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第33話 頼りになる父

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「聞いて下さい、お父様。パメラには3人の取り巻きがいます。1人は先程申し上げたシビルと言う女子生徒です。そして他にグレタとイレーネという2人の女子生徒がいます」

「成程…」

父は紙と万年筆を用意するとサラサラとメモを取り出した。

「確か、先程話していたニコラスの恋人はパメラ・カストロフ・ウッドだったか?」

「ええ、そうです。シビルの話だと父親は農園を経営しているそうです」

「なるほど、農園か…。確かこの辺一帯の農園と経営者の名前が記された資料があったはずだな…」

父は書斎机の上に乗った書類の束を探し始めた。

「よし…あった。これだ」

父はペラペラと書類をめくり始めた。その様子を見ながら私は父に尋ねた。

「あの、お父様はそのような管理のお仕事までされているのですか?それは本来伯爵家であるコンラート家が行うものなのでは?お父様はあくまで伯爵の補佐官的な役割を担っているはずですよね?」

「ああ、そうなんだが…実はコンラート伯爵に押し付けられたんだよ。『私は君を信頼している。どうかよろしく頼む』と言われてね。お陰で仕事が増える一方だが、幸いにもダンテが頼りになるからね。それに…」

父がニヤリと笑った。

「その御蔭で、この農園経営者達の監視…いや、管理の仕事も任されているからな」

「それでは…?」

「ああ、アンジェラの役に立てそうだ。ここに記載されているぞ。ウッド家は小麦の栽培を人を雇って運営しているが…評判はあまり良くないようだな。これは特権を利用して調べたほうが良さそうだ。幸いにもこれも伯爵から託された私の仕事だからな」

「そんなに…評判が悪い農園なのですか?」

「ああ、ひょっとするとこの農園は叩けば埃しか出てこないかもしれないぞ?場合によっては経営権を没収しても良いかもしれない」

父は嬉しそうに言う。

「お忙しいのにありがとうございます」

私は父に頭を下げた。

「いや、いいんだよアンジェラ。お前をあのニコラス様の婚約者にしてしまったせめてもの罪滅ぼしだ。早めに方をつけてその哀れな女子生徒たちを助けてやらないとな。それにお前に対する仕打ちも合わせて。早速明日にでも調べに行ってみるか」

「本当ですか?それなら私もついて行っていいですか?明日は週末で学校も休みなので」

「それは構わないが…いいのか?忙しいんじゃなかったのか?」

「ええ。でもシビルに約束したのです。明日にでもパメラの父親の経営している農園に行くと。それに…どうもコンラート伯爵はパメラをよく思っていないようなんです」

「どうしてそんな事が分かるんだ?」

父が不思議そうな顔で尋ねてきた。

「はい、実は今朝パメラがニコラス様の屋敷にいつものように一緒に登校しようと誘いに行った所、今朝使用人に追い返されたそうなんです。それに今日ニコラス様は結局学校をお休みされました。これは昨夜の出来事と何か関係があると思いませんか?」

「ふむ…成程。確かにそうかもしれない…ということはこちらも何も遠慮する必要は無いかもしれないな」

「ええ、遠慮は無用だと思います」

「なら徹底的にやるか?」

「はい!」

そして私と父は顔を見合わせ…笑みを浮かべた―。

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