね』
そして電話が切れ、思わずため息が出てしまったその時―。
「亮平…?」
ぼんやりと目を開けた鈴音が俺を見ていた。…今の台詞、絶対聞こえていただろうな…。俺は忍から電話の内容を正直に伝え、帰ることにした。本当はこんなに具合の悪そうな鈴音を置いて帰るのは胸が痛かったけど、忍の訴えを無視することは出来ない。
鈴音のマンションを出た俺は一度振り向くと、白い息を吐きながら俺は呟いた。
「鈴音、明日も仕事帰りに寄るからな」
俺は背を向けると鈴音のマンションを後にした。だけど、俺は翌日鈴音のマンションを訪ねる事は出来なかった。それは忍に止められたからだった。
そして俺が鈴音と会わなかった間に…鈴音はあの男、川口と急接近していたことを俺は知らなかった―。
「帰らないで…亮平。心細いの…傍にいてよ…」
熱のせいで赤くなった顔、潤んだ瞳で訴えられた時俺は深くにも胸の動悸が早まった。鈴音…俺を望んでくれているのか?あんなに普段からお前にきつい態度や憎まれ口ばかり叩いてしまうこの俺に…?
勿論鈴音の頼みを断るはずは無かった。そして俺は鈴音に乞われるままにマンションにとどまることにした。…今日はクリスマスで、忍が1人で家にいることを知りながら、鈴音の側にいることを決めた。
その後は2人で昔の思い出を語った。その途中、鈴音は眠くなってしまったのかウトウトし始めた。
「ほら、鈴音…眠そうだ。寝ろよ」
すると鈴音は小さく頷き、目を閉じるとすぐに眠りについてしまった。
「鈴音…」
眠ってしまった鈴音の髪にそっと触れる。柔らかい髪にシャンプーの香り…。忍とは全く違う…。
「鈴音…」
もう一度、そっと名前を呟いた時…。
トゥルルルルル…
突然俺のスマホが着信を知らせた。
「うううぅ…ん…」
鈴音がべっどの中で寝返りを打つ。まずい!目を覚ましてしまう!
「…ったく…誰だ?」
慌ててスマホを手に取り、ギョッとした。着信相手は忍だったのだ
「し、忍…」
なんて事だ。俺はついさっきまで忍の存在を完全に忘れていた。俺は恋人だって言うのに…。
「仕方ない。出るか…」
俺は気乗りしない電話を
「…もしもし…」
『進さんっ?!今何処にいるのよっ?!』
忍のヒステリックな声が受話器越しから聞こえてくる。
「ああ、ごめん。ちょっと買い物に出ていただけだよ?」
『買い物?買い物なら私と一緒に行けばいいじゃない』
「でも忍はまだ人混みが苦手だろう?」
『それは…そうだけど…』
「ごめん。でも黙って出てきて悪かったよ」
『ねぇ…もしかして鈴音ちゃんのところへ行ってるんじゃないでしょうね?』
「え?」
忍の言葉にドキリとした。
『いやよ、鈴音ちゃんのところへ行くなんて…ひょっとして進さんは私よりも鈴音ちゃんのほうが良いの?』
「何言ってる?俺は忍の恋人だろう?」
駄目だ…鈴音は今風邪で身体が弱っている。忍の悪意の目を鈴音に向けさせるわけにはいかない。
『ねぇ…私の事好きなのよね…?』
涙声の忍の声が受話器越しから聞こえる。だから俺は彼女を安心させるために言ってやる。
「当り前だろう?俺が好きなのは…忍だけなんだから、だから泣きやめよ。」
『本当…?愛してるわ…』
「ああ…もちろんだよ、忍。俺も…愛してるよ」
『分かったわ…その言葉信じるから…それじゃ早く帰ってきてね』
そして電話が切れ、思わずため息が出てしまったその時―。
「亮平…?」
ぼんやりと目を開けた鈴音が俺を見ていた。…今の台詞、絶対聞こえていただろうな…。俺は忍から電話の内容を正直に伝え、帰ることにした。本当はこんなに具合の悪そうな鈴音を置いて帰るのは胸が痛かったけど、忍の訴えを無視することは出来ない。
鈴音のマンションを出た俺は一度振り向くと、白い息を吐きながら俺は呟いた。
「鈴音、明日も仕事帰りに寄るからな」
俺は背を向けると鈴音のマンションを後にした。だけど、俺は翌日鈴音のマンションを訪ねる事は出来なかった。それは忍に止められたからだった。
そして俺が鈴音と会わなかった間に…鈴音はあの男、川口と急接近していたことを俺は知らなかった―。
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