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第66話 次の婚約者候補は
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帰宅後、リビングで父は早速母と兄から責められていた。
「あなたっ!一体何を考えているのですかっ?!アンジェラは婚約破棄したばかりなのですよ?!」
「そうですっ!父上、分っているのですか?あの馬鹿とようやく手が切れたのに、今度は別の…コンラート家の養子になった男と婚約させるとは!」
「ま、まぁ。2人共、落ち着いてくれ。確かにお前たちの言う事は尤もだと思う。私もその話を聞かされた時はすぐさま断りをいれた。しかし、土下座をされてしまったのだよ。どうか会うだけ会ってみてくれないかと。コンラート伯爵はこちらからの婚約破棄を受け入れてくれたのだ。無下に断るわけにもいかないだろう?気に入らなければ断ってくれて構わないと言うものだから…」
「まさか…それでその方とお会いなさったりしてはいないでしょうね?」
「…」
しかし、父は母の問いかけに返事をしない。
「ま、まさか…会ったのですかっ?!」
兄の問いかけに父はコクリと頷いた。
「な、何て勝手な事をされるのですかっ?!」
母の言葉に父は慌てた。
「お、落ち着きなさい。もし私が会って気に入らなければ、すぐに断って構わないと言われたのだよ。それでとりあえず会ってみる事にしたのだが…これがなかなかの好青年でね…いや、実に素晴らしい青年だったよ。相手はダンテと同じ23歳の青年で、現在は臨時講師をしているそうなんだ。彼には特別決まった相手の女性もいないと言う事で…ぜひ一度アンジェラに正式に会ってみたいと頼まれたのだよ」
そしてチラリと私の方を見た。
「23歳…僕と同じ年齢の男ですか…。ですが、会うかどうかはアンジェラが決める事です!」
そして兄と母は私を見た。
「アンジェラ?どうするの?その方と一度お会いするつもり?」
「嫌なら断ってもいいんだぞ?言いにくいなら僕から断りを入れようか?」
母と兄が交互に尋ねて来る。
「いいえ、お父様とも話し合いをしたのですが…私、その方とお会いしようと思っています」
「ええっ?!」
「本気なのかっ?!アンジェラッ!」
母と兄が目を見開いて私を見る。
「はい、もう決めたことですから…。取りあえず、今は先に荷物を置いてきます。失礼します」
頭を下げると、私は足早にリビングを出ると部屋に足を向けた。何故なら油断すれば顔が緩んでしまうからだ。
それにしても…何と言う偶然だろう。最初父から新しい婚約者候補の話を聞いた時は驚くと同時に憂鬱な気分になってしまったけれども、名前を聞いた途端に衝撃を受けた。
まさかニコラスの後釜として養子になった人物がデリクさんだったとは。
私とデリクさんは互いにフルネームで自己紹介してある。だからデリクさんは私の名前を聞いた時、すぐに気付いたはず。その上で、ぜひ一度正式に私と会ってみたいと頼んでくるなんて…。
気付けば部屋の前に到着していた。
私は部屋の扉を開けて、室内へ入ると…ソファに座り、クッションを抱きしめた。
ドキン
ドキン
ドキン…
年甲斐?もなく胸の高鳴りが止らない。
デリクさん…。
彼は私の事をどう思ってくれているのだろう…?
この世界に転生して、初めて私は胸が高鳴るのを感じた―。
「あなたっ!一体何を考えているのですかっ?!アンジェラは婚約破棄したばかりなのですよ?!」
「そうですっ!父上、分っているのですか?あの馬鹿とようやく手が切れたのに、今度は別の…コンラート家の養子になった男と婚約させるとは!」
「ま、まぁ。2人共、落ち着いてくれ。確かにお前たちの言う事は尤もだと思う。私もその話を聞かされた時はすぐさま断りをいれた。しかし、土下座をされてしまったのだよ。どうか会うだけ会ってみてくれないかと。コンラート伯爵はこちらからの婚約破棄を受け入れてくれたのだ。無下に断るわけにもいかないだろう?気に入らなければ断ってくれて構わないと言うものだから…」
「まさか…それでその方とお会いなさったりしてはいないでしょうね?」
「…」
しかし、父は母の問いかけに返事をしない。
「ま、まさか…会ったのですかっ?!」
兄の問いかけに父はコクリと頷いた。
「な、何て勝手な事をされるのですかっ?!」
母の言葉に父は慌てた。
「お、落ち着きなさい。もし私が会って気に入らなければ、すぐに断って構わないと言われたのだよ。それでとりあえず会ってみる事にしたのだが…これがなかなかの好青年でね…いや、実に素晴らしい青年だったよ。相手はダンテと同じ23歳の青年で、現在は臨時講師をしているそうなんだ。彼には特別決まった相手の女性もいないと言う事で…ぜひ一度アンジェラに正式に会ってみたいと頼まれたのだよ」
そしてチラリと私の方を見た。
「23歳…僕と同じ年齢の男ですか…。ですが、会うかどうかはアンジェラが決める事です!」
そして兄と母は私を見た。
「アンジェラ?どうするの?その方と一度お会いするつもり?」
「嫌なら断ってもいいんだぞ?言いにくいなら僕から断りを入れようか?」
母と兄が交互に尋ねて来る。
「いいえ、お父様とも話し合いをしたのですが…私、その方とお会いしようと思っています」
「ええっ?!」
「本気なのかっ?!アンジェラッ!」
母と兄が目を見開いて私を見る。
「はい、もう決めたことですから…。取りあえず、今は先に荷物を置いてきます。失礼します」
頭を下げると、私は足早にリビングを出ると部屋に足を向けた。何故なら油断すれば顔が緩んでしまうからだ。
それにしても…何と言う偶然だろう。最初父から新しい婚約者候補の話を聞いた時は驚くと同時に憂鬱な気分になってしまったけれども、名前を聞いた途端に衝撃を受けた。
まさかニコラスの後釜として養子になった人物がデリクさんだったとは。
私とデリクさんは互いにフルネームで自己紹介してある。だからデリクさんは私の名前を聞いた時、すぐに気付いたはず。その上で、ぜひ一度正式に私と会ってみたいと頼んでくるなんて…。
気付けば部屋の前に到着していた。
私は部屋の扉を開けて、室内へ入ると…ソファに座り、クッションを抱きしめた。
ドキン
ドキン
ドキン…
年甲斐?もなく胸の高鳴りが止らない。
デリクさん…。
彼は私の事をどう思ってくれているのだろう…?
この世界に転生して、初めて私は胸が高鳴るのを感じた―。
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