345 / 519
第20章 11 結婚話の後に見る夢は…
しおりを挟む
「キャッ!」
ゴブッ!
気付けばお湯の中に潜っていた。
「ゴホッ、ゴホッ!」
慌ててお湯の中から顔を出し、激しく咳き込んだ。
「あ、危なかった…」
肩で息をしながら安堵のため息をつく私。
「まさか…湯船の中で寝てしまうなんて…」
改めてお湯から肩を出すと、バスタブの壁に寄りかかった。まだ心臓がドキドキしている。
「はぁ…参ったなぁ…」
雫の垂れる天井を見上げながらポツリと呟いた。結局、直人さんの弟さんからは何故直人さんが突然社長に就任したのか、川口家電はその後どうなったのか…等の話しは一切聞く事が出来なかった。何故なら彼の休憩時間が終わってしまい、仕事に戻ってしまったからだ。でも…知りたくは無かった。今頃直人さんの話を聞いた所で…もうどうしようもないのだから。話が途中で終わって良かったと思っている。
「私…もうあのファミレスに行くの…やめようかな…」
そして再びため息をついた―。
****
濡れた髪の毛をバスタオルで拭いながら部屋に戻るとスマホがチカチカ点滅している。
「あれ?誰からかな?」
何気なくスマホをタップすると真理ちゃんからだった。留守番電話が入っている。早速センターに問い合わせしてみる事にした。するとガイダンスの後に真理ちゃんの声が聞こえてくる。
『ヤッホー。鈴音~元気にしてる?ねぇ聞いてよっ!私ね~とうとう同棲中の彼からプロポーズして貰っちゃった!あまりにも嬉しくて思わずあちこち電話掛けちゃってるんだ。鈴音、結婚前にパジャマパーティーしない?連絡待ってるね』
「真理ちゃん…」
メッセージを聞き終えた私は自分の事では無くてもドキドキしていた。
「え~…あの真理ちゃんが…ついに結婚…?いやいや、でも待って…まだ私達24歳なのにもう結婚…?あ、でも結婚は早い方がいいのかな~…」
そこまで言ってふと、思った。ひょっとすると私と直人さんも…あんな事が無ければ今年には結婚出来ていたのかな…?
「あ、それよりも電話電話…」
私は真理ちゃんの電話番号をタップした―。
****
「じゃあ、またね~」
『うん、またね!』
真理ちゃんとの電話を切ると、早速卓上カレンダーを手に取った。真理ちゃんは入籍だけして、秋頃に式を挙げるという話だった。そしてパジャマパーティーは2月1日で、私の住む部屋でお泊り会をすることに決定した。
「2週間後か…お酒とか色々用意しないとね」
時計を見ると深夜の0時を過ぎていた。
「うわっ!こんな時間だったんだ…遅くまで電話しちゃってたけど…彼氏さんに何も言われなかったかなぁ…フワアアア…」
ブツブツ言っているうちに欠伸が出てしまった。ああ…眠くなってきちゃった。もう今夜は寝て、明日の朝早く起きて洗濯を回そう。
そしてスマホのアラームを6時にセットすると、部屋の電気を消してベッドに潜り込み、私はすぐに眠りに付いてしまった―。
私は夢を見ていた。
真っ白な教会には大きなベルが取り付けられて、祝福のベルが鳴り響いている。すると何処からともなく一斉に鳩が飛び立ち、式に参加した人達がウェディングドレスを来た私と、腕を組んでいる彼にブライダルシャワーを投げかけている。そして私は真っ白なスーツを着た彼を見上げて微笑む。
その相手は…。
ピピピピピ…ッ!
突然夢の中でスマホのアラームが鳴り響き、私はパチリと目が覚めた。
「ゆ、夢…」
まさか、自分の結婚式の夢を見てしまうなんて…。それにしても相手は…。
「所詮…夢…だよね…?」
私はポツリと呟いた―。
ゴブッ!
気付けばお湯の中に潜っていた。
「ゴホッ、ゴホッ!」
慌ててお湯の中から顔を出し、激しく咳き込んだ。
「あ、危なかった…」
肩で息をしながら安堵のため息をつく私。
「まさか…湯船の中で寝てしまうなんて…」
改めてお湯から肩を出すと、バスタブの壁に寄りかかった。まだ心臓がドキドキしている。
「はぁ…参ったなぁ…」
雫の垂れる天井を見上げながらポツリと呟いた。結局、直人さんの弟さんからは何故直人さんが突然社長に就任したのか、川口家電はその後どうなったのか…等の話しは一切聞く事が出来なかった。何故なら彼の休憩時間が終わってしまい、仕事に戻ってしまったからだ。でも…知りたくは無かった。今頃直人さんの話を聞いた所で…もうどうしようもないのだから。話が途中で終わって良かったと思っている。
「私…もうあのファミレスに行くの…やめようかな…」
そして再びため息をついた―。
****
濡れた髪の毛をバスタオルで拭いながら部屋に戻るとスマホがチカチカ点滅している。
「あれ?誰からかな?」
何気なくスマホをタップすると真理ちゃんからだった。留守番電話が入っている。早速センターに問い合わせしてみる事にした。するとガイダンスの後に真理ちゃんの声が聞こえてくる。
『ヤッホー。鈴音~元気にしてる?ねぇ聞いてよっ!私ね~とうとう同棲中の彼からプロポーズして貰っちゃった!あまりにも嬉しくて思わずあちこち電話掛けちゃってるんだ。鈴音、結婚前にパジャマパーティーしない?連絡待ってるね』
「真理ちゃん…」
メッセージを聞き終えた私は自分の事では無くてもドキドキしていた。
「え~…あの真理ちゃんが…ついに結婚…?いやいや、でも待って…まだ私達24歳なのにもう結婚…?あ、でも結婚は早い方がいいのかな~…」
そこまで言ってふと、思った。ひょっとすると私と直人さんも…あんな事が無ければ今年には結婚出来ていたのかな…?
「あ、それよりも電話電話…」
私は真理ちゃんの電話番号をタップした―。
****
「じゃあ、またね~」
『うん、またね!』
真理ちゃんとの電話を切ると、早速卓上カレンダーを手に取った。真理ちゃんは入籍だけして、秋頃に式を挙げるという話だった。そしてパジャマパーティーは2月1日で、私の住む部屋でお泊り会をすることに決定した。
「2週間後か…お酒とか色々用意しないとね」
時計を見ると深夜の0時を過ぎていた。
「うわっ!こんな時間だったんだ…遅くまで電話しちゃってたけど…彼氏さんに何も言われなかったかなぁ…フワアアア…」
ブツブツ言っているうちに欠伸が出てしまった。ああ…眠くなってきちゃった。もう今夜は寝て、明日の朝早く起きて洗濯を回そう。
そしてスマホのアラームを6時にセットすると、部屋の電気を消してベッドに潜り込み、私はすぐに眠りに付いてしまった―。
私は夢を見ていた。
真っ白な教会には大きなベルが取り付けられて、祝福のベルが鳴り響いている。すると何処からともなく一斉に鳩が飛び立ち、式に参加した人達がウェディングドレスを来た私と、腕を組んでいる彼にブライダルシャワーを投げかけている。そして私は真っ白なスーツを着た彼を見上げて微笑む。
その相手は…。
ピピピピピ…ッ!
突然夢の中でスマホのアラームが鳴り響き、私はパチリと目が覚めた。
「ゆ、夢…」
まさか、自分の結婚式の夢を見てしまうなんて…。それにしても相手は…。
「所詮…夢…だよね…?」
私はポツリと呟いた―。
0
お気に入りに追加
812
あなたにおすすめの小説
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる