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亮平 10
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鈴音の新居のマンションに到着すると、俺は早速目の前のインターホンを押した。
ピンポーン
すると少しの間が空いた後に思い切りドアが開かれ、そこに驚きの表情の鈴音が立っていた。
「よおっ、鈴音」
目の前に鈴音が立っている…それだけで俺の顔がニヤけてくるのが自分で分かった。
「亮平…どうしてここに…?」
「ああ、今夜はクリスマスイブだろう?」
「う、うん。確かにクリスマスイブだね」
「だからさ、母さんが鈴音にクリスマスの料理を作ったから持って行ってやれって預かってきたんだよ」
それは事実だったが、鈴音に会いたい気持ちも合ったからだ。だけど、今更こんな台詞言えるはずがない。
「あ、ありがとう…」
鈴音が1人きりでイブの夜を過ごしている事実を知り、心の中でホッとしている自分がいた。本心を言えば俺は鈴音と…。だけど、そこまで考えた時にまた俺の鈴音への気持ちがスーッと引いていくのを感じた。
ああ、そうだ。俺は…忍の恋人なんだから…。
鈴音に折角ここまで来たんだからコーヒーでも飲んでいけばと言われた。本当はそうしたかったのに、また気持ちとは裏腹な言葉が口をついて出てくる。鈴音の前で恋人の忍を1人にしておけないと言ってしまう自分が情けない。鈴音は忍の心無い言葉で追い出されたって言うのに、どうして俺は鈴音を傷つける言葉しか口に出せないのだろう。これ以上ここにいるとますます傷つけてしまいそうだったので、俺はさっさと鈴音のマンションを後にした。
俺と鈴音の運命を左右する男が近づいてきいるという事に気付かずに―。
****
翌日―
この日の俺はある意味、本当についていた男だと思った。忍の家に帰ってみると忍はぐったりとソファにもたれかかっていた。部屋の中は忍が暴れたのか、物が散乱している。そしてキッチンの角でガタガタ震えている家政婦の姿があった。
「すみません…一体何があったのですか…?」
青ざめた顔で震える家政婦に声を掛けると、彼女は泣きそうな顔で言った。
「わ、私…もうこちらの家では働けません!やめさせていただきます!」
そして床に落ちていた自分の上着を拾い上げると、俺のそばを走り抜けて逃げるように家を出ていってしまった。忍!一体お前、何やったんだ?!俺はリビングに居るはずの忍の元へ向かった。
「忍…」
忍はスマホを握りしめ、じっと何もない空間を見つめている。
「どうした?忍」
すると忍はゆっくり顔を上げ、俺を見るとにっこり笑みを浮かべた。
「良かった…進さん。帰ってきてくれたのね?何処にもいないから警察へ行こうかと思っていたのよ?」
「け、警察…?」
駄目だ、忍の様子がますますおかしくなっている。
「大丈夫だ、忍。そんな事しなくて…俺は何処にもいかないから…」
俺は忍を力強く抱きしめると言った。そうだ、鈴音はここにはいない。俺が忍を守ってやらなければ…。
そして、その夜は忍の家に泊まった―。
****
翌朝、忍が落ち着いているようだったので一度家に帰った俺は鈴音の勤務する代理店へ向かった。忍の事を相談する為に―。
「え?早退した?」
代理店へ行くと鈴音の姿が見えなかったのでカウンターにいる女性に尋ねた所、体調を崩して早退したとの話だった。俺は礼を述べるとすぐに鈴音のマンションへ向かった。
「あ、そうだ…手ぶらで行くわけにいかないな。何か買っていってやろう」
途中、スーパーがあったのでレトルトの卵粥やヨーグルト、プリンを色々買い込んで鈴音のマンションへ向かった―。
何回かインターホンを鳴らしても鈴音は現れない。
「何だよ…何で出てこないんだ?」
ドアをドンドン叩いても鈴音は出てこない。仕方ない…。スマホを掛けて鈴音の番号に掛けても電話に出ない。
「何でだよ…何で出ないんだよ」
仕方ない…。
再びインターホンを鳴らした。
「鈴音!いるんだろう?!鈴音!」
するとようやくドアが開き、熱で顔を赤くした鈴音が現れ、俺を驚いたような目で見つめてきた―。
ピンポーン
すると少しの間が空いた後に思い切りドアが開かれ、そこに驚きの表情の鈴音が立っていた。
「よおっ、鈴音」
目の前に鈴音が立っている…それだけで俺の顔がニヤけてくるのが自分で分かった。
「亮平…どうしてここに…?」
「ああ、今夜はクリスマスイブだろう?」
「う、うん。確かにクリスマスイブだね」
「だからさ、母さんが鈴音にクリスマスの料理を作ったから持って行ってやれって預かってきたんだよ」
それは事実だったが、鈴音に会いたい気持ちも合ったからだ。だけど、今更こんな台詞言えるはずがない。
「あ、ありがとう…」
鈴音が1人きりでイブの夜を過ごしている事実を知り、心の中でホッとしている自分がいた。本心を言えば俺は鈴音と…。だけど、そこまで考えた時にまた俺の鈴音への気持ちがスーッと引いていくのを感じた。
ああ、そうだ。俺は…忍の恋人なんだから…。
鈴音に折角ここまで来たんだからコーヒーでも飲んでいけばと言われた。本当はそうしたかったのに、また気持ちとは裏腹な言葉が口をついて出てくる。鈴音の前で恋人の忍を1人にしておけないと言ってしまう自分が情けない。鈴音は忍の心無い言葉で追い出されたって言うのに、どうして俺は鈴音を傷つける言葉しか口に出せないのだろう。これ以上ここにいるとますます傷つけてしまいそうだったので、俺はさっさと鈴音のマンションを後にした。
俺と鈴音の運命を左右する男が近づいてきいるという事に気付かずに―。
****
翌日―
この日の俺はある意味、本当についていた男だと思った。忍の家に帰ってみると忍はぐったりとソファにもたれかかっていた。部屋の中は忍が暴れたのか、物が散乱している。そしてキッチンの角でガタガタ震えている家政婦の姿があった。
「すみません…一体何があったのですか…?」
青ざめた顔で震える家政婦に声を掛けると、彼女は泣きそうな顔で言った。
「わ、私…もうこちらの家では働けません!やめさせていただきます!」
そして床に落ちていた自分の上着を拾い上げると、俺のそばを走り抜けて逃げるように家を出ていってしまった。忍!一体お前、何やったんだ?!俺はリビングに居るはずの忍の元へ向かった。
「忍…」
忍はスマホを握りしめ、じっと何もない空間を見つめている。
「どうした?忍」
すると忍はゆっくり顔を上げ、俺を見るとにっこり笑みを浮かべた。
「良かった…進さん。帰ってきてくれたのね?何処にもいないから警察へ行こうかと思っていたのよ?」
「け、警察…?」
駄目だ、忍の様子がますますおかしくなっている。
「大丈夫だ、忍。そんな事しなくて…俺は何処にもいかないから…」
俺は忍を力強く抱きしめると言った。そうだ、鈴音はここにはいない。俺が忍を守ってやらなければ…。
そして、その夜は忍の家に泊まった―。
****
翌朝、忍が落ち着いているようだったので一度家に帰った俺は鈴音の勤務する代理店へ向かった。忍の事を相談する為に―。
「え?早退した?」
代理店へ行くと鈴音の姿が見えなかったのでカウンターにいる女性に尋ねた所、体調を崩して早退したとの話だった。俺は礼を述べるとすぐに鈴音のマンションへ向かった。
「あ、そうだ…手ぶらで行くわけにいかないな。何か買っていってやろう」
途中、スーパーがあったのでレトルトの卵粥やヨーグルト、プリンを色々買い込んで鈴音のマンションへ向かった―。
何回かインターホンを鳴らしても鈴音は現れない。
「何だよ…何で出てこないんだ?」
ドアをドンドン叩いても鈴音は出てこない。仕方ない…。スマホを掛けて鈴音の番号に掛けても電話に出ない。
「何でだよ…何で出ないんだよ」
仕方ない…。
再びインターホンを鳴らした。
「鈴音!いるんだろう?!鈴音!」
するとようやくドアが開き、熱で顔を赤くした鈴音が現れ、俺を驚いたような目で見つめてきた―。
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