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第49話 ※殺戮の幕開け ③ (残虐シーン注意)
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森を抜けると、アドラー城の姿が目に飛び込んできた。背後から大きな満月に照らされた城はいつもとは違い、恐ろし気な雰囲気をまとわりつかせている。
「フフフ…まさに血の宴にぴったりの夜になりそうね…」
風の様に走る狼の背中に乗りながら私はうっとりと笑みを浮かべた。
城壁に囲まれた鉄の城門は固く閉ざされていたが、こんなのは私の手にかかれば造作も無い。少し念じただけで門はきしんだ音を立てながらゆっくり開いてく。その門を狼たちは足音を立てる事も無く走り抜ける。
城の敷地内に入ると、まだ城のあちこちは明るい光が漏れていた。時刻はまだ夜の8時を少し過ぎたところだ。当然城の中は活気づいている。本来であれば皆が寝静まった頃に襲撃した方が都合が良いのかもしれないが、それでは面白みに欠けてしまう。やはり彼らが恐怖で怯える様を見るには眠っている所をいきなり襲うよりもこちらのほうがより一層恐怖を与える事が出来るだろう。
城の入口は固く閉ざされており、狼たちはそこで足を止めた。私はここで狼の背中から降りると皆に命じた。
「いい?みんな。この城の連中を殲滅させるまでは絶対に誰1人として、逃がしては駄目よ?そして叔父達とジークハルトは私が到着するまで手を出さないようにね」
私の言葉に、狼の群れも骸骨たちも一斉に頷く。そして私は扉に命じた。
「開け」
ギギギギィ~…
扉が不気味な音を立ててゆっくりと開くと私は彼らに命じた。
「さぁ、行きなさい。そして思う存分飢えを満たしなさい」
すると狼たちは一斉に遠吠えをした。
ウオオオオオオオオ―――ンッ!!
そして骸骨たちを背中に乗せたまま、次々と城の中へと飛び込んで行く。そんな姿を私は満足げに見つめた。
「フフ…いい風ね…」
風が吹き、月にかかっていた雲が取り払われた頃、城のあちこちでは恐ろしい悲鳴が響き始めた。その悲鳴は痛みと恐怖が入り混じった悲鳴だ。そして風に乗って血の匂いが漂い始めてきた。
「そろそろ頃合いね…」
私は笑みを浮かべると、城の中へと足を踏み入れた―。
****
城の内部はまさに阿鼻叫喚地獄だった。
城内はあちこちに血しぶきが飛び、床は血の海に染まっていた。そしてそこには既に食べつくされてしまったのだろう。肉片のこびりついた骸骨たちがあちこちに転がっている。
「狼たちは余程お腹がすいていたのね…骨しか残していないなんて…」
尤も私の魔力で狼たちの力を増幅させた事も影響しているのだろけど。
ペタペタと血だまりの中をさらに歩いて行くと、あちこちで狼たちが使用人達をガツガツと食べ続けている姿が目に入った。
「皆、餌はまだまだあるわ。好きなだけお食べなさい」
私は彼らに語りかけながら、叔父家族とジークハルトの元へと足を進めた。私には彼らがどこにいるか知っている。この時間はダイニングルームに集まっているはずだ。狼たちには私がくるまでは絶対に彼らに手だししないように命じてある。
恐らく狼たちは極限の飢えと戦いながら叔父家族たちを逃がさないように取り囲んでいるはずだ。
「待っていなさい…あなたたちの死にざまをじっくり見届けてあげるから」
私の全てを奪った彼等を簡単には殺さない。
いっそ、殺してくれと懇願するまでに地獄のような苦痛と恐怖を与えてやるのだ―。
「フフフ…まさに血の宴にぴったりの夜になりそうね…」
風の様に走る狼の背中に乗りながら私はうっとりと笑みを浮かべた。
城壁に囲まれた鉄の城門は固く閉ざされていたが、こんなのは私の手にかかれば造作も無い。少し念じただけで門はきしんだ音を立てながらゆっくり開いてく。その門を狼たちは足音を立てる事も無く走り抜ける。
城の敷地内に入ると、まだ城のあちこちは明るい光が漏れていた。時刻はまだ夜の8時を少し過ぎたところだ。当然城の中は活気づいている。本来であれば皆が寝静まった頃に襲撃した方が都合が良いのかもしれないが、それでは面白みに欠けてしまう。やはり彼らが恐怖で怯える様を見るには眠っている所をいきなり襲うよりもこちらのほうがより一層恐怖を与える事が出来るだろう。
城の入口は固く閉ざされており、狼たちはそこで足を止めた。私はここで狼の背中から降りると皆に命じた。
「いい?みんな。この城の連中を殲滅させるまでは絶対に誰1人として、逃がしては駄目よ?そして叔父達とジークハルトは私が到着するまで手を出さないようにね」
私の言葉に、狼の群れも骸骨たちも一斉に頷く。そして私は扉に命じた。
「開け」
ギギギギィ~…
扉が不気味な音を立ててゆっくりと開くと私は彼らに命じた。
「さぁ、行きなさい。そして思う存分飢えを満たしなさい」
すると狼たちは一斉に遠吠えをした。
ウオオオオオオオオ―――ンッ!!
そして骸骨たちを背中に乗せたまま、次々と城の中へと飛び込んで行く。そんな姿を私は満足げに見つめた。
「フフ…いい風ね…」
風が吹き、月にかかっていた雲が取り払われた頃、城のあちこちでは恐ろしい悲鳴が響き始めた。その悲鳴は痛みと恐怖が入り混じった悲鳴だ。そして風に乗って血の匂いが漂い始めてきた。
「そろそろ頃合いね…」
私は笑みを浮かべると、城の中へと足を踏み入れた―。
****
城の内部はまさに阿鼻叫喚地獄だった。
城内はあちこちに血しぶきが飛び、床は血の海に染まっていた。そしてそこには既に食べつくされてしまったのだろう。肉片のこびりついた骸骨たちがあちこちに転がっている。
「狼たちは余程お腹がすいていたのね…骨しか残していないなんて…」
尤も私の魔力で狼たちの力を増幅させた事も影響しているのだろけど。
ペタペタと血だまりの中をさらに歩いて行くと、あちこちで狼たちが使用人達をガツガツと食べ続けている姿が目に入った。
「皆、餌はまだまだあるわ。好きなだけお食べなさい」
私は彼らに語りかけながら、叔父家族とジークハルトの元へと足を進めた。私には彼らがどこにいるか知っている。この時間はダイニングルームに集まっているはずだ。狼たちには私がくるまでは絶対に彼らに手だししないように命じてある。
恐らく狼たちは極限の飢えと戦いながら叔父家族たちを逃がさないように取り囲んでいるはずだ。
「待っていなさい…あなたたちの死にざまをじっくり見届けてあげるから」
私の全てを奪った彼等を簡単には殺さない。
いっそ、殺してくれと懇願するまでに地獄のような苦痛と恐怖を与えてやるのだ―。
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