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第16章 2 待ち合わせの場所に現れたのは
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午前7時―
クリスマスイブまであと10日程のある朝の事だった。出勤準備をしている私の元に
着信が入って来た。
「ん?誰だろう?直人さんかな?」
スマホを確認してみると電話の相手はお姉ちゃんからだった。
「え?お姉ちゃん?」
どうしたんだろう?こんな朝から電話を掛けてくるなんて…訝し気に思いながらも私は受話器をタップした。
「もしもし?」
『あ、鈴音ちゃん。お早う、ごめんね。朝の忙しい時に』
受話器越しからお姉ちゃんの声が聞こえてくる。
「ううん、大丈夫だよ。何かあったの?」
『ええ、あのね。今夜一緒に食事に行かない?』
「え?!食事に?!」
あまりにも突然の誘いに驚いてしまった。
「あ…それとも今夜はデートだったかしら?」
お姉ちゃんが申し訳なさそうに言う。
「ううん。その予定はないから大丈夫だよ。彼はここ数日仕事が忙しいみたいだから会っていないの。電話はしているけどね」
直人さんとはかれこれ1週間近く会えていない。どうも仕事が忙しくて大変みたいなことを電話口で聞かされていたから。
『そうなのね?それじゃ折角だから鈴音ちゃんの職場のある駅で会いましょ?お仕事は何時に終わるの?』
「ええ?!お、お姉ちゃん…まさか錦糸町まで来るつもりなの?!大丈夫なの?」
最近、ようやく1人で買い物に行けるようになったと聞いていたけど、まさか電車に乗って来るなんて…。すると受話器越しからお姉ちゃんの笑い声が聞こえてきた。
『アハハハ…鈴音ちゃんは心配性ね。大丈夫よ。もう頭がぼんやりする事は無くなったから。年明けからはまた働き始めようかと思っていたし』
「うん…お姉ちゃんがそう言うなら…でも本当に大丈夫?」
『ええ、大丈夫よ。それで何時に駅に来れそう?』
「そうだな…今日は早番だから18時半には駅に着くかな?」
『分ったわ、18時半ね?それじゃまた後でね? 』
「うん、またね」
ピッ
電話を切ったものの、不安で一杯だった。
「お姉ちゃん…本当に大丈夫なのかな…」
そして時計を見た私は驚いた。もう家を出なければ行けない時間だったからだ。
「あ!いけない!遅刻しちゃう…!」
急いでコートをはおり、通勤カバンを持つとマンションを出た。
「そう言えば、今朝は直人さんから電話が入って来なかったな…?」
自転車置き場から自転車を出すときに、チラリと直人さんの住んでいるマンションを見た。仕事…大分忙しいのかな?お昼休みにメール入れておこうかな…?
そして私は自転車をこいで駅まで向かった―。
****
この日の代理店はとても込んでいた。12月も押し迫り、駆け込みで旅行の申し込みが殺到したからだ。でも今日は残業している余裕は無い。お姉ちゃんと駅で待ち合わせだから…。
まもなく終業時間が迫っていた。私は必死でPCに顧客情報を入力していると、井上君が声を掛けてきた。
「加藤さん、今日は随分頑張ってるね?」
「うん、絶対残業するわけにはいかないから」
「へ~…ひょっとして、彼氏とデート?」
井上君が苦笑いしながら尋ねて来る。
「ううん。今夜はお姉ちゃんと食事なの」
「え?そうなのか?それじゃ尚更残業出来ないね。ごめん、邪魔して」
そして井上君はソソクサと逃げるようにその場を去って行った。さて、もうひと頑張りだ―。
****
18時半―
「ふう~…良かった。仕事間に合って…」
私は今、駅の改札でお姉ちゃんがやって来るのを待っていた。それにしても…。
スマホを眺めてため息をついた。お昼休みに直人さんにメールを打ったのに返信が来ていない。
「一体どうしたんだろう…?」
こんな事は初めてだった。直人さんとも会わなくなって5日程経過しているし…。
「どうしよう…帰りにマンションに寄ってみようかな…?」
そんな事を考えていた時、突然背後から声を掛けられた。
「久しぶりだな、鈴音。」
え…?その声は…?
驚いて振り向くと、そこに立っていたのは…。
「亮…平…?」
私は信じられない思いで亮平を見つめた―。
クリスマスイブまであと10日程のある朝の事だった。出勤準備をしている私の元に
着信が入って来た。
「ん?誰だろう?直人さんかな?」
スマホを確認してみると電話の相手はお姉ちゃんからだった。
「え?お姉ちゃん?」
どうしたんだろう?こんな朝から電話を掛けてくるなんて…訝し気に思いながらも私は受話器をタップした。
「もしもし?」
『あ、鈴音ちゃん。お早う、ごめんね。朝の忙しい時に』
受話器越しからお姉ちゃんの声が聞こえてくる。
「ううん、大丈夫だよ。何かあったの?」
『ええ、あのね。今夜一緒に食事に行かない?』
「え?!食事に?!」
あまりにも突然の誘いに驚いてしまった。
「あ…それとも今夜はデートだったかしら?」
お姉ちゃんが申し訳なさそうに言う。
「ううん。その予定はないから大丈夫だよ。彼はここ数日仕事が忙しいみたいだから会っていないの。電話はしているけどね」
直人さんとはかれこれ1週間近く会えていない。どうも仕事が忙しくて大変みたいなことを電話口で聞かされていたから。
『そうなのね?それじゃ折角だから鈴音ちゃんの職場のある駅で会いましょ?お仕事は何時に終わるの?』
「ええ?!お、お姉ちゃん…まさか錦糸町まで来るつもりなの?!大丈夫なの?」
最近、ようやく1人で買い物に行けるようになったと聞いていたけど、まさか電車に乗って来るなんて…。すると受話器越しからお姉ちゃんの笑い声が聞こえてきた。
『アハハハ…鈴音ちゃんは心配性ね。大丈夫よ。もう頭がぼんやりする事は無くなったから。年明けからはまた働き始めようかと思っていたし』
「うん…お姉ちゃんがそう言うなら…でも本当に大丈夫?」
『ええ、大丈夫よ。それで何時に駅に来れそう?』
「そうだな…今日は早番だから18時半には駅に着くかな?」
『分ったわ、18時半ね?それじゃまた後でね? 』
「うん、またね」
ピッ
電話を切ったものの、不安で一杯だった。
「お姉ちゃん…本当に大丈夫なのかな…」
そして時計を見た私は驚いた。もう家を出なければ行けない時間だったからだ。
「あ!いけない!遅刻しちゃう…!」
急いでコートをはおり、通勤カバンを持つとマンションを出た。
「そう言えば、今朝は直人さんから電話が入って来なかったな…?」
自転車置き場から自転車を出すときに、チラリと直人さんの住んでいるマンションを見た。仕事…大分忙しいのかな?お昼休みにメール入れておこうかな…?
そして私は自転車をこいで駅まで向かった―。
****
この日の代理店はとても込んでいた。12月も押し迫り、駆け込みで旅行の申し込みが殺到したからだ。でも今日は残業している余裕は無い。お姉ちゃんと駅で待ち合わせだから…。
まもなく終業時間が迫っていた。私は必死でPCに顧客情報を入力していると、井上君が声を掛けてきた。
「加藤さん、今日は随分頑張ってるね?」
「うん、絶対残業するわけにはいかないから」
「へ~…ひょっとして、彼氏とデート?」
井上君が苦笑いしながら尋ねて来る。
「ううん。今夜はお姉ちゃんと食事なの」
「え?そうなのか?それじゃ尚更残業出来ないね。ごめん、邪魔して」
そして井上君はソソクサと逃げるようにその場を去って行った。さて、もうひと頑張りだ―。
****
18時半―
「ふう~…良かった。仕事間に合って…」
私は今、駅の改札でお姉ちゃんがやって来るのを待っていた。それにしても…。
スマホを眺めてため息をついた。お昼休みに直人さんにメールを打ったのに返信が来ていない。
「一体どうしたんだろう…?」
こんな事は初めてだった。直人さんとも会わなくなって5日程経過しているし…。
「どうしよう…帰りにマンションに寄ってみようかな…?」
そんな事を考えていた時、突然背後から声を掛けられた。
「久しぶりだな、鈴音。」
え…?その声は…?
驚いて振り向くと、そこに立っていたのは…。
「亮…平…?」
私は信じられない思いで亮平を見つめた―。
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