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第59話 ユリアンの告白
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「そ、それ…どういう事なの…?」
言いかけて、その時に気付いた。彼が本当にこの国の王太子であるなら口調を改めなければならない。
「あ、申し訳ございません。一体どういう意味なのでしょうか…?」
再度、言い直して頭を垂れた。するとユリアン王子が声を掛けて来た。
「顔を上げて下さい…フィーネ様」
言われて、顔をあげるとユリアン王太子は悲しげな顔で私を見ている。
「そのような言葉遣いをなさるのは…やめて頂けませんか?どうか今までと同じ口調で話して下さい」
「ですが…貴方様がこの国の王太子様でいらっしゃるなら、ぞんざいな言葉を使うわけには参りません。それにユリアン王太子様も私のような者に丁寧な言葉遣いをされていらっしゃるではありませんか」
すると突然ユリアン王太子の口調が変わる。
「だったら、私は言葉遣いを改める。だからフィーネも今までと同じ話し方をして貰えないかい?」
そして彼は私の右手を力強く握りしめてきた。
「え、ええ…分ったわ…」
頷くと、ユリアンに再度尋ねた。
「貴方はさっき、グレン伯爵や両親が悲劇に見舞われたのは国王陛下に謁見する為だと話してくれたけど…それ位の事で責任を感じる必要は無いわ…。貴族が国王陛下に招かれるのは別に珍しいことでは無いでしょう?」
「その事なのだけど…アドラー家では何世代かおきに圧倒的魔力を持つ黒髪の赤子が生まれてきていたらしい。そして何か有事があった場合は彼らは王宮に呼び出され、その魔力で城や王族を守る役割を担ってきたんだ。そしてグレン伯爵もそうだった。あの頃は隣国との争いが絶えない時代だった…。そこで圧倒な魔力と魔術の腕を買われ、グレン伯爵は城に呼び出された。彼はノイヴァンシュタイン王家の直属の宮廷魔術師として、絶大な魔力で国を守ってくれた素晴らしい人物だった。やがて彼の働きで国は平和になり、その功績を称えて、元々は子爵家だったアドラー家に伯爵の地位と褒美を与えて彼はこの地の領主になったのだが…領民達は彼を恐れたんだ」
ユリアンは青ざめた顔で私を見た。
「それは…グレン伯爵が黒髪だったから…そうでしょう?」
この世界には黒い髪を持って生まれてくる者は滅多にいない。そして黒髪を持つ者は大抵の場合、生まれながらに強い魔力を持っていた。その為にいわれなき迫害を受けて来たのだ。
現に…私がそうだったように…。
ユリアンは頷くと続けた。
「新しく領主になった領民達はグレン伯爵を恐れ…悪魔の伯爵と呼ばれ、嫌悪していた。彼らは自分達の領主がどれだけ素晴らしい人物であるかは知らなかったんだ…」
「…」
私は黙ってユリアンの話を聞いていた。
「そんな状況を見かねた当時の国王はグレン伯爵の功績を各国に広め、彼に対する世間の偏見を払拭させる為にグレン伯爵を王宮に招くことにしらしい。そして悲劇が起こった。彼の留守中にグレン伯爵を良く思わない親族が領民達を城を開城し…兵士のいないアドラー城を襲わせ…惨劇が起こってしまったんだ」
「ええ、知ってるわ。グレン伯爵の日記を偶然見つけたの。今ユリアンが話してくれた事件が詳細に書かれていたわ。たった一人きりのグレン伯爵の子供と乳母を残して城中の人々は惨殺されてしまったのよね?そしてグレン伯爵はこの城を襲った全ての領民達を抹殺して、命を絶ったのでしょう?」
「…知っていたのかい?」
ユリアンが驚いたように私を見た。
「知っていたわ…。でもグレン伯爵を陥れたのは親族と領民達よ。王家の方々のせいじゃないわ」
「だけど…フィーネの両親の馬車事故だってそうなんだよ。フィーネの両親は君が黒髪で生まれてきたことで、我々王家に利用される事を恐れて君の事を秘密にしてきたんだ。けれども…君の叔父がフィーネが黒髪であるという情報をノイヴァンシュタイン家に流した。それで父がアドラー家を国に招くことにしたんだ。そして…あの馬車事故が起こった…」
「!」
私はその話に息を飲んだ―。
言いかけて、その時に気付いた。彼が本当にこの国の王太子であるなら口調を改めなければならない。
「あ、申し訳ございません。一体どういう意味なのでしょうか…?」
再度、言い直して頭を垂れた。するとユリアン王子が声を掛けて来た。
「顔を上げて下さい…フィーネ様」
言われて、顔をあげるとユリアン王太子は悲しげな顔で私を見ている。
「そのような言葉遣いをなさるのは…やめて頂けませんか?どうか今までと同じ口調で話して下さい」
「ですが…貴方様がこの国の王太子様でいらっしゃるなら、ぞんざいな言葉を使うわけには参りません。それにユリアン王太子様も私のような者に丁寧な言葉遣いをされていらっしゃるではありませんか」
すると突然ユリアン王太子の口調が変わる。
「だったら、私は言葉遣いを改める。だからフィーネも今までと同じ話し方をして貰えないかい?」
そして彼は私の右手を力強く握りしめてきた。
「え、ええ…分ったわ…」
頷くと、ユリアンに再度尋ねた。
「貴方はさっき、グレン伯爵や両親が悲劇に見舞われたのは国王陛下に謁見する為だと話してくれたけど…それ位の事で責任を感じる必要は無いわ…。貴族が国王陛下に招かれるのは別に珍しいことでは無いでしょう?」
「その事なのだけど…アドラー家では何世代かおきに圧倒的魔力を持つ黒髪の赤子が生まれてきていたらしい。そして何か有事があった場合は彼らは王宮に呼び出され、その魔力で城や王族を守る役割を担ってきたんだ。そしてグレン伯爵もそうだった。あの頃は隣国との争いが絶えない時代だった…。そこで圧倒な魔力と魔術の腕を買われ、グレン伯爵は城に呼び出された。彼はノイヴァンシュタイン王家の直属の宮廷魔術師として、絶大な魔力で国を守ってくれた素晴らしい人物だった。やがて彼の働きで国は平和になり、その功績を称えて、元々は子爵家だったアドラー家に伯爵の地位と褒美を与えて彼はこの地の領主になったのだが…領民達は彼を恐れたんだ」
ユリアンは青ざめた顔で私を見た。
「それは…グレン伯爵が黒髪だったから…そうでしょう?」
この世界には黒い髪を持って生まれてくる者は滅多にいない。そして黒髪を持つ者は大抵の場合、生まれながらに強い魔力を持っていた。その為にいわれなき迫害を受けて来たのだ。
現に…私がそうだったように…。
ユリアンは頷くと続けた。
「新しく領主になった領民達はグレン伯爵を恐れ…悪魔の伯爵と呼ばれ、嫌悪していた。彼らは自分達の領主がどれだけ素晴らしい人物であるかは知らなかったんだ…」
「…」
私は黙ってユリアンの話を聞いていた。
「そんな状況を見かねた当時の国王はグレン伯爵の功績を各国に広め、彼に対する世間の偏見を払拭させる為にグレン伯爵を王宮に招くことにしらしい。そして悲劇が起こった。彼の留守中にグレン伯爵を良く思わない親族が領民達を城を開城し…兵士のいないアドラー城を襲わせ…惨劇が起こってしまったんだ」
「ええ、知ってるわ。グレン伯爵の日記を偶然見つけたの。今ユリアンが話してくれた事件が詳細に書かれていたわ。たった一人きりのグレン伯爵の子供と乳母を残して城中の人々は惨殺されてしまったのよね?そしてグレン伯爵はこの城を襲った全ての領民達を抹殺して、命を絶ったのでしょう?」
「…知っていたのかい?」
ユリアンが驚いたように私を見た。
「知っていたわ…。でもグレン伯爵を陥れたのは親族と領民達よ。王家の方々のせいじゃないわ」
「だけど…フィーネの両親の馬車事故だってそうなんだよ。フィーネの両親は君が黒髪で生まれてきたことで、我々王家に利用される事を恐れて君の事を秘密にしてきたんだ。けれども…君の叔父がフィーネが黒髪であるという情報をノイヴァンシュタイン家に流した。それで父がアドラー家を国に招くことにしたんだ。そして…あの馬車事故が起こった…」
「!」
私はその話に息を飲んだ―。
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