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第6章 13 お酒の誘い
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「た、隆司さん?どうしたんですかっ?」
いきなり雨の中、傘を放り出した隆司さんに抱きしめられた私は戸惑いながら声を掛けた。すると隆司さんはますます強く抱きしめ、私の髪に顔うずめながら言った。
「良かった・・もうこのまま・・・ここには帰ってこないんじゃないかと思ったから・・・雨も降ってきたのに・・。俺は・・居ても立っても居られなくて・・。」
「隆司さん・・・。」
隆司さんは私の身体から離れると、肩に手を置いた。
「鈴音・・風邪をひくといけない。早く部屋に入ろう。」
「はい・・・。」
その後―
タワマンに入り、隆司さんの部屋に入るまでの間・・・2人の間に重苦しい沈黙が流れた。
靴を脱いで玄関から上がると隆司さんが私の髪に触れながら言った。
「鈴音・・髪の毛もすごく濡れてるじゃないか・・・。」
「え・・・?そうですか?」
自分自身ではそれほど濡れてる感じはしないけど・・・。
「シャワーを浴びてきた方がいい。」
「・・・分かりました。」
このままこうしていても気詰まりするだけかも・・。それなら隆司さんの言う通り、シャワーを浴びてきた方がいいかもしれない。
「隆司さんはシャワー浴びなくていいんですか?」
「ああ、俺はあまり濡れていないから・・鈴音の後でいいよ。」
「・・・わかりました。ではシャワーお借りします・・。」
何となく隆司さんの顔を見る事が出来ずに、視線をそらせると私は自室へ向かった。そしてクローゼットから着替えを出してくると、再びリビングへ行ってみると隆司さんの姿はそこになかった。ひょっとして・・隆司さんも自分の部屋にいるのかな?
それなら逆に気兼ねなくシャワーを借りる事が出来る・・・。私はバスルームへと向かった―。
「ふう~・・気持ち良かった・・・。」
鮮やかなオレンジ色のスウェットの部屋着に着替えて、濡れた髪の毛をタオルで拭きながらバスルームを出ると、何とリビングのソファでお酒を飲んでいる隆司さんと遭遇してしまった。
「た、隆司さんっ?!」
しまった。まさか自室にいると思ったのに・・こんな髪も濡れたままでバスルームから出てきてしまった。
「ああ、上がったんだな。鈴音。それじゃ・・・俺も入ってこようかな。」
隆司さんが立ちがった。
「え?駄目ですよ!だって・・お酒飲んでるんですよね?そんなアルコールを飲んだ直後にシャワーなんて・・。」
「大丈夫、まだ1杯目も空けていないから。そうだ・・・鈴音。俺と酒飲むの・・・付き合ってもらえないか?」
隆司さんが真剣な目で見つめてくる。そうだな・・別に断る理由も無いし・・今夜は色々あって・・お酒を飲みたい気分かもしれない。
「ええ・・いいですよ。待ってます。」
「そうか、ありがとう。」
隆司さんはにこりと笑うと自室へ着替えを取りに行った。そうだ・・お酒飲むなら何かおつまみがあった方がいいよね?
半渇きの髪の毛をドライタオルで包むと私はキッチンへと向かった。フックにかけてあったエプロンをつけると、さっそく冷蔵を開けた。
冷凍庫から冷凍枝豆をお皿に開けてレンジにかけている間に大根を千切りにしてレタスとあえた。次に買っておいた千切りキャベツに出汁の素に卵を割り入れてさらに少量の小麦粉とお水を加えて、よく混ぜる。熱したフライパンに油をひいて、生地を流し込んで蓋をして両面良く焼いたらお皿に盛りつけて、お好み焼きソースに青のり、マヨネーズをかけたところで隆司さんがバスルームから出てきた。
「あれ・・?鈴音。ひょっとして何か作ってくれていたのか?」
ニットの上下の部屋着に着替えてきた隆司さんがキッチンにやってきた。
「はい、おつまみを作ったんです。夜ご飯もまだだし、お酒だけじゃ物足りないですしね。」
エプロンを外しながら言うと隆司さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「よし、それじゃ・・・2人で宅飲み・・始めようか?」
「はい、そうしましょう。」
そして私と隆司さんの飲み会?が始まった―。
いきなり雨の中、傘を放り出した隆司さんに抱きしめられた私は戸惑いながら声を掛けた。すると隆司さんはますます強く抱きしめ、私の髪に顔うずめながら言った。
「良かった・・もうこのまま・・・ここには帰ってこないんじゃないかと思ったから・・・雨も降ってきたのに・・。俺は・・居ても立っても居られなくて・・。」
「隆司さん・・・。」
隆司さんは私の身体から離れると、肩に手を置いた。
「鈴音・・風邪をひくといけない。早く部屋に入ろう。」
「はい・・・。」
その後―
タワマンに入り、隆司さんの部屋に入るまでの間・・・2人の間に重苦しい沈黙が流れた。
靴を脱いで玄関から上がると隆司さんが私の髪に触れながら言った。
「鈴音・・髪の毛もすごく濡れてるじゃないか・・・。」
「え・・・?そうですか?」
自分自身ではそれほど濡れてる感じはしないけど・・・。
「シャワーを浴びてきた方がいい。」
「・・・分かりました。」
このままこうしていても気詰まりするだけかも・・。それなら隆司さんの言う通り、シャワーを浴びてきた方がいいかもしれない。
「隆司さんはシャワー浴びなくていいんですか?」
「ああ、俺はあまり濡れていないから・・鈴音の後でいいよ。」
「・・・わかりました。ではシャワーお借りします・・。」
何となく隆司さんの顔を見る事が出来ずに、視線をそらせると私は自室へ向かった。そしてクローゼットから着替えを出してくると、再びリビングへ行ってみると隆司さんの姿はそこになかった。ひょっとして・・隆司さんも自分の部屋にいるのかな?
それなら逆に気兼ねなくシャワーを借りる事が出来る・・・。私はバスルームへと向かった―。
「ふう~・・気持ち良かった・・・。」
鮮やかなオレンジ色のスウェットの部屋着に着替えて、濡れた髪の毛をタオルで拭きながらバスルームを出ると、何とリビングのソファでお酒を飲んでいる隆司さんと遭遇してしまった。
「た、隆司さんっ?!」
しまった。まさか自室にいると思ったのに・・こんな髪も濡れたままでバスルームから出てきてしまった。
「ああ、上がったんだな。鈴音。それじゃ・・・俺も入ってこようかな。」
隆司さんが立ちがった。
「え?駄目ですよ!だって・・お酒飲んでるんですよね?そんなアルコールを飲んだ直後にシャワーなんて・・。」
「大丈夫、まだ1杯目も空けていないから。そうだ・・・鈴音。俺と酒飲むの・・・付き合ってもらえないか?」
隆司さんが真剣な目で見つめてくる。そうだな・・別に断る理由も無いし・・今夜は色々あって・・お酒を飲みたい気分かもしれない。
「ええ・・いいですよ。待ってます。」
「そうか、ありがとう。」
隆司さんはにこりと笑うと自室へ着替えを取りに行った。そうだ・・お酒飲むなら何かおつまみがあった方がいいよね?
半渇きの髪の毛をドライタオルで包むと私はキッチンへと向かった。フックにかけてあったエプロンをつけると、さっそく冷蔵を開けた。
冷凍庫から冷凍枝豆をお皿に開けてレンジにかけている間に大根を千切りにしてレタスとあえた。次に買っておいた千切りキャベツに出汁の素に卵を割り入れてさらに少量の小麦粉とお水を加えて、よく混ぜる。熱したフライパンに油をひいて、生地を流し込んで蓋をして両面良く焼いたらお皿に盛りつけて、お好み焼きソースに青のり、マヨネーズをかけたところで隆司さんがバスルームから出てきた。
「あれ・・?鈴音。ひょっとして何か作ってくれていたのか?」
ニットの上下の部屋着に着替えてきた隆司さんがキッチンにやってきた。
「はい、おつまみを作ったんです。夜ご飯もまだだし、お酒だけじゃ物足りないですしね。」
エプロンを外しながら言うと隆司さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「よし、それじゃ・・・2人で宅飲み・・始めようか?」
「はい、そうしましょう。」
そして私と隆司さんの飲み会?が始まった―。
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