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ケリーの章 ㉗ 待ちわびていたプロポーズ
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ボーン
ボーン
ボーン
リビングの振り子時計が午後4時を告げた。その音で私は我に返った。
「あ…そうだわ。そろそろ夕食の準備を…」
ソファから立ち上がり、私は思い出した。ローラさんが夕食の分として、色々食事を用意して行ってくれたことを。
「そう言えば…ローラさんが食事を作っていってくれたんだっけ…」
私は再びぼんやりとソファに身体を沈めた。最初は最近始めたばかりの刺繍をするつもりだったのにヨハン先生のお見合いの事が気がかりで手につかなかった。私は先生に日頃からお世話になっているので、その思いを込めて刺繍入のハンカチをプレゼントしようと密かに準備をしていた。けれど…。
「ヨハン先生は…もう受け取ってくれないかも知れないわ…」
お見合い相手と正式に結婚を前提にヨハン先生がお付き合いを始めたら、当然私はここに住めなくなるし、ましてや刺繍入りのプレゼントなんて尚更受け取ってくれないだろう。それに私だってトマスさんとお見合いをして、現在お付き合いのような事を続けている。トマスさんは私に好意を寄せてくれているのはもうはっきりしていた。私はヨハン先生の事が好きなので、気持ちを受け入れる事は出来ないけれども、ヨハン先生にトマスさんとの結婚を進められれば…受け入れざるを得ない。
「私って…ヨハン先生にとっては本当はお荷物だったのかしら…」
どうして私は生きているのだろう?アゼリア様の命のほうが…私の何倍も重いのに…。
その時―
勝手口の扉が開く音が聞こえ、バタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
え…?ヨハン先生…?どうしたのだろう…?思わず立ち上がって、リビングの扉を開ける為に近付いた途端、目の前で扉が思いきり開かれた。
「キャッ!」
突然扉が開かれ、小さな悲鳴が出てしまった。
「あ…ケ、ケリー…」
見るとヨハン先生が肩で息をしながら私を見ている。先生はきちんとスーツを着ていたけれども、髪が少し乱れている。
「あ、ヨハン先…」
次の瞬間…
「っ!」
私はヨハン先生に強く抱きしめられていた。
「え…?ヨ、ヨハン先生?」
一体何が起きているのだろう。夢では無いのだろうか?まさか…大好きなヨハン先生に抱きしめられているなんて…こんな事が現実にあるなんて…。
ヨハン先生は苦しくなるぐらい、強く強く私を抱きしめている。そして…肩が震えていた。
え…?先生、まさか…?
「良かった…」
「え?」
「ここに戻ってきたら…部屋の中が…薄暗かったから…ケリーにまた何か…あったんじゃないかと思って…いつもなら…この診療所には…夜になると優しいオレンジ色の明かりが…ケリーが灯してくれた明かりで…温かく…照らされていたのに…」
先生の声は涙声だった。
「ヨハン先生…」
先生はそれほどまでに私を心配して…?いくらアゼリア様から私を託されからと言って、そこまで責任を感じることは無いのに…。
けれど…次の瞬間、私は信じられない言葉を耳にする。
「ケリー…。好きだ…」
そしてより一層、ヨハン先生は強く私を抱きしめてきた―。
ボーン
ボーン
リビングの振り子時計が午後4時を告げた。その音で私は我に返った。
「あ…そうだわ。そろそろ夕食の準備を…」
ソファから立ち上がり、私は思い出した。ローラさんが夕食の分として、色々食事を用意して行ってくれたことを。
「そう言えば…ローラさんが食事を作っていってくれたんだっけ…」
私は再びぼんやりとソファに身体を沈めた。最初は最近始めたばかりの刺繍をするつもりだったのにヨハン先生のお見合いの事が気がかりで手につかなかった。私は先生に日頃からお世話になっているので、その思いを込めて刺繍入のハンカチをプレゼントしようと密かに準備をしていた。けれど…。
「ヨハン先生は…もう受け取ってくれないかも知れないわ…」
お見合い相手と正式に結婚を前提にヨハン先生がお付き合いを始めたら、当然私はここに住めなくなるし、ましてや刺繍入りのプレゼントなんて尚更受け取ってくれないだろう。それに私だってトマスさんとお見合いをして、現在お付き合いのような事を続けている。トマスさんは私に好意を寄せてくれているのはもうはっきりしていた。私はヨハン先生の事が好きなので、気持ちを受け入れる事は出来ないけれども、ヨハン先生にトマスさんとの結婚を進められれば…受け入れざるを得ない。
「私って…ヨハン先生にとっては本当はお荷物だったのかしら…」
どうして私は生きているのだろう?アゼリア様の命のほうが…私の何倍も重いのに…。
その時―
勝手口の扉が開く音が聞こえ、バタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
え…?ヨハン先生…?どうしたのだろう…?思わず立ち上がって、リビングの扉を開ける為に近付いた途端、目の前で扉が思いきり開かれた。
「キャッ!」
突然扉が開かれ、小さな悲鳴が出てしまった。
「あ…ケ、ケリー…」
見るとヨハン先生が肩で息をしながら私を見ている。先生はきちんとスーツを着ていたけれども、髪が少し乱れている。
「あ、ヨハン先…」
次の瞬間…
「っ!」
私はヨハン先生に強く抱きしめられていた。
「え…?ヨ、ヨハン先生?」
一体何が起きているのだろう。夢では無いのだろうか?まさか…大好きなヨハン先生に抱きしめられているなんて…こんな事が現実にあるなんて…。
ヨハン先生は苦しくなるぐらい、強く強く私を抱きしめている。そして…肩が震えていた。
え…?先生、まさか…?
「良かった…」
「え?」
「ここに戻ってきたら…部屋の中が…薄暗かったから…ケリーにまた何か…あったんじゃないかと思って…いつもなら…この診療所には…夜になると優しいオレンジ色の明かりが…ケリーが灯してくれた明かりで…温かく…照らされていたのに…」
先生の声は涙声だった。
「ヨハン先生…」
先生はそれほどまでに私を心配して…?いくらアゼリア様から私を託されからと言って、そこまで責任を感じることは無いのに…。
けれど…次の瞬間、私は信じられない言葉を耳にする。
「ケリー…。好きだ…」
そしてより一層、ヨハン先生は強く私を抱きしめてきた―。
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