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第16章 24 気遣い
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「昨夜はちゃんと眠れたかい?」
「え?」
いきなり突拍子もない事を聞かれて戸惑ってしまった。
「い、いえ。最近あまり良く眠れてなくて…」
「そうか、何だかここ数日で随分やつれてしまったみたいだから・・目の下に少しクマも出来てるし」
「は、はい。お恥ずかしながら…」
やっぱり私の様子がおかしい事、先輩に気付かれていたんだ。だとする他の人達も皆気付いているのかも…。
「まあ、俺で良ければ話聞くからさ。何か悩みがあればいつでも相談に乗るよ」
「はい、ありがとうございます」
「そう言えばさ、昨日の事なんだけど…」
「はい」
うん、そうだよね。やっぱり昨夜あんな場面を見たら誰だって気になると思う。しかし先輩は全く違う事を尋ねて来た。
「窓口にやって来たお客さん、どんな旅行プランを望んでいたの?」
「え?」
考えていたのとは予想外の事を尋ねられて私は戸惑った。
「俺が尋ねてもあのお客さん教えてくれなかったんだよね~」
太田先輩は腕組みしながら言う。
「あのお客様は新婚旅行が目的でした。行きたい場所の希望も特に無かったみたいで私だったらどんな旅行がしたいか尋ねられたんです」
「へ~新婚旅行のプランか。それで加藤さんは何て言ったんだい?」
「私は海が好きなので、『タヒチ』をお勧めしました」
「『タヒチ』か、いいところだよね」
「え?先輩は行った事があるんですか?」
「いや、自慢じゃないが俺はまだ一度も海外旅行をしたことが無い」
「ええ?!本当ですか?!」
「ああ、だから旅行会社でに入社して旅行した気分を味わっている」
「そうなんですか…」
「でもいつかは行きたいと思ってるよ。有給を貰ってね。自慢じゃないがまだ俺は入社してから一度も有給を使った事が無いんだ」
「そうなんですね。でも私も殆ど旅行はしたことが無くて。学生時代にハワイとサイパンに行った位ですね」
「へ~そう言えばどうして加藤さんは旅行会社に入社したんだい?」
「はい、姉の婚約者だった人が旅行が好きで2人は良く一緒に旅行に行ってたんです。それで旅行のお土産話を聞いているうちに旅行に興味を持って旅行会社に就職したんです」
「そうだったんだ」
そこまで話した時、女性店員が料理を運んできてくれた。
「お待たせ致しました」
そして私達の前に料理を置くき、ごゆっくりどうぞと言って去っていった。
「おお~これはうまそうだな」
太田先輩は熱々の湯気が立っているオムライスを前に嬉しそうに言う。
「はい、美味しそうですね。」
オムライスの上にかかっているデミグラスソースの香りが久々に食欲をそそられる。
「食欲が湧くの…久しぶりです」
思わずポロリと本音が出てしまった。太田先輩はそのことには触れずに言った。
「そうか、良かったな。それじゃ食べようか」
「はい…いただきます」
そして私達は2人で熱々のオムライスを美味しく頂いた―
****
「本当にご馳走になってしまいましたけど…良かったんですか?」
食事を終え、代理店へ向かう道すがら私は尋ねた。
「ああ、いいんだよ。でも全部食べれたじゃないか」
太田先輩が笑顔で言った。
「はい、オムライスとっても美味しかったです」
「そうか、加藤さんは卵料理が好きなんだな?」
その言葉に直人さんの事を思い出してしまった。直人さんも私の事を卵料理が好きだねと良く言っていたっけ。
「食も満たされたし、午後の仕事も頑張ろうな?」
「はい」
結局太田先輩は代理店に着くまで昨夜の事を尋ねてくることは無かった―。
「え?」
いきなり突拍子もない事を聞かれて戸惑ってしまった。
「い、いえ。最近あまり良く眠れてなくて…」
「そうか、何だかここ数日で随分やつれてしまったみたいだから・・目の下に少しクマも出来てるし」
「は、はい。お恥ずかしながら…」
やっぱり私の様子がおかしい事、先輩に気付かれていたんだ。だとする他の人達も皆気付いているのかも…。
「まあ、俺で良ければ話聞くからさ。何か悩みがあればいつでも相談に乗るよ」
「はい、ありがとうございます」
「そう言えばさ、昨日の事なんだけど…」
「はい」
うん、そうだよね。やっぱり昨夜あんな場面を見たら誰だって気になると思う。しかし先輩は全く違う事を尋ねて来た。
「窓口にやって来たお客さん、どんな旅行プランを望んでいたの?」
「え?」
考えていたのとは予想外の事を尋ねられて私は戸惑った。
「俺が尋ねてもあのお客さん教えてくれなかったんだよね~」
太田先輩は腕組みしながら言う。
「あのお客様は新婚旅行が目的でした。行きたい場所の希望も特に無かったみたいで私だったらどんな旅行がしたいか尋ねられたんです」
「へ~新婚旅行のプランか。それで加藤さんは何て言ったんだい?」
「私は海が好きなので、『タヒチ』をお勧めしました」
「『タヒチ』か、いいところだよね」
「え?先輩は行った事があるんですか?」
「いや、自慢じゃないが俺はまだ一度も海外旅行をしたことが無い」
「ええ?!本当ですか?!」
「ああ、だから旅行会社でに入社して旅行した気分を味わっている」
「そうなんですか…」
「でもいつかは行きたいと思ってるよ。有給を貰ってね。自慢じゃないがまだ俺は入社してから一度も有給を使った事が無いんだ」
「そうなんですね。でも私も殆ど旅行はしたことが無くて。学生時代にハワイとサイパンに行った位ですね」
「へ~そう言えばどうして加藤さんは旅行会社に入社したんだい?」
「はい、姉の婚約者だった人が旅行が好きで2人は良く一緒に旅行に行ってたんです。それで旅行のお土産話を聞いているうちに旅行に興味を持って旅行会社に就職したんです」
「そうだったんだ」
そこまで話した時、女性店員が料理を運んできてくれた。
「お待たせ致しました」
そして私達の前に料理を置くき、ごゆっくりどうぞと言って去っていった。
「おお~これはうまそうだな」
太田先輩は熱々の湯気が立っているオムライスを前に嬉しそうに言う。
「はい、美味しそうですね。」
オムライスの上にかかっているデミグラスソースの香りが久々に食欲をそそられる。
「食欲が湧くの…久しぶりです」
思わずポロリと本音が出てしまった。太田先輩はそのことには触れずに言った。
「そうか、良かったな。それじゃ食べようか」
「はい…いただきます」
そして私達は2人で熱々のオムライスを美味しく頂いた―
****
「本当にご馳走になってしまいましたけど…良かったんですか?」
食事を終え、代理店へ向かう道すがら私は尋ねた。
「ああ、いいんだよ。でも全部食べれたじゃないか」
太田先輩が笑顔で言った。
「はい、オムライスとっても美味しかったです」
「そうか、加藤さんは卵料理が好きなんだな?」
その言葉に直人さんの事を思い出してしまった。直人さんも私の事を卵料理が好きだねと良く言っていたっけ。
「食も満たされたし、午後の仕事も頑張ろうな?」
「はい」
結局太田先輩は代理店に着くまで昨夜の事を尋ねてくることは無かった―。
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