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第2章 10 訃報
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亮平のくれた痛み止めのお陰で片頭痛は収まり、何とか1日の業務をこなす事が出来た。そして今日の私は残業当番の日・・・。
「加藤さん。今日は残業だけど・・・大丈夫?」
早番で帰る井上君が心配そうに帰り際声を掛けて来てくれた。
「う~ん・・・どうかなあ・・。でもほら、痴漢は逮捕された訳だし?多分大丈夫・・・かなあ?そうだ!明日は仕事が休みだから自転車買いに行こうかな?」
そうだ、自転車を買えば良かったんだ。たかだか駅まで10分程度だったから自転車の事考えて居なかったけど・・・徒歩よりはずっと安全に帰れそうな気がする。
「ああ、それはいいね。自転車ならいいんじゃないかな?それじゃ・・本当に帰りは気を付けた方がいいからね?」
井上君は何故か必要以上に心配してくれる。その優しさ亮平にもあったらなあ・・・。
それじゃあお疲れさまでしたと井上君は皆に挨拶して帰って行った。さて、私も後ひと踏ん張りしなくちゃ。
「あちゃ~・・・遅くなっちゃたな・・。」
今の時刻は夜の9時。これから電車に乗って地元の駅に着くのは9時30頃。そこから歩きか・・・。私は溜息をついた。
それにしても・・・今私が一番気になっているのは昨日からお姉ちゃんと連絡が取れなくなっている事。一体何があったんだろう・・・。こんな丸1日たっても連絡が取れない事って今迄無かったのに・・。何だろう?何だがすごく嫌な予感がしてならない。
その時、突然スマホが鳴った。
「うわあっ!」
手にしていたスマホが鳴り響いたので、びっくりした私は思わずスマホを落しそうになってしまった。着信相手を見ると亮平からである。
「亮平・・?一体どうしたんだろう・・?」
私はスマホをタップすると電話に出た。
「はい、もしもし。」
『鈴音か?今何処だ?』
「何処って・・・。」
私はこれから電車に乗って帰る事を伝えると、亮平は言った。
『よし、駅で待ってるからな。だから勝手に歩いて帰ったりするなよ?』
「うん!ありがとう!大好きだよ!」
どさくさに紛れて言ってみた。
『ば~か、気持ち悪い事言うなよ。』
変な返しをされてしまった。ちぇ・・・やっぱり本気で受け取ってくれなかったか。だから私も胡麻化すことにした。
「アハハハ・・・そうだよね。ちょっと気持ち悪かったかもね。でも・・有難う。」
それだけ言うと私は電話を切って、電車に乗り込んだ―。
「おーい、鈴音!」
車のドアを開けて身を乗り出している亮平を発見した。
「あ、亮平!」
私は手をブンブン振って亮平の車へ駆け寄った。
「どうもありがとう~。助かるわ・・朝も帰りも送って貰えるなんて夢みたい。」
すると、何を思ったか亮平は私のほっぺたをつねりあげた。
「痛い痛いっ!ちょ、ちょっと何するのっ!」
私は怒って抗議すると亮平はニヤニヤしながら言った。
「いや~夢みたいッて言ったから抓ってやろうと思って。痛かったか?」
「だから痛いって言ったでしょう?」
「まあいいや。それじゃ行くぞ。」
亮平はエンジンを掛けるとアクセルを踏んだ―。
「なあ・・・所で忍さんはどうしたんだ?まだ帰っていないんだけど・・。」
その言葉を聞いて私は凍り付いた。
「えっ?!嘘っ?!」
「何?鈴音・・・ひょとしてお前の所にも連絡が入っていないのか?!」
亮平が青ざめた顔で私を見る。
「う、うん・・・。」
返事をする私の声が自然と震えてしまう。何だろう・・?何かあったのかな・・・?どうしようもない程の不安感で胸が押しつぶされそうになった。何だかとてつも無く嫌な予感がする。
「・・・急ぐぞ、鈴音。」
亮平は前を見つめたまま言う。
「うん。お願い。」
亮平はさっきよりも一段とアクセルを強く踏んだ―。
「あ・・明かりがついている。」
急いで車から降りると私は家の中に飛び込んで、驚いた。
お姉ちゃんが居間に座りこんだまま涙を流していたからだ。
「お姉ちゃん!どうしたのっ?!」
「鈴音ちゃん・・・進さんが・・・。」
「え?進さんが?」
「進さんが死んじゃったーっ!!」
姉は絶叫し、私にしがみ付くと激しく泣きじゃくった―。
「加藤さん。今日は残業だけど・・・大丈夫?」
早番で帰る井上君が心配そうに帰り際声を掛けて来てくれた。
「う~ん・・・どうかなあ・・。でもほら、痴漢は逮捕された訳だし?多分大丈夫・・・かなあ?そうだ!明日は仕事が休みだから自転車買いに行こうかな?」
そうだ、自転車を買えば良かったんだ。たかだか駅まで10分程度だったから自転車の事考えて居なかったけど・・・徒歩よりはずっと安全に帰れそうな気がする。
「ああ、それはいいね。自転車ならいいんじゃないかな?それじゃ・・本当に帰りは気を付けた方がいいからね?」
井上君は何故か必要以上に心配してくれる。その優しさ亮平にもあったらなあ・・・。
それじゃあお疲れさまでしたと井上君は皆に挨拶して帰って行った。さて、私も後ひと踏ん張りしなくちゃ。
「あちゃ~・・・遅くなっちゃたな・・。」
今の時刻は夜の9時。これから電車に乗って地元の駅に着くのは9時30頃。そこから歩きか・・・。私は溜息をついた。
それにしても・・・今私が一番気になっているのは昨日からお姉ちゃんと連絡が取れなくなっている事。一体何があったんだろう・・・。こんな丸1日たっても連絡が取れない事って今迄無かったのに・・。何だろう?何だがすごく嫌な予感がしてならない。
その時、突然スマホが鳴った。
「うわあっ!」
手にしていたスマホが鳴り響いたので、びっくりした私は思わずスマホを落しそうになってしまった。着信相手を見ると亮平からである。
「亮平・・?一体どうしたんだろう・・?」
私はスマホをタップすると電話に出た。
「はい、もしもし。」
『鈴音か?今何処だ?』
「何処って・・・。」
私はこれから電車に乗って帰る事を伝えると、亮平は言った。
『よし、駅で待ってるからな。だから勝手に歩いて帰ったりするなよ?』
「うん!ありがとう!大好きだよ!」
どさくさに紛れて言ってみた。
『ば~か、気持ち悪い事言うなよ。』
変な返しをされてしまった。ちぇ・・・やっぱり本気で受け取ってくれなかったか。だから私も胡麻化すことにした。
「アハハハ・・・そうだよね。ちょっと気持ち悪かったかもね。でも・・有難う。」
それだけ言うと私は電話を切って、電車に乗り込んだ―。
「おーい、鈴音!」
車のドアを開けて身を乗り出している亮平を発見した。
「あ、亮平!」
私は手をブンブン振って亮平の車へ駆け寄った。
「どうもありがとう~。助かるわ・・朝も帰りも送って貰えるなんて夢みたい。」
すると、何を思ったか亮平は私のほっぺたをつねりあげた。
「痛い痛いっ!ちょ、ちょっと何するのっ!」
私は怒って抗議すると亮平はニヤニヤしながら言った。
「いや~夢みたいッて言ったから抓ってやろうと思って。痛かったか?」
「だから痛いって言ったでしょう?」
「まあいいや。それじゃ行くぞ。」
亮平はエンジンを掛けるとアクセルを踏んだ―。
「なあ・・・所で忍さんはどうしたんだ?まだ帰っていないんだけど・・。」
その言葉を聞いて私は凍り付いた。
「えっ?!嘘っ?!」
「何?鈴音・・・ひょとしてお前の所にも連絡が入っていないのか?!」
亮平が青ざめた顔で私を見る。
「う、うん・・・。」
返事をする私の声が自然と震えてしまう。何だろう・・?何かあったのかな・・・?どうしようもない程の不安感で胸が押しつぶされそうになった。何だかとてつも無く嫌な予感がする。
「・・・急ぐぞ、鈴音。」
亮平は前を見つめたまま言う。
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「あ・・明かりがついている。」
急いで車から降りると私は家の中に飛び込んで、驚いた。
お姉ちゃんが居間に座りこんだまま涙を流していたからだ。
「お姉ちゃん!どうしたのっ?!」
「鈴音ちゃん・・・進さんが・・・。」
「え?進さんが?」
「進さんが死んじゃったーっ!!」
姉は絶叫し、私にしがみ付くと激しく泣きじゃくった―。
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