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第4章 8 悪者にされる私
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『鈴音っ!この馬鹿ッ!お前・・・何やってるんだよっ!』
いきなり電話越しから亮平の怒鳴り声が聞こえてきた私は心底驚いてしまった。
「りょ、亮平・・・。」
何とか声を振り絞ると、さらに亮平の怒鳴り声は続く。
『お前・・・何で家を出たんだよっ!忍さんを1人残して・・!どうしてお前はあの広い家に忍さんを残して家を出たんだよっ!』
私は亮平の言葉を信じられない思いで聞いていた。
「え・・・?ちょっと待って・・・・。な、何言ってるの・・亮平・・。」
震える声を振り絞って何とか私は言葉を発した。
『あのなあ・・それはこっちの台詞だ!驚いたよ・・・。お前の家にいったら、忍さんしかいなかったから・・・。だから俺は尋ねたんだよ。何故忍さんしか家にいないのか・・・鈴音は忍さんを残して何所へ行ったのかって!そしたら忍さんが言ったんだよ。鈴音が家を出て行ってしまったって・・!』
え・・?
私は亮平の言葉に耳を疑った。
「ね・・・ねえ・・待って・・。お姉ちゃんが・・言ったの・・?私がお姉ちゃんを残して家を出て行ったって・・。」
『ああ、そうだよ。全く・・・可愛そうに・・・忍さん。俺が鈴音の事を尋ねたら顔を真っ青にして・・・。忍さん、お前が勝手に出て行ったから・・・怖くてお前に連絡も入れる事が出来なかったって・・・震えていたぞ?』
嘘だ・・。そんな・・・お姉ちゃん・・どうしてそんな嘘を亮平についたの・・?
私は亮平の怒鳴り声と、あまりのショックに激しい頭痛が起こって来た。ズキズキする頭を押さえながら私は言った。
「亮平・・・お姉ちゃんの様子見て・・・おかしいと思わなかった・・・?」
一縷の望みをかけて亮平に尋ねてみた。これで・・・亮平はお姉ちゃんの様子を疑ってくれれば・・病院に連れて行ってあげてとお願いできるはず・・・。
『はあ・・?何言ってるんだ?忍さんがおかしいだって?むしろ・・・おかしいのは鈴音。お前の方じゃないか?』
「え・・・?私がおかしいって・・?」
どう言う事?亮平はどうして私がおかしいって思うの?
『おかしいに決まっているだろう?お前たち2人は本当に仲の良い姉妹だったのに・・忍さんは辛い経験をしているんだから、お前が傍にいて支えてあげないといけないのに・・その責任を放棄して、お前は勝手に家を出たんだろう?そんなに1人暮らしがしたかったのかよっ!』
そ、そんな・・・亮平は・・私がおかしいって決めつけるの?もう駄目・・これ以上我慢・・・出来ない・・・。
「ひ・・酷いよ・・亮平・・。どうして・・そんな事言うの・・?」
『何だ?俺は何も酷いことは別に・・・。』
「どうして私がおかしいって決めつけるのよっ!わ、私がお姉ちゃんを置いて出ていくような人間に見えるの?!私は・・・お姉ちゃんが大好きなのに・・・!」
私の目から我慢していた涙がこぼれ堕ちた。
『鈴音・・?お前・・泣いているのか・・?』
その時になって初めて亮平の狼狽えた声が聞こえた。
「わ、私はお姉ちゃんから出て行って欲しいって言われたんだよ?しかも・・昨日!いきなり、突然にっ!すぐに出て行って欲しいって言われたから・・マンスリーマンションを借りて、荷物も持って行ってと言われたから・・・・・・トランクルームをレンタルして・・・たった1日で家を出たのに!亮平まで・・・私を責めるの・・?」
『お、おい・・鈴音・・。』
「もう・・二度と私に連絡してこないで!亮平が私に構うと・・・私がますますお姉ちゃんに嫌われちゃうからっ!さよならっ!」
『お、おい!鈴音っ!待てよっ!』
だけど私は構わずスマホの電源を切るとベッドに顔を埋めた。
「う・・う・うう・・・。」
私の涙はその夜も枯れる事は無かった―。
いきなり電話越しから亮平の怒鳴り声が聞こえてきた私は心底驚いてしまった。
「りょ、亮平・・・。」
何とか声を振り絞ると、さらに亮平の怒鳴り声は続く。
『お前・・・何で家を出たんだよっ!忍さんを1人残して・・!どうしてお前はあの広い家に忍さんを残して家を出たんだよっ!』
私は亮平の言葉を信じられない思いで聞いていた。
「え・・・?ちょっと待って・・・・。な、何言ってるの・・亮平・・。」
震える声を振り絞って何とか私は言葉を発した。
『あのなあ・・それはこっちの台詞だ!驚いたよ・・・。お前の家にいったら、忍さんしかいなかったから・・・。だから俺は尋ねたんだよ。何故忍さんしか家にいないのか・・・鈴音は忍さんを残して何所へ行ったのかって!そしたら忍さんが言ったんだよ。鈴音が家を出て行ってしまったって・・!』
え・・?
私は亮平の言葉に耳を疑った。
「ね・・・ねえ・・待って・・。お姉ちゃんが・・言ったの・・?私がお姉ちゃんを残して家を出て行ったって・・。」
『ああ、そうだよ。全く・・・可愛そうに・・・忍さん。俺が鈴音の事を尋ねたら顔を真っ青にして・・・。忍さん、お前が勝手に出て行ったから・・・怖くてお前に連絡も入れる事が出来なかったって・・・震えていたぞ?』
嘘だ・・。そんな・・・お姉ちゃん・・どうしてそんな嘘を亮平についたの・・?
私は亮平の怒鳴り声と、あまりのショックに激しい頭痛が起こって来た。ズキズキする頭を押さえながら私は言った。
「亮平・・・お姉ちゃんの様子見て・・・おかしいと思わなかった・・・?」
一縷の望みをかけて亮平に尋ねてみた。これで・・・亮平はお姉ちゃんの様子を疑ってくれれば・・病院に連れて行ってあげてとお願いできるはず・・・。
『はあ・・?何言ってるんだ?忍さんがおかしいだって?むしろ・・・おかしいのは鈴音。お前の方じゃないか?』
「え・・・?私がおかしいって・・?」
どう言う事?亮平はどうして私がおかしいって思うの?
『おかしいに決まっているだろう?お前たち2人は本当に仲の良い姉妹だったのに・・忍さんは辛い経験をしているんだから、お前が傍にいて支えてあげないといけないのに・・その責任を放棄して、お前は勝手に家を出たんだろう?そんなに1人暮らしがしたかったのかよっ!』
そ、そんな・・・亮平は・・私がおかしいって決めつけるの?もう駄目・・これ以上我慢・・・出来ない・・・。
「ひ・・酷いよ・・亮平・・。どうして・・そんな事言うの・・?」
『何だ?俺は何も酷いことは別に・・・。』
「どうして私がおかしいって決めつけるのよっ!わ、私がお姉ちゃんを置いて出ていくような人間に見えるの?!私は・・・お姉ちゃんが大好きなのに・・・!」
私の目から我慢していた涙がこぼれ堕ちた。
『鈴音・・?お前・・泣いているのか・・?』
その時になって初めて亮平の狼狽えた声が聞こえた。
「わ、私はお姉ちゃんから出て行って欲しいって言われたんだよ?しかも・・昨日!いきなり、突然にっ!すぐに出て行って欲しいって言われたから・・マンスリーマンションを借りて、荷物も持って行ってと言われたから・・・・・・トランクルームをレンタルして・・・たった1日で家を出たのに!亮平まで・・・私を責めるの・・?」
『お、おい・・鈴音・・。』
「もう・・二度と私に連絡してこないで!亮平が私に構うと・・・私がますますお姉ちゃんに嫌われちゃうからっ!さよならっ!」
『お、おい!鈴音っ!待てよっ!』
だけど私は構わずスマホの電源を切るとベッドに顔を埋めた。
「う・・う・うう・・・。」
私の涙はその夜も枯れる事は無かった―。
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