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2章10 リオンの誘い
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その日の放課後。
「ユニス、一緒に帰らない? 学園の近くに可愛い手作り雑貨のお店が出来たの」
帰り支度をしていた私のところへ、エイダがやってきた。
「ごめんなさい。行ってみたいのはやまやまだけど、家に帰って試験勉強をしたいの」
「あ! そうだったわよね……ユニスはSSクラスの人と、試験で勝負をすることになっていたのだから。それなのに、私ったら買い物に誘うなんて……」
申し訳無さそうにエイダが俯く。
「いいのよ、そんなに気にしないで。それより私の方こそ、せっかく誘ってもらったのに断ってごめんなさい。だけど、試験が終わったら一緒に行きましょう?」
「分かったわ。なら、そこまで一緒に帰りましょう?」
「ええ、行きましょう」
こうして私とエイダは一緒に教室を出た。
2人で一緒に校舎のエントランスまで行くと、扉の前に立つリオンの姿が目に入った。彼の方はまだこちらに気づいていない。
「リオン……」
思わず、足を止めてしまった。もしかして、私を待っているのだろうか?
「見て、リオンよ。もしかしてユニスのことを待っているのかしら?」
エイダもリオンの姿に気づいたのか、私の耳もとで囁いてきた。
「そう……かもしれないわ」
あんなことがあったばかりだ。何となく、顔を合わせにくい。そのことにエイダも気づいたのだろう。
「ね、ユニス。出口はここだけじゃないわ。少し遠回りになるけれど、東口の出口に行かない?」
「エイダ……」
エイダの気持ちは嬉しい。だけどリオンから逃げてばかりもいられない。何より、私を待っているのなら尚更だ。来ない相手をいつまでも待たせるのは悪い気がした。
「ごめんなさい。せっかくの提案だけど、それじゃリオンに悪いわ」
「ユニスは本当に大人よね……分かったわ。だったら……え?」
「え……?」
次の瞬間。
生徒たちの中に紛れて、ロザリンが現れてリオンの元へ駆け寄っていった。
リオンはロザリンを笑顔で迎え、そこで2人は親しげに話しを始めた。
「「……」」
少しの間、その様子を私もエイダも隠れるように黙ってみたいたが……。
「ユニス……」
エイダが眉をひそめて私を見る。
「きっと、2人はあそこで待ち合わせしていたのかもしれないわね」
「だけどユニス。2人は同じクラスでしょう?」
「ロザリンは忘れ物でも取りに教室に戻っていたんのじゃないかしら?」
「そうかもしれないわね。それで、どうする? ユニス。あの2人、まだあんなところで話をしているけど?」
「そうね……」
流石に、あの2人の前を通って帰るのは気が引ける。
「……別の出口から帰りましょう」
「私もそれがいいと思うわ」
こうして私達は別の出口から校舎を出ることにしたのだった――
****
エイダはこの学園の寮に入っている。
「それじゃ、また明日ね!」
「ええ、また明日」
エイダと寮の前で別れ、学校専用の乗合馬車に向かって歩いているとき。
「ユニス! 待ってよ!」
突然背後からリオンの声が聞こえ、驚いて振り向いた。
私の方へ向かってリオンが駆け寄って来たのだ。
何故、リオンが追いかけてきたのだろう? ロザリンが一緒だと思っていたのに。
「良かった……会えて。エントランスでずっと待っていたんだけど、いつまでたってもユニスが来ないから探していたんだよ」
息を切らせながら駆け寄ってきたリオンがすぐに話しかけてきた。
「え? そうだったの?」
それでは、やはりリオンが待っていたのは私だったのか。
「うん、これから家に帰るんだよね?」
「ええ、そうよ」
「なら一緒に帰ろうよ。僕の馬車で送るから」
リオンと一緒に帰るのは2年ぶりのことだった。
きっと、朝の話をするために誘ってきたのだろう。やはり、何か文句を言われてしまうのだろうか?
2人で帰るのは気が重い。けれど……。
「それじゃ、家まで送ってくれる?」
私はリオンに笑顔を向けた――
「ユニス、一緒に帰らない? 学園の近くに可愛い手作り雑貨のお店が出来たの」
帰り支度をしていた私のところへ、エイダがやってきた。
「ごめんなさい。行ってみたいのはやまやまだけど、家に帰って試験勉強をしたいの」
「あ! そうだったわよね……ユニスはSSクラスの人と、試験で勝負をすることになっていたのだから。それなのに、私ったら買い物に誘うなんて……」
申し訳無さそうにエイダが俯く。
「いいのよ、そんなに気にしないで。それより私の方こそ、せっかく誘ってもらったのに断ってごめんなさい。だけど、試験が終わったら一緒に行きましょう?」
「分かったわ。なら、そこまで一緒に帰りましょう?」
「ええ、行きましょう」
こうして私とエイダは一緒に教室を出た。
2人で一緒に校舎のエントランスまで行くと、扉の前に立つリオンの姿が目に入った。彼の方はまだこちらに気づいていない。
「リオン……」
思わず、足を止めてしまった。もしかして、私を待っているのだろうか?
「見て、リオンよ。もしかしてユニスのことを待っているのかしら?」
エイダもリオンの姿に気づいたのか、私の耳もとで囁いてきた。
「そう……かもしれないわ」
あんなことがあったばかりだ。何となく、顔を合わせにくい。そのことにエイダも気づいたのだろう。
「ね、ユニス。出口はここだけじゃないわ。少し遠回りになるけれど、東口の出口に行かない?」
「エイダ……」
エイダの気持ちは嬉しい。だけどリオンから逃げてばかりもいられない。何より、私を待っているのなら尚更だ。来ない相手をいつまでも待たせるのは悪い気がした。
「ごめんなさい。せっかくの提案だけど、それじゃリオンに悪いわ」
「ユニスは本当に大人よね……分かったわ。だったら……え?」
「え……?」
次の瞬間。
生徒たちの中に紛れて、ロザリンが現れてリオンの元へ駆け寄っていった。
リオンはロザリンを笑顔で迎え、そこで2人は親しげに話しを始めた。
「「……」」
少しの間、その様子を私もエイダも隠れるように黙ってみたいたが……。
「ユニス……」
エイダが眉をひそめて私を見る。
「きっと、2人はあそこで待ち合わせしていたのかもしれないわね」
「だけどユニス。2人は同じクラスでしょう?」
「ロザリンは忘れ物でも取りに教室に戻っていたんのじゃないかしら?」
「そうかもしれないわね。それで、どうする? ユニス。あの2人、まだあんなところで話をしているけど?」
「そうね……」
流石に、あの2人の前を通って帰るのは気が引ける。
「……別の出口から帰りましょう」
「私もそれがいいと思うわ」
こうして私達は別の出口から校舎を出ることにしたのだった――
****
エイダはこの学園の寮に入っている。
「それじゃ、また明日ね!」
「ええ、また明日」
エイダと寮の前で別れ、学校専用の乗合馬車に向かって歩いているとき。
「ユニス! 待ってよ!」
突然背後からリオンの声が聞こえ、驚いて振り向いた。
私の方へ向かってリオンが駆け寄って来たのだ。
何故、リオンが追いかけてきたのだろう? ロザリンが一緒だと思っていたのに。
「良かった……会えて。エントランスでずっと待っていたんだけど、いつまでたってもユニスが来ないから探していたんだよ」
息を切らせながら駆け寄ってきたリオンがすぐに話しかけてきた。
「え? そうだったの?」
それでは、やはりリオンが待っていたのは私だったのか。
「うん、これから家に帰るんだよね?」
「ええ、そうよ」
「なら一緒に帰ろうよ。僕の馬車で送るから」
リオンと一緒に帰るのは2年ぶりのことだった。
きっと、朝の話をするために誘ってきたのだろう。やはり、何か文句を言われてしまうのだろうか?
2人で帰るのは気が重い。けれど……。
「それじゃ、家まで送ってくれる?」
私はリオンに笑顔を向けた――
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