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第53話 ※殺戮の幕開け ⑦ (残虐シーン注意)

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「フィーネッ!き、貴様…。こ、この悪魔ッ!よくもパメラとバルバラを…っ!」

叔父は叫ぶと私を睨みつけて来た。

「その台詞を叔父様が言うのですか?私が何も知らないとでも?叔父様は人を雇ってお父様とお母様を殺しましたよね?本当なら私も一緒に乗る筈だった馬車に細工をして…」

「な、何だってっ?!な、何故その話をお前が知っているのだっ?!ハッ!まさか…ジークハルトッ!お前が喋ったのかっ?!」

叔父は血走った目でジークハルトを振り返った。

「そんな話俺がするはずはないだろうっ!!」

ジークハルトは髪を振り乱しながら叔父に反論する。

「大体あんたがあの魔女を殺し損ねたからこのような目に遭ったのだろうッ!!あの時、本当に部屋に殺し屋を差し向けたのかっ?!」

「あの時…?」

一体何の事だろう?

「ああっ!確かに殺し屋を雇った!なのにフィーネは死んでいなかった!代わりに殺し屋が姿を消していた…そうかっ!お前が返り討ちにしたのだなっ?!」

叔父が私を指さして来た。

「私には何の事か分りませんが…一つだけ分りました。つまり、あなた方は何度も私を殺そうとしてきたと言う事がね…」

私は狼の背にそっと触れると言った。

「もう話はここまででいいでしょう?この子たちもいい加減飢えを満たしたいでしょうし…」

まだお預けをくらっている4匹の狼たちは先程から威嚇の唸り声をあげ、耳まで避けた口からは牙が光り、口元からは涎がダラダラと垂れている。

「ヒ…」

叔父が真っ青な顔で震えた。

「魔女…我々も生きながら狼の餌にするつもりか…?」

ジークハルトは怒りと激しい恐怖の為か、すっかり人相が変わってしまった姿で尋ねて来た。

「ええ。当然ではありませんか。私の受けた痛みや苦しみを…その身体で味わいながら死んで逝って下さいな」

ニッコリ笑って私は答える。

するとジークハルトは不敵な笑みを浮かべた。

「ハハハ…本当に貴様は…身も心も醜い魔女に成り下がったのだな…」

「そうでしょうか?ジークハルト様…貴方の方が余程私の目には身も心も醜く見えますが?」

するとジークハルトは叫んだ。

「黙れ魔女ッ!貴様の思惑通り死んでなるものか!狼に生きながら喰われる位なら…自ら命を絶つ!」

言うや否や腰にさしていた剣を抜き、自分の喉元を切りつけようとした瞬間―。

「あなた達!行きなさいっ!!」

私は4匹の狼に命じた。
すると狼達は床を蹴ると、一瞬でジークハルトと叔父に襲い掛かった。

「ギャアアアアアッ!!」

ジークハルトが叫んだ。剣を握りしめていた右腕を喰いちぎられたのだ。

「フフフ…これでもう自分の命を絶つ事も出来なくなったわね?」

「き、貴様…ッ!ギャアアアアアアッ!!」

今度は左足を喰いちぎられ、ジークハルトは絶叫した。フフフ…思う存分苦しんで頂戴。そして私は次に叔父に視線を移した。

「ヒイイッ!!痛い痛い痛いっ!!やめろっ!!た、頼む…やめてくれ…喰わないでくれっ!!」

叔父は狼にのしかかられ、既に四肢を喰いちぎられていた。辺りは血の海で彼らが暴れる度にビシャビシャと血が飛び散っていく。

私は狼に喰われ続けている叔父とジークハルトに語り掛けた。

「叔父様、ジークハルト様。私は2人に特別な魔法を掛けてあげました。それはどんなに痛くても、どれ程出血しても死ない魔法です。その心臓が狼たちに食べられてしまうまではずっと苦しみ続けるのです。聞き分けの良いこの子たちには心臓は一番最後にお楽しみとして残しておくようにと伝えてあります」

しかし、恐らく彼等にはもう私の声は届いていないだろう。

部屋の中は恐ろしい程の2人の絶叫が響き渡り、狼たちのガツガツとむさぼるように喰いちぎる咀嚼音で私の声はかき消されているのだから―。
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