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第9章 14 見つかった写真
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「ただいま~。」
玄関のドアを開けた亮平が廊下に向かって大きめの声で言う。
「おかえりなさい、2人とも。さ、鈴音ちゃん。早く上がって。」
亮平の家に着いた私たちをニコニコしながら出迎えてくれたのはおばさんだった。
「こんばんは。おばさん。今夜は・・お世話になります。」
頭を下げた。
「いいのよ、そんな事気にしないで。もういつでもすき焼きの準備が出来ているのよ。早くいらっしゃい。亮平はまず鈴音ちゃんのお布団敷いてきて頂戴。」
おばさんは亮平に視線を移すと言った。
「分かったよ。」
亮平は素直に返事をすると2階へ上がっていく。
「あ、ねえ。私も手伝おうか?」
自分の寝る布団なのに亮平に敷いてもらうのは悪い気がしたので私は声を掛けた。
「別に構わないぞ。お前はリビングへ先に行ってろよ。」
亮平は振り向くと言った。
「でも・・。」
「いいのよ、鈴音ちゃん。亮平に任せておけば・・そんな事より早くいらっしゃい。」
「は、はい・・・。」
おばさんに背中を押される形で私はリビングへ行くと、そこにすでにダイニングテーブルには電気グリル鍋が用意され、おじさんが椅子に座っていた。
「あ、こんばんは。おじさん。すみません・・今晩お世話になります。」
頭を下げて挨拶するとおじさんは笑った。
「ハハハハ・・気にしなくていいよ。そんな事は。大体見たかい?母さんのあの嬉しそうな顔を。鈴音ちゃんの事をずっと待っていたんだよ。さ、座りなさい。」
おじさんにすすめられた椅子に座ると、おばさんがキッチンからお肉を持ってダイニングルームへやってきた。
「じゃーん!ほら、見て頂戴?鈴音ちゃん。このお肉!淡いピンク色にこのサシのきめ細かさ!まさに特上牛肉だと思わない?」
おばさんが得意げに見せてくる。
「はい。とてもおいしそうですね。」
するとおじさんが言った。
「おい母さん。そんな話はもういいから、すぐに料理にとりかかってくれないか?お腹が空いてたまらないんだから。」
おじさんがお腹をさすりながら言う。
「あら、そうね。それじゃすぐにやるわ。」
おばさんは熱された電気グリル鍋に牛脂を入れると、お肉を焼き始めた。
ジュウ~ッ・・・・
途端にお肉の焼ける美味しい音と匂いがし始めた。そこへ2階から亮平が降りてくると言った。
「お?もう肉焼き始めたのか?うまそうだな。」
するとおばさんが亮平に言った
「亮平、台所から野菜の入ったザルがあるから持ってきて頂戴。」
「ああ。」
キッチンに消えた亮平が次に戻ってきた時に野菜がたっぷり入った大きなざるを手に持っていた。
「フフ・・それじゃ皆ですき焼きパーティーをしましょう。」
おばさんはニッコリ笑いながら言った―。
****
「ふ~・・美味かったな・・。」
亮平が満足そうに箸を置いた。
「ああ、ビールによくあったよ。」
おじさんも満足そうに残りのビールを飲んでいる。
「おばさん、後片付け手伝いますよ。」
椅子から立ち上がり、食器を持とうとするとおばさんに止められた。
「あら、いいのよ。鈴音ちゃん。それより実家にもし取りに行くものが有ったら行ってらっしゃいよ。」
おばさんに言われ、私は大事な事を思い出した。そう言えば・・・戸籍謄本を確認する為にマイナンバーカードを取りに行くつもりだったんだっけ。
「はい、それではちょっと家に行ってきますね。」
私はおばさんに言うと、玄関を出た。
家に行くと私は早速お仏壇の中の引き出しに入れた金庫の蓋を開けて、自分のマイナンバーカードを探すと、亮平に家に戻った。
「お邪魔します・・・。」
そしてリビングへ行くと、ソファに座り深刻そうな顔をしている亮平とおじさんおばさんの姿がある。
「あれ・・どうしたんですか・・?」
何だか様子がおかしいと感じた私は声を掛けた。
すると・・。
「す、鈴音ちゃん・・これは・・・これは一体何かしら・・?」
おばさんが震えながらテーブルの上に乗った写真を指さした。
「あ・・・・。」
そこに置かれた写真はお姉ちゃんの部屋で見つけた家族写真だった―。
玄関のドアを開けた亮平が廊下に向かって大きめの声で言う。
「おかえりなさい、2人とも。さ、鈴音ちゃん。早く上がって。」
亮平の家に着いた私たちをニコニコしながら出迎えてくれたのはおばさんだった。
「こんばんは。おばさん。今夜は・・お世話になります。」
頭を下げた。
「いいのよ、そんな事気にしないで。もういつでもすき焼きの準備が出来ているのよ。早くいらっしゃい。亮平はまず鈴音ちゃんのお布団敷いてきて頂戴。」
おばさんは亮平に視線を移すと言った。
「分かったよ。」
亮平は素直に返事をすると2階へ上がっていく。
「あ、ねえ。私も手伝おうか?」
自分の寝る布団なのに亮平に敷いてもらうのは悪い気がしたので私は声を掛けた。
「別に構わないぞ。お前はリビングへ先に行ってろよ。」
亮平は振り向くと言った。
「でも・・。」
「いいのよ、鈴音ちゃん。亮平に任せておけば・・そんな事より早くいらっしゃい。」
「は、はい・・・。」
おばさんに背中を押される形で私はリビングへ行くと、そこにすでにダイニングテーブルには電気グリル鍋が用意され、おじさんが椅子に座っていた。
「あ、こんばんは。おじさん。すみません・・今晩お世話になります。」
頭を下げて挨拶するとおじさんは笑った。
「ハハハハ・・気にしなくていいよ。そんな事は。大体見たかい?母さんのあの嬉しそうな顔を。鈴音ちゃんの事をずっと待っていたんだよ。さ、座りなさい。」
おじさんにすすめられた椅子に座ると、おばさんがキッチンからお肉を持ってダイニングルームへやってきた。
「じゃーん!ほら、見て頂戴?鈴音ちゃん。このお肉!淡いピンク色にこのサシのきめ細かさ!まさに特上牛肉だと思わない?」
おばさんが得意げに見せてくる。
「はい。とてもおいしそうですね。」
するとおじさんが言った。
「おい母さん。そんな話はもういいから、すぐに料理にとりかかってくれないか?お腹が空いてたまらないんだから。」
おじさんがお腹をさすりながら言う。
「あら、そうね。それじゃすぐにやるわ。」
おばさんは熱された電気グリル鍋に牛脂を入れると、お肉を焼き始めた。
ジュウ~ッ・・・・
途端にお肉の焼ける美味しい音と匂いがし始めた。そこへ2階から亮平が降りてくると言った。
「お?もう肉焼き始めたのか?うまそうだな。」
するとおばさんが亮平に言った
「亮平、台所から野菜の入ったザルがあるから持ってきて頂戴。」
「ああ。」
キッチンに消えた亮平が次に戻ってきた時に野菜がたっぷり入った大きなざるを手に持っていた。
「フフ・・それじゃ皆ですき焼きパーティーをしましょう。」
おばさんはニッコリ笑いながら言った―。
****
「ふ~・・美味かったな・・。」
亮平が満足そうに箸を置いた。
「ああ、ビールによくあったよ。」
おじさんも満足そうに残りのビールを飲んでいる。
「おばさん、後片付け手伝いますよ。」
椅子から立ち上がり、食器を持とうとするとおばさんに止められた。
「あら、いいのよ。鈴音ちゃん。それより実家にもし取りに行くものが有ったら行ってらっしゃいよ。」
おばさんに言われ、私は大事な事を思い出した。そう言えば・・・戸籍謄本を確認する為にマイナンバーカードを取りに行くつもりだったんだっけ。
「はい、それではちょっと家に行ってきますね。」
私はおばさんに言うと、玄関を出た。
家に行くと私は早速お仏壇の中の引き出しに入れた金庫の蓋を開けて、自分のマイナンバーカードを探すと、亮平に家に戻った。
「お邪魔します・・・。」
そしてリビングへ行くと、ソファに座り深刻そうな顔をしている亮平とおじさんおばさんの姿がある。
「あれ・・どうしたんですか・・?」
何だか様子がおかしいと感じた私は声を掛けた。
すると・・。
「す、鈴音ちゃん・・これは・・・これは一体何かしら・・?」
おばさんが震えながらテーブルの上に乗った写真を指さした。
「あ・・・・。」
そこに置かれた写真はお姉ちゃんの部屋で見つけた家族写真だった―。
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