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第10章 2 言い知れぬ不安
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夜7時―
実家に持ち帰ったお姉ちゃんの衣類を洗濯して乾かし終えた私はリビングでテレビを見ながら洗濯物を畳んでいると家の中にインターホンの音が響き渡った。
ピンポーン
「はーい。」
返事をして、扉を開けるとそこに亮平が立っていた。
「あ・・亮平・・こんばんは。」
すると不機嫌そうに眉をしかめ、亮平が口を開いた。
「何がこんばんは、だ。どうして家に来ないんだよ?母さんはずっと首を長くして鈴音が来るのを待っていたって言うのに・・。」
「え?そうなの?で、でも・・何だか迷惑かけるんじゃないかと思うと・・。」
すると・・・。フワッと私の頭の上に亮平の手が置かれ・・その手が突然私の頭を撫でてきた。
「え・・?」
驚いて亮平を見上げると、亮平はじっと私を見つめている。何・・・?この状況。こんなの変だ。今迄頭なんか撫でられた事一度も無いのに。
「な、何・・?亮平・・・?」
半分引きつった笑みを浮かべ亮平を見る。すると亮平が言った。
「ばーか、もっと鈴音は人に甘える事を覚えろよ。」
「え・・?」
「いつもいつも1人で色々な事抱え込んで・・まぁその悩みの全ては忍の事だろうから誰にも相談できなかったと思うけどな・・。ましてや俺は・・つい全面的に忍の肩ばかり持っていたからな・・。」
亮平は溜息をつきながら言う。
・・そうだよ。亮平が・・お姉ちゃんの肩ばかり持つから・・だから私はお姉ちゃんの事で色々相談してくても・・出来なくて・・・。
「鈴音・・黙ってるって事は・・・その通りって事なんだろ?」
「う、うん・・。」
亮平には悪いけど・・・私は素直な気持ちで頷いた。
「そうか・・やっぱりな・・・。いくら忍が俺の恋人だからと言っても・・今の忍は心が病んでるんだ。つまり・・全面的に忍の話ばかり信用していたら駄目だって事なんだよな。」
「亮平・・?」
一体どうしたの?今までお姉ちゃんの言う事はどんな事でも信用してきたのに?
「まあ・・だから俺の言いたいことは、これからは鈴音。お前の言い分もちゃんと聞くから・・忍の事で相談したい事とかがあったら、俺に話せって事だよ。お前と忍は・・まだ面談は無理だろうけど、俺は忍とは面談出来るから・・俺が忍とお前の橋渡しをすることがいずれ出来ればなって考えているって事だ。」
「亮平・・・今の言葉・・本当なの?」
どうにもまだ信用できず、つい念押ししてしまった。
「ああ、本当だ。何か・・こんな話すると・・変だってお前に思われてしまうかもしれないけど・・・。」
亮平が頭を掻きながら言う。
「以前までの俺は・・・自分でも不思議なくらいに忍の事が絡んでくると、どうも周りが見えなくなると言うか・・忍が俺に取って絶対的な存在のように・・つまり何があっても俺だけは忍の味方でいなければって思っていたんだ。」
え・・?
私は亮平の言葉に何故かゾワリと・・言いようのない寒気を感じた。
「って、何今俺・・変な話してるんだ?ほら、鈴音。母さんが待ってるから・・家に行くぞ。」
亮平がくるりと背を向けて玄関を出て行くので、私もその後を追った。
私の前を歩く亮平の背中を見つめながら、先ほどの亮平の言葉の意味を考えていた。
《 自分でも不思議なくらいに忍の事が絡んでくると、どうも周りが見えなくなると言うか、忍が俺に取って絶対的な存在のように・・つまり何があっても俺だけは忍の味方でいなければって思っていたんだ。》
まさか・・・お姉ちゃん・・・ひょっとして・・?
私の脳裏にはお姉ちゃんの部屋の本棚に大量に集められたある本の事を思い出してい。
まさか・・お姉ちゃん・・・?
私は亮平の背中を見つめながら・・・全身に鳥肌が立つのを覚えた―。
実家に持ち帰ったお姉ちゃんの衣類を洗濯して乾かし終えた私はリビングでテレビを見ながら洗濯物を畳んでいると家の中にインターホンの音が響き渡った。
ピンポーン
「はーい。」
返事をして、扉を開けるとそこに亮平が立っていた。
「あ・・亮平・・こんばんは。」
すると不機嫌そうに眉をしかめ、亮平が口を開いた。
「何がこんばんは、だ。どうして家に来ないんだよ?母さんはずっと首を長くして鈴音が来るのを待っていたって言うのに・・。」
「え?そうなの?で、でも・・何だか迷惑かけるんじゃないかと思うと・・。」
すると・・・。フワッと私の頭の上に亮平の手が置かれ・・その手が突然私の頭を撫でてきた。
「え・・?」
驚いて亮平を見上げると、亮平はじっと私を見つめている。何・・・?この状況。こんなの変だ。今迄頭なんか撫でられた事一度も無いのに。
「な、何・・?亮平・・・?」
半分引きつった笑みを浮かべ亮平を見る。すると亮平が言った。
「ばーか、もっと鈴音は人に甘える事を覚えろよ。」
「え・・?」
「いつもいつも1人で色々な事抱え込んで・・まぁその悩みの全ては忍の事だろうから誰にも相談できなかったと思うけどな・・。ましてや俺は・・つい全面的に忍の肩ばかり持っていたからな・・。」
亮平は溜息をつきながら言う。
・・そうだよ。亮平が・・お姉ちゃんの肩ばかり持つから・・だから私はお姉ちゃんの事で色々相談してくても・・出来なくて・・・。
「鈴音・・黙ってるって事は・・・その通りって事なんだろ?」
「う、うん・・。」
亮平には悪いけど・・・私は素直な気持ちで頷いた。
「そうか・・やっぱりな・・・。いくら忍が俺の恋人だからと言っても・・今の忍は心が病んでるんだ。つまり・・全面的に忍の話ばかり信用していたら駄目だって事なんだよな。」
「亮平・・?」
一体どうしたの?今までお姉ちゃんの言う事はどんな事でも信用してきたのに?
「まあ・・だから俺の言いたいことは、これからは鈴音。お前の言い分もちゃんと聞くから・・忍の事で相談したい事とかがあったら、俺に話せって事だよ。お前と忍は・・まだ面談は無理だろうけど、俺は忍とは面談出来るから・・俺が忍とお前の橋渡しをすることがいずれ出来ればなって考えているって事だ。」
「亮平・・・今の言葉・・本当なの?」
どうにもまだ信用できず、つい念押ししてしまった。
「ああ、本当だ。何か・・こんな話すると・・変だってお前に思われてしまうかもしれないけど・・・。」
亮平が頭を掻きながら言う。
「以前までの俺は・・・自分でも不思議なくらいに忍の事が絡んでくると、どうも周りが見えなくなると言うか・・忍が俺に取って絶対的な存在のように・・つまり何があっても俺だけは忍の味方でいなければって思っていたんだ。」
え・・?
私は亮平の言葉に何故かゾワリと・・言いようのない寒気を感じた。
「って、何今俺・・変な話してるんだ?ほら、鈴音。母さんが待ってるから・・家に行くぞ。」
亮平がくるりと背を向けて玄関を出て行くので、私もその後を追った。
私の前を歩く亮平の背中を見つめながら、先ほどの亮平の言葉の意味を考えていた。
《 自分でも不思議なくらいに忍の事が絡んでくると、どうも周りが見えなくなると言うか、忍が俺に取って絶対的な存在のように・・つまり何があっても俺だけは忍の味方でいなければって思っていたんだ。》
まさか・・・お姉ちゃん・・・ひょっとして・・?
私の脳裏にはお姉ちゃんの部屋の本棚に大量に集められたある本の事を思い出してい。
まさか・・お姉ちゃん・・・?
私は亮平の背中を見つめながら・・・全身に鳥肌が立つのを覚えた―。
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