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4章7 迎え
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ろくに集中出来ないまま、90分間のガイダンスは終わった。
ロザリンはガイダンスに出席したのだろうか?
次々と教室を出ていく女子学生たちの姿を目で追っていると、エイダに大きな声で呼びかけられた。
「クラリスッたら!」
「え? な、何?」
いきなり大きな声で名前を呼ばれ、驚いてエイダの顔を見つめる。
「何じゃないわよ。さっきからずっと呼んでいるのに、全く聞こえていないみたいなんだもの。誰か探しているの? それにガイダンスの間、心ここにあらずって感じだったわよ。一体どうしてしまったの?」
「エイダ……」
私がユニスだったら、エイダにリオンとロザリンの話しを聞くことが出来るのに。今の私では尋ねることが出来ない。
仮に2人の名前を出せば、何故知っているのか問い詰められるに決まっている。
「ねぇ、何か悩み事や心配事があるなら私に相談してよ。だって私達友達よね?」
真剣な眼差しで私を見つめてくるエイダ。
だとしたら……正体がバレない程度に質問するくらいなら……。
「あのね、実はさっきこの教室へ行くときに中庭を通ってきたの。その時……男性と女性が言い争う声が聞こえてしまったのよ。女性は一方的に男性を怒鳴りつけていたわ。それに跪いて謝罪までさせていたわ」
「まぁ……それはすごい話ね。でも、それがどうかしたの?」
眉をひそめるエイダ。
「それで私、驚いて足を止めてしまって……思わず立ち聞きをしてしまったの。でも途中でこんなことをしてはいけないと思って、その場を去ろうとしたときに小枝を踏んでしまって姿を見られてしまったのよ。女の人は、黒いヴェールを被っていたわ。それで女子学生に盗み見をしていたと怒鳴られてしまったの。そこを男子学生が止めてくれて、2人が話している隙に逃げてきたのよ」
すると私の言葉にエイダは息を呑んだ。
「え……? 黒いヴェール……? まさか、ロザリンに会ったの? それでは相手の男性はリオン……」
「そうよ、2人はお互いのことをロザリン、リオンて言い合っていたわ。エイダは2人のことを知っているの?」
「知ってるわ。有名人だもの。それに私た……ううん、私は2人とは初等部の頃から知っているから」
有名……? 一体どういうことで有名なのだろう?
「エイダ、どうして2人は有名人なの?」
「それはね……」
その時。
「クラリス、やっぱりまだここにいたんだね」
不意に真上から声が降ってきた。
「え?」
驚いて顔を上げると、セシルが私を見下ろしている。隣にはフレッドの姿まである。
「迎えに来た。行くぞ」
フレッドが私の腕を掴んできた。
「ちょっと、クラリスを何処に連れて行くつもりなの!」
エイダがフレッドの手を振り払うと睨みつける。
「これから食事をしに行くから、誘いに来ただけだ」
「だったら、当然私も行くわよ。だって私はクラリスの親友なのだから。いいわよね?」
エイダは私を見つめてくる。
「ええ、勿論よ」
「あのなぁ……」
フレッドが呆れた顔をするのをセシルは止めた。
「うん、そうだね。皆で一緒に行こう」
「それじゃ行きましょう、クラリス」
エイダは笑顔で私に笑いかけてきた――
****
私達は4人で学生食堂へ向っていた。
前方には人当たりのよいセシルがエイダと話をしながら歩いている。そして私の隣を歩くフレッド。
フレッドが私に話があるということで、この様な組み合わせになったのだった。
「さっき、あの女から何の話を聞き出そうとしていたんだ?」
「……」
何と答えたら良いか分からず黙っていると、フレッドが続ける。
「リオンと婚約者の事を話していただろう?」
その言葉に、肩が小さく跳ねてしまった――
ロザリンはガイダンスに出席したのだろうか?
次々と教室を出ていく女子学生たちの姿を目で追っていると、エイダに大きな声で呼びかけられた。
「クラリスッたら!」
「え? な、何?」
いきなり大きな声で名前を呼ばれ、驚いてエイダの顔を見つめる。
「何じゃないわよ。さっきからずっと呼んでいるのに、全く聞こえていないみたいなんだもの。誰か探しているの? それにガイダンスの間、心ここにあらずって感じだったわよ。一体どうしてしまったの?」
「エイダ……」
私がユニスだったら、エイダにリオンとロザリンの話しを聞くことが出来るのに。今の私では尋ねることが出来ない。
仮に2人の名前を出せば、何故知っているのか問い詰められるに決まっている。
「ねぇ、何か悩み事や心配事があるなら私に相談してよ。だって私達友達よね?」
真剣な眼差しで私を見つめてくるエイダ。
だとしたら……正体がバレない程度に質問するくらいなら……。
「あのね、実はさっきこの教室へ行くときに中庭を通ってきたの。その時……男性と女性が言い争う声が聞こえてしまったのよ。女性は一方的に男性を怒鳴りつけていたわ。それに跪いて謝罪までさせていたわ」
「まぁ……それはすごい話ね。でも、それがどうかしたの?」
眉をひそめるエイダ。
「それで私、驚いて足を止めてしまって……思わず立ち聞きをしてしまったの。でも途中でこんなことをしてはいけないと思って、その場を去ろうとしたときに小枝を踏んでしまって姿を見られてしまったのよ。女の人は、黒いヴェールを被っていたわ。それで女子学生に盗み見をしていたと怒鳴られてしまったの。そこを男子学生が止めてくれて、2人が話している隙に逃げてきたのよ」
すると私の言葉にエイダは息を呑んだ。
「え……? 黒いヴェール……? まさか、ロザリンに会ったの? それでは相手の男性はリオン……」
「そうよ、2人はお互いのことをロザリン、リオンて言い合っていたわ。エイダは2人のことを知っているの?」
「知ってるわ。有名人だもの。それに私た……ううん、私は2人とは初等部の頃から知っているから」
有名……? 一体どういうことで有名なのだろう?
「エイダ、どうして2人は有名人なの?」
「それはね……」
その時。
「クラリス、やっぱりまだここにいたんだね」
不意に真上から声が降ってきた。
「え?」
驚いて顔を上げると、セシルが私を見下ろしている。隣にはフレッドの姿まである。
「迎えに来た。行くぞ」
フレッドが私の腕を掴んできた。
「ちょっと、クラリスを何処に連れて行くつもりなの!」
エイダがフレッドの手を振り払うと睨みつける。
「これから食事をしに行くから、誘いに来ただけだ」
「だったら、当然私も行くわよ。だって私はクラリスの親友なのだから。いいわよね?」
エイダは私を見つめてくる。
「ええ、勿論よ」
「あのなぁ……」
フレッドが呆れた顔をするのをセシルは止めた。
「うん、そうだね。皆で一緒に行こう」
「それじゃ行きましょう、クラリス」
エイダは笑顔で私に笑いかけてきた――
****
私達は4人で学生食堂へ向っていた。
前方には人当たりのよいセシルがエイダと話をしながら歩いている。そして私の隣を歩くフレッド。
フレッドが私に話があるということで、この様な組み合わせになったのだった。
「さっき、あの女から何の話を聞き出そうとしていたんだ?」
「……」
何と答えたら良いか分からず黙っていると、フレッドが続ける。
「リオンと婚約者の事を話していただろう?」
その言葉に、肩が小さく跳ねてしまった――
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