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アゼリア&カイの章 ⑤ また…会えたね(アゼリアside)
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「アゼリア、こんなところにいたの?随分探したわよ?」
大学の図書館で探し物をしているとケイトがやってきた。
「あ、ごめんね。どうしても調べたいことがあったから」
「授業の後、突然用事が出来たと言っていなくなってしまうんだもの」
ケイトは頬を膨らませて私を見た。
「本当にごめんね。でも良く分かったわね。私が図書館にいるって」
「だってアゼリアは本を読むのが大好きじゃない。昔から…」
「え?昔から?そんな話、したことあったかしら?」
「あ…そう言えばどうしてかしら?何だか突然アゼリアが部屋で本を読んでいる姿が頭に浮かんだのよね…」
ケイトが腕組みしながら首をひねる。
「時々、ケイトって勘が鋭いわよね。でもその通りよ。小さい時から本を読むのは大好きだったわ」
「それで、読書好きのアゼリアは一体何の本を探しているのかしら?」
ケイトは私が手にしている本を覗き込んできた。
「え…?白血病の歴史…?さっきの授業、そんなに感銘を受けたの?突然泣き出したりしたし…」
「う~ん…感銘を受けたって言うか…何だかとても懐かしい気持ちがこみ上げてきて…それでいて、大切な何かを忘れてしまったような気がしたの。それでこの気持が何なのか…2人の医者の事を調べれば少しは分かる気がして…」
「そう言えばアゼリアが医者を目指したのって白血病の治療に人生を捧げた医者の話を知って、医学部の道を選んだって言ってたわよね?」
「ええ、そうなの。だからその先生達の事調べてみようかと思って。ネットで検索しても出てこなかったのよ」
「そうなのね?でもそろそろお昼休みが終わる頃よ?お昼ご飯食べに行かない?」
「ええ。そうね。行きましょうか?」
そして私は本をしまうと、ケイトと一緒に図書館を出た―。
****
「え?アゼリア…放課後も図書館へ寄って帰るの?」
講義終了後、2人で一緒に教室を出ながらケイトが怪訝そうな顔で私を見た。
「ええ。どうしても今日中に調べたくて…ケイトは今からアルバイトでしょ?」
「そうなの。今日はハドソンさんの家でシッター兼家庭教師のアルバイトがはいっているのよ」
「ケイトは子供好きだものね」
「ええ。私、子供大好きなの。もしこの先誰かと結婚したら子供が沢山欲しいわ。あ、勿論医者の仕事も両立させるつもりだけどね」
「ケイトなら大丈夫よ。だって家事も得意だもの」
「まぁね…両親は2人とも忙しい人だったから、家事は私が担当していたからね」
そんな会話を続けていると、やがて図書館が見えてきた。
「それじゃ、アゼリア。また明日ね」
「ええ、又明日」
ケイトと笑顔で手を振り合い、私は再び図書館へと向かった―。
大学の図書館で探し物をしているとケイトがやってきた。
「あ、ごめんね。どうしても調べたいことがあったから」
「授業の後、突然用事が出来たと言っていなくなってしまうんだもの」
ケイトは頬を膨らませて私を見た。
「本当にごめんね。でも良く分かったわね。私が図書館にいるって」
「だってアゼリアは本を読むのが大好きじゃない。昔から…」
「え?昔から?そんな話、したことあったかしら?」
「あ…そう言えばどうしてかしら?何だか突然アゼリアが部屋で本を読んでいる姿が頭に浮かんだのよね…」
ケイトが腕組みしながら首をひねる。
「時々、ケイトって勘が鋭いわよね。でもその通りよ。小さい時から本を読むのは大好きだったわ」
「それで、読書好きのアゼリアは一体何の本を探しているのかしら?」
ケイトは私が手にしている本を覗き込んできた。
「え…?白血病の歴史…?さっきの授業、そんなに感銘を受けたの?突然泣き出したりしたし…」
「う~ん…感銘を受けたって言うか…何だかとても懐かしい気持ちがこみ上げてきて…それでいて、大切な何かを忘れてしまったような気がしたの。それでこの気持が何なのか…2人の医者の事を調べれば少しは分かる気がして…」
「そう言えばアゼリアが医者を目指したのって白血病の治療に人生を捧げた医者の話を知って、医学部の道を選んだって言ってたわよね?」
「ええ、そうなの。だからその先生達の事調べてみようかと思って。ネットで検索しても出てこなかったのよ」
「そうなのね?でもそろそろお昼休みが終わる頃よ?お昼ご飯食べに行かない?」
「ええ。そうね。行きましょうか?」
そして私は本をしまうと、ケイトと一緒に図書館を出た―。
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「え?アゼリア…放課後も図書館へ寄って帰るの?」
講義終了後、2人で一緒に教室を出ながらケイトが怪訝そうな顔で私を見た。
「ええ。どうしても今日中に調べたくて…ケイトは今からアルバイトでしょ?」
「そうなの。今日はハドソンさんの家でシッター兼家庭教師のアルバイトがはいっているのよ」
「ケイトは子供好きだものね」
「ええ。私、子供大好きなの。もしこの先誰かと結婚したら子供が沢山欲しいわ。あ、勿論医者の仕事も両立させるつもりだけどね」
「ケイトなら大丈夫よ。だって家事も得意だもの」
「まぁね…両親は2人とも忙しい人だったから、家事は私が担当していたからね」
そんな会話を続けていると、やがて図書館が見えてきた。
「それじゃ、アゼリア。また明日ね」
「ええ、又明日」
ケイトと笑顔で手を振り合い、私は再び図書館へと向かった―。
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