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第42話 追い詰める私
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「初めまして。私はアンジェラ・ベルモンドと申します。パメラさんと同じ学園に通っています」
「何…?パメラと…?」
ウッド氏は眉をしかめる。
「はい。パメラさんとは学年も同じです。そして…ついでに申し上げれば、私はニコラス様の許嫁でもあります。パメラさんから私の事について何かお話を伺った事はありませんか?」
「な、何だって…っ?!」
ウッド氏の顔色が変わる。
「そ、そう言えば…娘から聞いたことがあるな…。ニコラス様には同じ年齢の許嫁がいると…。だが…」
ウッド氏は何かを思い出したのか、ニヤリと笑みを浮かべた。
「確か…ニコラス様は許嫁には全く興味を示さずに嫌っていらっしゃると娘から伺っておりますよ?」
その言い方はどこか勝ち誇って聞こえた。そして私に言う。
「いくら貴女がニコラス様の許嫁とは言え、あの方に愛されていないのであれば…その様な関係等無意味でしょう?何しろニコラス様が好きなのは私の娘なのですから」
「「…」」
父も兄も顔をしかめてウッド氏を見ている。意見を言いたいのだろうが、我慢をしている…そんな心境なのかもしれない。
「確かに恋愛なら当人同士で勝手にすればよいでしょうけど…これが結婚の話となるとどうでしょうか?当然両家の親も関わってきますよね?」
私は冷静に言う。
「ええ、ですがそれがどうしたと言うのです?コンラート伯爵家だって娘の事を認めているから今迄何も我々に文句を言ってこなかったのでしょう?もし反対されているのならとっくに娘はニコラス様と別れさせられていたはずですからね」
そしてニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「そうですか…ですがその様子だと、まだ何もご存知ないようですね?パメラさんから何もお話をお聞きになっていないようですね」
私の言葉にウッド氏が怪訝そうに首を傾げた。
「一体何が仰りたいのですか?」
「はい。昨日の事ですが…パメラさんはいつもの様にニコラス様と学校へ行く為に誘いに行ったそうなのですが使用人に追い返されたそうですよ。もうここへは来るなと言われたそうです」
「な、何だって?!そ、そんな話は初耳だ。しかし…。その使用人が勝手に娘を追い返しただけなのではないですか?」
焦りを隠せない様子のウッド氏に父が言った。
「本当にそう思ってらっしゃるのですか?」
「ど、どういう意味ですか…」
ウッド氏の声が震えている。
「先程申し上げましたよね?私はコンラート伯爵の代理で農園の経営状況を管理していると…」
「それが…どうしたと言うのです?」
「この仕事ですが…つい最近コンラート伯爵から託されたのですよ。それはつまり…私に貴方の行っている悪質な経営を取り締まって欲しいという意味だと思いませんか?」
「な、何ですと…?」
ようやくここまで来てウッド氏は少しは状況が把握できたのだろう。顔色がみるみるうちに青ざめていく。
「ああ、そう言えばコンラート伯爵は私にこうも話しておりました。『生意気な平民の娘がニコラスに付きまとって困る』とね」
「つまり…貴方とパメラはコンラート伯爵から見限られたと言う事では?」
兄が冷たい声でいい放った―。
「何…?パメラと…?」
ウッド氏は眉をしかめる。
「はい。パメラさんとは学年も同じです。そして…ついでに申し上げれば、私はニコラス様の許嫁でもあります。パメラさんから私の事について何かお話を伺った事はありませんか?」
「な、何だって…っ?!」
ウッド氏の顔色が変わる。
「そ、そう言えば…娘から聞いたことがあるな…。ニコラス様には同じ年齢の許嫁がいると…。だが…」
ウッド氏は何かを思い出したのか、ニヤリと笑みを浮かべた。
「確か…ニコラス様は許嫁には全く興味を示さずに嫌っていらっしゃると娘から伺っておりますよ?」
その言い方はどこか勝ち誇って聞こえた。そして私に言う。
「いくら貴女がニコラス様の許嫁とは言え、あの方に愛されていないのであれば…その様な関係等無意味でしょう?何しろニコラス様が好きなのは私の娘なのですから」
「「…」」
父も兄も顔をしかめてウッド氏を見ている。意見を言いたいのだろうが、我慢をしている…そんな心境なのかもしれない。
「確かに恋愛なら当人同士で勝手にすればよいでしょうけど…これが結婚の話となるとどうでしょうか?当然両家の親も関わってきますよね?」
私は冷静に言う。
「ええ、ですがそれがどうしたと言うのです?コンラート伯爵家だって娘の事を認めているから今迄何も我々に文句を言ってこなかったのでしょう?もし反対されているのならとっくに娘はニコラス様と別れさせられていたはずですからね」
そしてニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「そうですか…ですがその様子だと、まだ何もご存知ないようですね?パメラさんから何もお話をお聞きになっていないようですね」
私の言葉にウッド氏が怪訝そうに首を傾げた。
「一体何が仰りたいのですか?」
「はい。昨日の事ですが…パメラさんはいつもの様にニコラス様と学校へ行く為に誘いに行ったそうなのですが使用人に追い返されたそうですよ。もうここへは来るなと言われたそうです」
「な、何だって?!そ、そんな話は初耳だ。しかし…。その使用人が勝手に娘を追い返しただけなのではないですか?」
焦りを隠せない様子のウッド氏に父が言った。
「本当にそう思ってらっしゃるのですか?」
「ど、どういう意味ですか…」
ウッド氏の声が震えている。
「先程申し上げましたよね?私はコンラート伯爵の代理で農園の経営状況を管理していると…」
「それが…どうしたと言うのです?」
「この仕事ですが…つい最近コンラート伯爵から託されたのですよ。それはつまり…私に貴方の行っている悪質な経営を取り締まって欲しいという意味だと思いませんか?」
「な、何ですと…?」
ようやくここまで来てウッド氏は少しは状況が把握できたのだろう。顔色がみるみるうちに青ざめていく。
「ああ、そう言えばコンラート伯爵は私にこうも話しておりました。『生意気な平民の娘がニコラスに付きまとって困る』とね」
「つまり…貴方とパメラはコンラート伯爵から見限られたと言う事では?」
兄が冷たい声でいい放った―。
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