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第4話 呼び出し
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「全く…あの2人は恥を知らないのかしら?アンジェラっていう正式な許嫁がいるっていうのに…」
歯ぎしりをしながらペリーヌが悔しそうに前方を歩くニコラスとパメラを睨みつける。
「いいのよ、あの2人の事は。私は少しも気にしていないから」
ペリーヌをなだめながら思った。これではどちらがニコラスの婚約者か分かったものではない。
「だけど私…悔しくてたまらないわ…。あの2人、何かと言うといつもアンジェラに文句を言ってきて…それだけじゃないわ。2人に肩を持つ仲間たちだって…」
「本当に気にすること無いから。あ、ほら。もう教室に着くからまた後でね」
「ええ、またね」
生憎私とペリーヌのクラスは別々だ。私はAクラス、ペリーヌはCクラスであった。
ちなみにパメラはBクラスでニコラスはDクラスである
教室へ入ると、私は自分の席に着席し、カバンの中から教科書やペンケースを取り出していく。私が使っているペンケースは昨日、完成したペンケースだった。がま口のカバンを分解して、がま口部分だけ取り外して作ったペンケースは細かいパッチワークのデザインになっている。
「ふふふ…苦労して作っただけあるわ…」
満足のいく出来栄えだった。
その時―。
「おい!アンジェラッ!」
不意にすぐ側で名前を呼ばれ、振り向くとそこにはニコラスが腕組みして私を見下ろしている。そしてその背後にはまるで悲劇のヒロインの如く、ニコラスの背後に隠れるように私を見ているパメラの姿があった。パメラの手には何故かノートが握りしめられている。
「おはようございます。ニコラス様。どうしたのですか?わざわざ2人揃って私のいるAクラスに来るなんて」
やれやれ…今朝はどんないいがかりをつけてくるのだろうか?
「アンジェラ、話がある。少し顔を貸せ」
顎で私をしゃくって廊下へ出るように命じるニコラス。全くこれでは不良学生の呼び出しのようだ。
「…どちらへ行くのですか?もうすぐ授業が始まる時間ですけど?」
教室に取り付けられた時計を見ながら言う。
「そんなに時間はかからない。それともお前、俺の命令に逆らうのか?」
命令…仮にも私はニコラスの許嫁であるのに、これではまるで舎弟のような関係だ。
そんな私達の様子を一部の生徒は興味深げに見ている。その目は私に対する同情の目などではない。好奇心一杯の目だった。私はニコラスとパメラの策略と、元々の人付き合いの悪さからこの学園ではあまり評判が良くなかったからだ。
「はい、分かりました…」
ガタンと席を立ち、私は教室を出ていくニコラスとパメラの後に続いた。
****
廊下に出ると、人けの無い空き教室へ連れて行かれた。中に入ると部屋の中にはパメラと仲の良い3人の女子学生たちが待機していた。彼女たちはいずれも平民出身の学生で、何かというとパメラと一緒になって私に言いがかりをつけてくる。
本当に困った女子学生たちだ。しかもよりにもよって彼女たちは全員パメラと同じクラスなのだから最悪だった。
また彼女たちか…。
私はいやな予感がした。
「おい、アンジェラ。お前…昨日俺が放課後、委員会でパメラと一緒に帰れなかったのを幸いに彼女のノートを奪って破いただろうっ?!」
空き教室に到着するとすぐにニコラスは強い口調で私に文句を言って来た。
「…は?」
あまりにも突然の話に固まる私。
「パメラ、ノートを貸してごらん?」
ニコラスは優しい声でパメラに声を掛けた。
「はい、ニコラス様」
そしてパメラからノートを受け取ったニコラスはペラペラとページをめくり、破かれたページを私に突きつけてきた―。
歯ぎしりをしながらペリーヌが悔しそうに前方を歩くニコラスとパメラを睨みつける。
「いいのよ、あの2人の事は。私は少しも気にしていないから」
ペリーヌをなだめながら思った。これではどちらがニコラスの婚約者か分かったものではない。
「だけど私…悔しくてたまらないわ…。あの2人、何かと言うといつもアンジェラに文句を言ってきて…それだけじゃないわ。2人に肩を持つ仲間たちだって…」
「本当に気にすること無いから。あ、ほら。もう教室に着くからまた後でね」
「ええ、またね」
生憎私とペリーヌのクラスは別々だ。私はAクラス、ペリーヌはCクラスであった。
ちなみにパメラはBクラスでニコラスはDクラスである
教室へ入ると、私は自分の席に着席し、カバンの中から教科書やペンケースを取り出していく。私が使っているペンケースは昨日、完成したペンケースだった。がま口のカバンを分解して、がま口部分だけ取り外して作ったペンケースは細かいパッチワークのデザインになっている。
「ふふふ…苦労して作っただけあるわ…」
満足のいく出来栄えだった。
その時―。
「おい!アンジェラッ!」
不意にすぐ側で名前を呼ばれ、振り向くとそこにはニコラスが腕組みして私を見下ろしている。そしてその背後にはまるで悲劇のヒロインの如く、ニコラスの背後に隠れるように私を見ているパメラの姿があった。パメラの手には何故かノートが握りしめられている。
「おはようございます。ニコラス様。どうしたのですか?わざわざ2人揃って私のいるAクラスに来るなんて」
やれやれ…今朝はどんないいがかりをつけてくるのだろうか?
「アンジェラ、話がある。少し顔を貸せ」
顎で私をしゃくって廊下へ出るように命じるニコラス。全くこれでは不良学生の呼び出しのようだ。
「…どちらへ行くのですか?もうすぐ授業が始まる時間ですけど?」
教室に取り付けられた時計を見ながら言う。
「そんなに時間はかからない。それともお前、俺の命令に逆らうのか?」
命令…仮にも私はニコラスの許嫁であるのに、これではまるで舎弟のような関係だ。
そんな私達の様子を一部の生徒は興味深げに見ている。その目は私に対する同情の目などではない。好奇心一杯の目だった。私はニコラスとパメラの策略と、元々の人付き合いの悪さからこの学園ではあまり評判が良くなかったからだ。
「はい、分かりました…」
ガタンと席を立ち、私は教室を出ていくニコラスとパメラの後に続いた。
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廊下に出ると、人けの無い空き教室へ連れて行かれた。中に入ると部屋の中にはパメラと仲の良い3人の女子学生たちが待機していた。彼女たちはいずれも平民出身の学生で、何かというとパメラと一緒になって私に言いがかりをつけてくる。
本当に困った女子学生たちだ。しかもよりにもよって彼女たちは全員パメラと同じクラスなのだから最悪だった。
また彼女たちか…。
私はいやな予感がした。
「おい、アンジェラ。お前…昨日俺が放課後、委員会でパメラと一緒に帰れなかったのを幸いに彼女のノートを奪って破いただろうっ?!」
空き教室に到着するとすぐにニコラスは強い口調で私に文句を言って来た。
「…は?」
あまりにも突然の話に固まる私。
「パメラ、ノートを貸してごらん?」
ニコラスは優しい声でパメラに声を掛けた。
「はい、ニコラス様」
そしてパメラからノートを受け取ったニコラスはペラペラとページをめくり、破かれたページを私に突きつけてきた―。
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