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第15章 9 理解出来ない行動

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「ちょ、ちょっと亮平!何してるのよっ!」

私は亮平と井上君の間に割って入った。

「あ・・加藤さん。俺が店の前で待っていたらいきなりこの男が現れたんだよ」

井上君は亮平を見ながら言った。

「鈴音、お前を迎えに来たんだよ。渡したいものもあったしな。近くのパーキングに車を止めてあるから一緒に帰ろう。マンションまで送るから」

亮平が笑顔で言う。だけど・・・。

「どうして、こんなところに来てるの亮平・・・お姉ちゃんはどうしたの?」

「うん?忍ならもう家にいるけど?忍を送ってすぐにお前を迎えに来たんだよ」

「どうして・・・?」

私は俯いて肩を震わせた。

「加藤さん、大丈夫か?」

背後で井上君の声が聞こえて、肩に手が伸びてきた。すると・・・。

「おい!勝手に鈴音に触るな!」

亮平がいきなり井上君にくってかかった。

「いい加減にして!亮平っ!」

気付けば私は大声を上げていた。

「鈴音・・・。俺はただ・・ただの同僚が勝手にお前に触ろうとしたから・・」

「それを言うなら亮平だってただの幼馴染でしょっ!」

どうしてなのよ・・・!折角亮平から離れようと決意したのに、お姉ちゃんと恋人同士に戻って貰う事を願って、今日の高尾山をセッティングしたのに・・!

「す、鈴音・・・・」

何故か亮平は酷く傷ついた顔をして私を見ている。

「加藤さん・・・何があったか知らないけど・・わざわざ車で迎えに来てもらったんだろう・・?一緒に帰ったほうがいいんじゃないか?」

井上君が私に言った。

「井上君・・・」

「それじゃ・・また明日」

井上君は手を振ると立ち去ってしまった。

「・・・」

その姿を見届けていると、背後から亮平が声を掛けてきた。

「鈴音・・・帰ろう」

「・・・」

私は黙って頷いた―。



「「・・・・」」

狭い車内の中・・重苦しい沈黙が続いている。本当は今日の2人だけのデートの感想とか色々聞きたかったけど、とてもじゃないけど今はそんな事聞きたいとも思わなかった。もう私には構わないで欲しいのに・・亮平が何を考えているのか今となっては何も理解出来なかった。

「あの・・・さ・・・」

沈黙に耐え切れなかったのか、それとも私の不機嫌な様子に我慢できなくなったのか、運転しながら亮平が口を開いた。

「今日の・・高尾山ミュージアム・・忍、すごく楽しんでたよ。お前にも来てもらいたかったって・・ずっと言ってたよ」

「そう・・つまり、亮平はどうして私も来なかったんだって言いに来たんだね?」

つい、意地悪な言い方をしてしまう。

「違うっ!俺はただ・・お前の帰りが今日は遅いって言ってたから・・そんな事を聞いたら迎えに行かなくちゃいけないって思うだろう?」

それを聞いた私はおかしくなってしまった。だって、前にも同じ会話をしたことがあるから。

「亮平・・今の住んでる処は・・・物騒な場所は無いんだよ?自転車だって買ったし、それに何より・・今の私には、私の事を心配して迎えに来てくれる人だっているんだから」

だから・・亮平はもう必要ないんだよ。忘れようとしているんだから・・私に構わないでよ・・。目頭が熱くなりそうになるのをじっと我慢する。

「悪かったよ・・鈴音。ただ・・俺はお前が交通事故に遭ってから・・心配でたまらないんだ。ずっと今まで当り前の様に隣にいた相手が・・ある日突然いなくなってしまうのが・・どんなに怖い事なのかって事に気付いたんだよ・・だから・・」

「亮平・・・私達はただの幼馴染だよ?家族でも無い・・ただの幼馴染。そんな関係が大人になっても・・・いつまでも続くと思っているの?」

私は自分自身に言い聞かせるように言う。


「鈴音・・・俺は・・。」

「亮平は、お姉ちゃんのことが好きなんでしょう?」

亮平は返事をしない。

「どうなの?あんなにお姉ちゃんの事・・・子供の頃から好きだったじゃない」

「ああ・・好きだったよ。でも・・」

その時・・・

トゥルルルルル・・・

私のスマホに着信が入って来た。それは川口さんからだった―。

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