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第5章 11 ご褒美
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午後7時―
「ふう~・・・今日は疲れた・・・。」
タワーマンションのエレベーターに乗り込むと、壁に寄り掛かり溜息をついた。今日は日曜日だったので朝から駅前で旅行案内のイベントを行ったのだ。
1日中立ちっぱなしでビラを配ったり、イベント会場で受付したりで、1日中立ちっぱなしで足がパンパンにむくんでいる。
「今夜は着圧ソックスを履いて寝よう・・・。」
ちょうどその時、目の前でエレベーターのドアが開き、私は701号室目指して重たい足を引きずるように歩いて向かった。
隆司さんから預かった鍵を差し込んでガチャリとドアを開けると、部屋中に何だか良い匂いが漂っている。あれ・・・この香りは・・・・?
すると、キッチンの奥から隆司さんが姿を現した。
「お帰り、鈴音。」
「あ・・・た、ただいま戻りました・・・。」
すると隆司さんは笑顔で言う。
「何だ、その『ただいま戻りました』って言い方は。そんなんじゃまるで会社の挨拶に聞こえる。『ただいま』でいいんだよ?」
「は、はい・・ただいま・・。」
隆司さんに言われて言い直すと、私は部屋にただよう匂いを吸い込むように言った。
「隆司さん。この匂いは何ですか?すっごく美味しそうな匂いですけど・・・。」
「ああ、実はね。今夜はすき焼きにしようかと思って、ちょっと良い肉を奮発してきたんだ。」
「ええっ?!す、すき焼きですかっ?!」
「ああ、そうだよ。確か鈴音はすき焼き好きだったよな?」
「はい、大好きですっ!すぐに着替えてきますね。」
ウキウキしながら自室に戻り、Tシャツにジーンズに着替えた私は洗面台で手を洗いながら・・・ふと気が付いた。そう言えば、今朝洗った洗濯物はどうなっただろうと・・・。
ダイニングテーブルではすでにコンロの上でグツグツ煮込まれているすき焼きの鍋が乗っていた。
「うわあ・・・おいしそう・・・。」
するとキッチンカウンターで割り下を作っていた隆司さんが言った。
「鈴音。ビール飲むだろう?」
「ええ?いいんですかっ!嬉しいですっ!」
今日は暑い中イベント会場にいたから冷たいビールがちょうど欲しいと思っていたところなんだよね。
「ああ。それじゃ今持っていくから待ってろよ。」
割り下を作り終えた隆司さんは冷蔵庫の扉を開けて缶ビールを2缶持ってくると目の前においてくれた。キンキンに冷えていて美味しそうだ。そして私に尋ねてきた。
「鈴音。ご飯はどうする?」
少し考えたが、私は返事をした。
「今夜はいいです。だってビールがあるんですから、すき焼きをおつまみ代わりにいただきます。」
「そうか、それじゃさっそく乾杯するか。」
隆司さんは目の前の椅子に座ると、プシュッ!とプルタブを開けた。私も彼にならってプルタブを開けると、カツンと2人で缶ビールを打つと2人で言った。
「「乾杯!」」
「鈴音。たくさんあるから好きなだけ食べていいぞ?」
隆司さんがニコニコしながら声を掛けてくれる。
「は、はあ・・・それは非常にありがたいのですが・・・一体何故今夜はごちそうなのでしょうか・・・?」
それとも普段からこんなに豪華な食事をしているのかな?
すると隆司さんは言った。
「鈴音、今日・・・駅前にいただろう?」
「えっ?!な、何故それを・・・っ?!」
思わず箸を落としそうになってしまった。
「いや、たまたま駅前の本屋に行った時、広場でイベントをやっていただろう?そこで鈴音が子供たちに飴を配っている姿を見かけたんだ。一生懸命働いていたよな。暑い中・・・。」
「隆司さん・・・。」
「だから・・・これは、ほんのご褒美だ。だから遠慮なく食べてくれ。」
隆司さんは頬を少しだけ赤らめながら私に言った―。
「ふう~・・・今日は疲れた・・・。」
タワーマンションのエレベーターに乗り込むと、壁に寄り掛かり溜息をついた。今日は日曜日だったので朝から駅前で旅行案内のイベントを行ったのだ。
1日中立ちっぱなしでビラを配ったり、イベント会場で受付したりで、1日中立ちっぱなしで足がパンパンにむくんでいる。
「今夜は着圧ソックスを履いて寝よう・・・。」
ちょうどその時、目の前でエレベーターのドアが開き、私は701号室目指して重たい足を引きずるように歩いて向かった。
隆司さんから預かった鍵を差し込んでガチャリとドアを開けると、部屋中に何だか良い匂いが漂っている。あれ・・・この香りは・・・・?
すると、キッチンの奥から隆司さんが姿を現した。
「お帰り、鈴音。」
「あ・・・た、ただいま戻りました・・・。」
すると隆司さんは笑顔で言う。
「何だ、その『ただいま戻りました』って言い方は。そんなんじゃまるで会社の挨拶に聞こえる。『ただいま』でいいんだよ?」
「は、はい・・ただいま・・。」
隆司さんに言われて言い直すと、私は部屋にただよう匂いを吸い込むように言った。
「隆司さん。この匂いは何ですか?すっごく美味しそうな匂いですけど・・・。」
「ああ、実はね。今夜はすき焼きにしようかと思って、ちょっと良い肉を奮発してきたんだ。」
「ええっ?!す、すき焼きですかっ?!」
「ああ、そうだよ。確か鈴音はすき焼き好きだったよな?」
「はい、大好きですっ!すぐに着替えてきますね。」
ウキウキしながら自室に戻り、Tシャツにジーンズに着替えた私は洗面台で手を洗いながら・・・ふと気が付いた。そう言えば、今朝洗った洗濯物はどうなっただろうと・・・。
ダイニングテーブルではすでにコンロの上でグツグツ煮込まれているすき焼きの鍋が乗っていた。
「うわあ・・・おいしそう・・・。」
するとキッチンカウンターで割り下を作っていた隆司さんが言った。
「鈴音。ビール飲むだろう?」
「ええ?いいんですかっ!嬉しいですっ!」
今日は暑い中イベント会場にいたから冷たいビールがちょうど欲しいと思っていたところなんだよね。
「ああ。それじゃ今持っていくから待ってろよ。」
割り下を作り終えた隆司さんは冷蔵庫の扉を開けて缶ビールを2缶持ってくると目の前においてくれた。キンキンに冷えていて美味しそうだ。そして私に尋ねてきた。
「鈴音。ご飯はどうする?」
少し考えたが、私は返事をした。
「今夜はいいです。だってビールがあるんですから、すき焼きをおつまみ代わりにいただきます。」
「そうか、それじゃさっそく乾杯するか。」
隆司さんは目の前の椅子に座ると、プシュッ!とプルタブを開けた。私も彼にならってプルタブを開けると、カツンと2人で缶ビールを打つと2人で言った。
「「乾杯!」」
「鈴音。たくさんあるから好きなだけ食べていいぞ?」
隆司さんがニコニコしながら声を掛けてくれる。
「は、はあ・・・それは非常にありがたいのですが・・・一体何故今夜はごちそうなのでしょうか・・・?」
それとも普段からこんなに豪華な食事をしているのかな?
すると隆司さんは言った。
「鈴音、今日・・・駅前にいただろう?」
「えっ?!な、何故それを・・・っ?!」
思わず箸を落としそうになってしまった。
「いや、たまたま駅前の本屋に行った時、広場でイベントをやっていただろう?そこで鈴音が子供たちに飴を配っている姿を見かけたんだ。一生懸命働いていたよな。暑い中・・・。」
「隆司さん・・・。」
「だから・・・これは、ほんのご褒美だ。だから遠慮なく食べてくれ。」
隆司さんは頬を少しだけ赤らめながら私に言った―。
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