246 / 519
第16章 4 衝撃的な写真
しおりを挟む
「うん、やっぱり話題になっているだけあって美味いな」
亮平は満足げに料理を食べている。だけどこっちは食事を楽しむ余裕なんて無かった。何故亮平がこんな真似をするのか謎だったし、いくら尋ねてみても、まずは食事をしてからだと言ってちっとも本題を話してくれないのだから。
「何だよ、鈴音。あんまり食が進んでいないじゃないか。以前のガリガリの体型に比べれば少しは肉がついてきたみたいだけど、まだまだお前は痩せ過ぎだよ。ちゃんと食べろよ」
黙って聞いていれば随分失礼な事を言われている気がする。
「そんな事無いよ、ちゃんと食べているから大丈夫だよ」
「そうか?あー美味かった」
気付けばすでに亮平は食事を終えていた。
「嘘?!もう食べ終わったの?」
「ああ、鈴音はまだ半分位しか食べ終えていないのか?まあいい、俺に気にせずにゆっくり食べろよ。ワインでも飲んで待ってるから」
そして亮平は自分でグラスにワインをトクトクと注ぐグイッと一気に飲んだ。その姿を見て私はピンときた。もしかしたら亮平は今から話しにくい内容の話をするのではないかと。だてに子供の頃からの付き合いじゃない。亮平は何か話をしにくい時になるとよくお酒を事前に一気飲みしていた。
「ふう~…」
トンと空になったグラスをテーブルの上に置くと亮平は言った。
「鈴音、最近川口と会ってるか?」
「え?」
パスタを口に運びかけた時、いきなり亮平から直人さんの名前が出てきてドキリとした。
「そ、それは…」
確かに直人さんとは1週間ほど会えていないけれども、何故突然そんな話を亮平がしてくるのだろう?
「やっぱり会っていないんだな…」
亮平は私の反応で気づいたのか、再びグラスにワインを注ぐとまた一気に飲み干した。
「ねえ、ちょっと飲み過ぎだよ。そんなに飲んで大丈夫なの?」
パスタを飲み込むと私は言った。
「それよりお前こそ大丈夫なのか?」
「何が?」
「だって川口と…彼氏と音信不通なんだろう?」
「音信不通ってそんな大袈裟な…たった1週間ほど会えないだけだよ?それに電話連絡ならしてるもの」
「何だって?!1週間も会っていないのかっ?!」
「う、うん。でもその前にこれから色々忙しくなるから、私と会えなくなるかもしれないって話は聞かされていたから…」
「鈴音、お前そんな話本当に信じてるのか?」
「え?」
「あいつの話、全て信じてるのかって聞いてるんだよ」
「亮平…一体何の話をしているの…?」
すると亮平は突然自分の持っていたビジネスバッグからスマホを取り出した。
「?」
訳も分からずに首を傾げると、亮平はスマホをピッピッと操作して、私の前のテーブルに黙って置いた。
「え…?」
スマホに写っているのは画像だった。そこに写っていたのはスーツを着た直人さんだった。場所はどこかの喫茶店のように見えた。そして直人さんの向かい側には上品なワンピーススーツを着た綺麗な女性が写っていた。
「え…?」
気づけば亮平のスマホを握りしめ、食い入るようにスマホの画像を見ていた。直人さんはなんとも言えない微妙な表情をして写ってはいたが、女性の方は笑顔で直人さんを見つめている。2人とも…何ていうかお似合いだった。
「う、嘘…」
すると亮平が口を開いた。
「今から4日前の事だ。俺は会社の外回りをしていて休憩の為に喫茶店へ入ったんだ。その時に見覚えのある男が座っていたんだよ。相手の女は親し気に川口に話しかけていたっけな…何ていうか普通の関係には見えなかった。それで悪いとは思ったが…写真を撮ったんだ」
亮平の言葉がどこか遠くで聞こえる気がする。
「そ、そんな…」
直人さん…忙しいからと言って会えなかった間に別の女性と…?私の事はもう嫌になったって事なのかな…?
思わず目頭が熱くなったけど、亮平の前ではこんな情けない顔見られたくない。
「あ、ありがとう…亮平、教えてくれて…」
震えながら亮平にスマホを返した。
「おい?鈴音、お前一体これからどうするんだよ?」
「…」
私は返事が出来なかった。これからどうする?今日は私から連絡入れているのに電話もメールの返信も無いのに?もし会いに行って迷惑そうな顔されたら?拒絶されたら?それどころか相手の女性がマンションにいたら?私はそんな場面に出くわすなんて耐えられない。だったら、このまま黙って身を引いたほうがずっとマシだ。だって今まで私はそうやって何度も何度も亮平が誰かと交際するのを見る度に耐えて来たのだから。
「私からは…何もする事はないよ…」
気づけば涙がぽたりとテーブルの上に落ちていた―。
亮平は満足げに料理を食べている。だけどこっちは食事を楽しむ余裕なんて無かった。何故亮平がこんな真似をするのか謎だったし、いくら尋ねてみても、まずは食事をしてからだと言ってちっとも本題を話してくれないのだから。
「何だよ、鈴音。あんまり食が進んでいないじゃないか。以前のガリガリの体型に比べれば少しは肉がついてきたみたいだけど、まだまだお前は痩せ過ぎだよ。ちゃんと食べろよ」
黙って聞いていれば随分失礼な事を言われている気がする。
「そんな事無いよ、ちゃんと食べているから大丈夫だよ」
「そうか?あー美味かった」
気付けばすでに亮平は食事を終えていた。
「嘘?!もう食べ終わったの?」
「ああ、鈴音はまだ半分位しか食べ終えていないのか?まあいい、俺に気にせずにゆっくり食べろよ。ワインでも飲んで待ってるから」
そして亮平は自分でグラスにワインをトクトクと注ぐグイッと一気に飲んだ。その姿を見て私はピンときた。もしかしたら亮平は今から話しにくい内容の話をするのではないかと。だてに子供の頃からの付き合いじゃない。亮平は何か話をしにくい時になるとよくお酒を事前に一気飲みしていた。
「ふう~…」
トンと空になったグラスをテーブルの上に置くと亮平は言った。
「鈴音、最近川口と会ってるか?」
「え?」
パスタを口に運びかけた時、いきなり亮平から直人さんの名前が出てきてドキリとした。
「そ、それは…」
確かに直人さんとは1週間ほど会えていないけれども、何故突然そんな話を亮平がしてくるのだろう?
「やっぱり会っていないんだな…」
亮平は私の反応で気づいたのか、再びグラスにワインを注ぐとまた一気に飲み干した。
「ねえ、ちょっと飲み過ぎだよ。そんなに飲んで大丈夫なの?」
パスタを飲み込むと私は言った。
「それよりお前こそ大丈夫なのか?」
「何が?」
「だって川口と…彼氏と音信不通なんだろう?」
「音信不通ってそんな大袈裟な…たった1週間ほど会えないだけだよ?それに電話連絡ならしてるもの」
「何だって?!1週間も会っていないのかっ?!」
「う、うん。でもその前にこれから色々忙しくなるから、私と会えなくなるかもしれないって話は聞かされていたから…」
「鈴音、お前そんな話本当に信じてるのか?」
「え?」
「あいつの話、全て信じてるのかって聞いてるんだよ」
「亮平…一体何の話をしているの…?」
すると亮平は突然自分の持っていたビジネスバッグからスマホを取り出した。
「?」
訳も分からずに首を傾げると、亮平はスマホをピッピッと操作して、私の前のテーブルに黙って置いた。
「え…?」
スマホに写っているのは画像だった。そこに写っていたのはスーツを着た直人さんだった。場所はどこかの喫茶店のように見えた。そして直人さんの向かい側には上品なワンピーススーツを着た綺麗な女性が写っていた。
「え…?」
気づけば亮平のスマホを握りしめ、食い入るようにスマホの画像を見ていた。直人さんはなんとも言えない微妙な表情をして写ってはいたが、女性の方は笑顔で直人さんを見つめている。2人とも…何ていうかお似合いだった。
「う、嘘…」
すると亮平が口を開いた。
「今から4日前の事だ。俺は会社の外回りをしていて休憩の為に喫茶店へ入ったんだ。その時に見覚えのある男が座っていたんだよ。相手の女は親し気に川口に話しかけていたっけな…何ていうか普通の関係には見えなかった。それで悪いとは思ったが…写真を撮ったんだ」
亮平の言葉がどこか遠くで聞こえる気がする。
「そ、そんな…」
直人さん…忙しいからと言って会えなかった間に別の女性と…?私の事はもう嫌になったって事なのかな…?
思わず目頭が熱くなったけど、亮平の前ではこんな情けない顔見られたくない。
「あ、ありがとう…亮平、教えてくれて…」
震えながら亮平にスマホを返した。
「おい?鈴音、お前一体これからどうするんだよ?」
「…」
私は返事が出来なかった。これからどうする?今日は私から連絡入れているのに電話もメールの返信も無いのに?もし会いに行って迷惑そうな顔されたら?拒絶されたら?それどころか相手の女性がマンションにいたら?私はそんな場面に出くわすなんて耐えられない。だったら、このまま黙って身を引いたほうがずっとマシだ。だって今まで私はそうやって何度も何度も亮平が誰かと交際するのを見る度に耐えて来たのだから。
「私からは…何もする事はないよ…」
気づけば涙がぽたりとテーブルの上に落ちていた―。
0
お気に入りに追加
812
あなたにおすすめの小説
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる