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第16話 婚約者の不在
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本館の城には大勢の使用人達が集まって大掃除をしていた。その中には離れで働く使用人たちの姿もある。まさに全員が集められていると言っても過言は無かった。
本当にユリアンが言った言葉通りだった。
…酷い。叔父様…。
叔父はここに使用人全員を集めて、突然大掃除を始めさせたのだ。私の手伝いをさせない為に…。
一刻も早く叔父の元へ向かって問い詰めなければ。きっとジークハルトも叔父と一緒にいるはず。私の話を聞けば、驚いて叔父を叱責して本館へ移る為に使用人を手伝いに寄越してくれるはずだから―。
「こ、ここね…」
ハアハアと息を切らせながら叔父が占拠しているお父様の執務室の前に立った。ここへ来るまでに何人もの使用人たちにすれ違ったが、彼らは皆冷たい視線を投げつけるか、無視するかのどちらかだった。
大丈夫、私はまだ耐えられる…。
後1ヶ月我慢すれば私は18歳の成人を迎える。そうすれば正式にこの城の女城主となって、更には愛するジークハルトと結婚することが出来るのだから…。
深呼吸すると部屋の扉をノックした。
コンコン
「…誰だ?」
「私です。フィーネです」
「な、何だとっ?!フィーネだとっ?!」
部屋の中で叔父の焦り声が聞こえる。
「入りますね」
「ま、待て!」
しかし私は構わずドアノブに手を掛けて扉を開けた。
カチャリと扉を開くと、そこには書類の束が書斎机の上にあり、叔父がかき集めている姿が目に入った。
「な、なんだっ!誰が入って良いと許可を与えたっ?!」
叔父は顔を真っ赤にさせながら引き出しの中にバサバサと書類をしまっていく。その様子はまるで私の目には触れさせたくないと言わんばかりの勢いだ。
「叔父様、それを言うならそっくりそのままお言葉をお返しします。叔父様は誰の許可でお父様の書斎に入っているのですか?ここは城主が使う部屋です。私は叔父様にこの部屋を使用する許可を与えておりませんが?」
「うぬぬ…な、何と生意気な娘なのだ。誰の為にこの城に住んでやっていると思っているのだ?」
「私は一度もその様な事は頼んではおりません。それにお忘れでしょうが来月には私は18歳…成人を迎え成人となり、ここの女城主になれます。そうなれば叔父様達をこの城から追い出すことが出来るのですよ?」
「フィーネッ!お、お前…本気で言っているのかっ?!」
叔父は目を見開き、私に怒鳴りつけた。しかし、私は少しも怖くない。何故なら私にはジークハルトがついているのだから。
けれど…肝心のジークハルトの姿が見えない。
「…ところでジークハルト様はどうされたのですか?」
執務室を見渡してもジークハルトの姿は何処にも見えない。それに考えてみればここに来るまでの間、彼の姿を目にしていない。
「ああ…ジークハルトなら…領地で火急の用が出来たとかで、帰っていったぞ?」
その言葉に私は耳を疑った―。
本当にユリアンが言った言葉通りだった。
…酷い。叔父様…。
叔父はここに使用人全員を集めて、突然大掃除を始めさせたのだ。私の手伝いをさせない為に…。
一刻も早く叔父の元へ向かって問い詰めなければ。きっとジークハルトも叔父と一緒にいるはず。私の話を聞けば、驚いて叔父を叱責して本館へ移る為に使用人を手伝いに寄越してくれるはずだから―。
「こ、ここね…」
ハアハアと息を切らせながら叔父が占拠しているお父様の執務室の前に立った。ここへ来るまでに何人もの使用人たちにすれ違ったが、彼らは皆冷たい視線を投げつけるか、無視するかのどちらかだった。
大丈夫、私はまだ耐えられる…。
後1ヶ月我慢すれば私は18歳の成人を迎える。そうすれば正式にこの城の女城主となって、更には愛するジークハルトと結婚することが出来るのだから…。
深呼吸すると部屋の扉をノックした。
コンコン
「…誰だ?」
「私です。フィーネです」
「な、何だとっ?!フィーネだとっ?!」
部屋の中で叔父の焦り声が聞こえる。
「入りますね」
「ま、待て!」
しかし私は構わずドアノブに手を掛けて扉を開けた。
カチャリと扉を開くと、そこには書類の束が書斎机の上にあり、叔父がかき集めている姿が目に入った。
「な、なんだっ!誰が入って良いと許可を与えたっ?!」
叔父は顔を真っ赤にさせながら引き出しの中にバサバサと書類をしまっていく。その様子はまるで私の目には触れさせたくないと言わんばかりの勢いだ。
「叔父様、それを言うならそっくりそのままお言葉をお返しします。叔父様は誰の許可でお父様の書斎に入っているのですか?ここは城主が使う部屋です。私は叔父様にこの部屋を使用する許可を与えておりませんが?」
「うぬぬ…な、何と生意気な娘なのだ。誰の為にこの城に住んでやっていると思っているのだ?」
「私は一度もその様な事は頼んではおりません。それにお忘れでしょうが来月には私は18歳…成人を迎え成人となり、ここの女城主になれます。そうなれば叔父様達をこの城から追い出すことが出来るのですよ?」
「フィーネッ!お、お前…本気で言っているのかっ?!」
叔父は目を見開き、私に怒鳴りつけた。しかし、私は少しも怖くない。何故なら私にはジークハルトがついているのだから。
けれど…肝心のジークハルトの姿が見えない。
「…ところでジークハルト様はどうされたのですか?」
執務室を見渡してもジークハルトの姿は何処にも見えない。それに考えてみればここに来るまでの間、彼の姿を目にしていない。
「ああ…ジークハルトなら…領地で火急の用が出来たとかで、帰っていったぞ?」
その言葉に私は耳を疑った―。
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