108 / 119
第108話 焦るペリーヌからの報告
しおりを挟む
「成程…流石は妹…と言いたいところだが…」
兄はジロリと私を見た。
「そうよ、アンジェラ。何故私達に何の相談もしなかったの?」
「ああ、ダンテと母さんの言う通りだ。何故だまっていたのだ?」
父が尋ねてきた。
「申し訳ありません…本当にパメラが盗みに入るか、これは1つの賭けでもありましたし…何より反対されるのではないかと思ったので…」
「確かに反対はしたかもしれないな。普通に考えてみれば、そんな確証も無い事を許可すること等出来ないからな」
「ええ、そうよ?」
父の言葉に母も賛同する。
「そう言えば…先程のフットマンの報告ではアンジェラの店に並べていた商品が根こそぎ消えていたと言うことだったが…店の状況はどうなんだ?!荒らされたりしていたんじゃないのか?!もう一度彼を呼び寄せて確認をしてみないと!」
兄が焦った様子で立ち上がった。
そこを私はすかさず言った。
「恐らくそれは大丈夫だと思います」
「「「え?」」」
父、母、兄が一斉に私を見た。
「その自信はいったい何処から来るんだ?」
父が尋ねてきた。
「はい、もし商品が盗まれただけでなく、店内もあらされて荒らされていた場合はその報告も頼んでいたからです。でも盗まれた報告しか無かったので、恐らく大丈夫だったのでしょう」
私はここの使用人たちを全面的に信用している。彼等は今迄お願いした事を怠った事は一度も無かったからだ。
「しかし…戸締まりした店の中に入るにはドアを壊したり、窓を割るなどしないと侵入出来ないだろう?それなのに店内が荒らされていないとなると…どうやってパメラはアンジェラの店の中に侵入したのだろう?」
兄が首を傾げている。
「あ…その事なのですけど…実はわざと窓に鍵をかけないで置いたのです。私の店を何度も覗き見していたパメラなら窓に鍵がかかっていないことに気づいたでしょうから…」
そう、これこそが大きな賭けだった。何しろわざと盗ませる為に敢えて鍵を賭けなかったのだから。
「「「な、何(ですって)だって~っ!!!」」」
父、母、兄の大きな声が揃った―。
****
午前8時45分―
何とか授業開始15分前に学校に到着する事が出来た。あの後、登校時間ギリギリになるまで家族から小言を言われ…遅刻するので今日の所は見逃して下さいと家族に訴え、ようやくこの時間になって登校することが出来たのだ。
「ふ~…間に合って良かったわ…」
大勢の学生たちに混ざって校舎を目指して歩いていると、前方からペリーヌが手を振ってこちらへ向かって駆け寄って来た。
「アンジェラーッ!大変よっ!」
「おはよう、ペリーヌ」
ペリーヌは息を切らせながら駆け寄ってきた。
「お、おはよ…アンジェラ…って、のんきに挨拶している場合じゃないのよ!大変なのよっ!貴女の店の商品が…」
「ええ、知ってるわ。代わりに置いてきた商品が根こそぎ無くなっていたのでしょう?」
「え、ええ…そうよ。アンジェラの狙い通り、やはり盗まれていたわ。で、でもそれだけじゃないのよっ!こ、これを見てよ!今朝こんなビラを手に入れたのよっ!」
「え?ビラ?」
ペリーヌはかなり興奮した状態でカバンの中からクシャクシャに丸めた紙を取り出し、広げると差し出してきた。
「ほら!見て頂戴!」
「え、ええ…」
思わず苦笑しながらペリーヌが渡してきたシワだらけのビラを受け取り、目を通した。
『10月9日、『1日だけの手作り雑貨屋さん』が本日午後1時よりオープン。開催場所は噴水公園広場前。無くなり次第終了になるのでお早めにお越し下さい』
そして主催者は…パメラ・カストロフ・ウッドとなっていたー。
兄はジロリと私を見た。
「そうよ、アンジェラ。何故私達に何の相談もしなかったの?」
「ああ、ダンテと母さんの言う通りだ。何故だまっていたのだ?」
父が尋ねてきた。
「申し訳ありません…本当にパメラが盗みに入るか、これは1つの賭けでもありましたし…何より反対されるのではないかと思ったので…」
「確かに反対はしたかもしれないな。普通に考えてみれば、そんな確証も無い事を許可すること等出来ないからな」
「ええ、そうよ?」
父の言葉に母も賛同する。
「そう言えば…先程のフットマンの報告ではアンジェラの店に並べていた商品が根こそぎ消えていたと言うことだったが…店の状況はどうなんだ?!荒らされたりしていたんじゃないのか?!もう一度彼を呼び寄せて確認をしてみないと!」
兄が焦った様子で立ち上がった。
そこを私はすかさず言った。
「恐らくそれは大丈夫だと思います」
「「「え?」」」
父、母、兄が一斉に私を見た。
「その自信はいったい何処から来るんだ?」
父が尋ねてきた。
「はい、もし商品が盗まれただけでなく、店内もあらされて荒らされていた場合はその報告も頼んでいたからです。でも盗まれた報告しか無かったので、恐らく大丈夫だったのでしょう」
私はここの使用人たちを全面的に信用している。彼等は今迄お願いした事を怠った事は一度も無かったからだ。
「しかし…戸締まりした店の中に入るにはドアを壊したり、窓を割るなどしないと侵入出来ないだろう?それなのに店内が荒らされていないとなると…どうやってパメラはアンジェラの店の中に侵入したのだろう?」
兄が首を傾げている。
「あ…その事なのですけど…実はわざと窓に鍵をかけないで置いたのです。私の店を何度も覗き見していたパメラなら窓に鍵がかかっていないことに気づいたでしょうから…」
そう、これこそが大きな賭けだった。何しろわざと盗ませる為に敢えて鍵を賭けなかったのだから。
「「「な、何(ですって)だって~っ!!!」」」
父、母、兄の大きな声が揃った―。
****
午前8時45分―
何とか授業開始15分前に学校に到着する事が出来た。あの後、登校時間ギリギリになるまで家族から小言を言われ…遅刻するので今日の所は見逃して下さいと家族に訴え、ようやくこの時間になって登校することが出来たのだ。
「ふ~…間に合って良かったわ…」
大勢の学生たちに混ざって校舎を目指して歩いていると、前方からペリーヌが手を振ってこちらへ向かって駆け寄って来た。
「アンジェラーッ!大変よっ!」
「おはよう、ペリーヌ」
ペリーヌは息を切らせながら駆け寄ってきた。
「お、おはよ…アンジェラ…って、のんきに挨拶している場合じゃないのよ!大変なのよっ!貴女の店の商品が…」
「ええ、知ってるわ。代わりに置いてきた商品が根こそぎ無くなっていたのでしょう?」
「え、ええ…そうよ。アンジェラの狙い通り、やはり盗まれていたわ。で、でもそれだけじゃないのよっ!こ、これを見てよ!今朝こんなビラを手に入れたのよっ!」
「え?ビラ?」
ペリーヌはかなり興奮した状態でカバンの中からクシャクシャに丸めた紙を取り出し、広げると差し出してきた。
「ほら!見て頂戴!」
「え、ええ…」
思わず苦笑しながらペリーヌが渡してきたシワだらけのビラを受け取り、目を通した。
『10月9日、『1日だけの手作り雑貨屋さん』が本日午後1時よりオープン。開催場所は噴水公園広場前。無くなり次第終了になるのでお早めにお越し下さい』
そして主催者は…パメラ・カストロフ・ウッドとなっていたー。
57
お気に入りに追加
4,678
あなたにおすすめの小説
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる