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ケリーの章 ④ 待ちわびていたプロポーズ
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ヨハン先生と30分後に診療所を出る約束をすると自室に戻った。部屋に戻ると早速私はクローゼットの扉を開けた。そこにはハンガーに掛けられたアゼリア様が生前着用していたドレスがつりさげられている。そしてクローゼットの奥に置かれた箱を取り出すと、蓋をそっと開けた。箱の中には少しだけ黄ばんだ封筒が入っている。
「アゼリア様…」
この封筒の中に入っている手紙はアゼリア様から私に書かれた遺言状が入っている。私の宝物だ。
震える手で封筒を開け、二つ折りに畳まれた便箋を取り出し、手紙を広げた。
その手紙はアゼリア様が体調の悪い中…必死で書きあげた私宛の最後の手紙だった。私はもう一度その手紙を読むことにした―。
****
大好きなケリーへ
ケリー。貴女には本当に感謝しているわ。貴女がフレーベル家で私のメイドとして側にいてくれたから私は食事をする事が出来たし、いつもお洗濯済みの服を着ることが出来ました。本当に感謝してもしきれないわ。
けれど、その反面まだたった17歳の貴女をフレーベル家の使用人達から守って上げることが出来なくて申し訳ないことをしてしまったと思っているの。
貴女が私に仕えていることで他の使用人たちから虐められていたのは知っていたわ。なのに、貴女はいつも私の前で笑ってくれていたわね。本来なら貴女の主である私が守って上げなければならない立場だったのに、無力な私でごめんなさい。
実は今だから告げるけれども、本当はずっと貴女をフレーベル家から開放してあげなければと考えていたの。
私のメイドとしてあの屋敷で仕えている限り、使用人たちから虐められ続けるのは目に見えて分かっていたから十分な退職金を渡して自由にしてあげなければと思っていたのに…。
けれど私を慕ってくれる貴女が大好きだったから、何より私が1人になりたくなかったから、どうしても言い出せなかったの。
謝って許してもらえるとは思っていないけれども、謝罪させて下さい。
ケリー、本当にごめんなさい。
マルセル様に救い出されて、2人で一緒にここで暮らせるようになってからは貴女が見違えるように明るく笑う姿を見るのが大好きでした。
けれど、その反面私がケリーの笑顔を今迄奪っていたのかと思うと、申し訳ない気持ちで一杯です。
そこで今までのお詫びの気持ちとして、私の持っている服を受け取って下さい。貴女に私の服を着てもらえると嬉しいわ。
本当は貴女にもっと沢山伝えたい事が山程あるのに…あまり長い間机に向かってペンを握っていられるだけの体力が私にはもうありません。
ごめんなさい、ケリー。
そして、今まで本当にありがとう。
アゼリア
****
「アゼリア様…」
私の目から涙が込み上げて来る。手紙を濡らさないようにハンカチで涙を押さえた。
アゼリア様の手紙の最後の方は文字が震えている。余程無理をして手紙を書いたに違いない。そして…小さく滲んだ血の跡…。恐らく途中で出血をしてしまったのだろう。
「アゼリア様…私は貴女と出会ってから一度も自分が不幸だと思った事は…ありませんよ…。むしろアゼリア様に出会えて…本当に幸せでした…」
そして、手紙を箱にしまうと強く胸に抱きしめ…今は亡きアゼリア様を思って少しの間涙を流した―。
「アゼリア様…」
この封筒の中に入っている手紙はアゼリア様から私に書かれた遺言状が入っている。私の宝物だ。
震える手で封筒を開け、二つ折りに畳まれた便箋を取り出し、手紙を広げた。
その手紙はアゼリア様が体調の悪い中…必死で書きあげた私宛の最後の手紙だった。私はもう一度その手紙を読むことにした―。
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大好きなケリーへ
ケリー。貴女には本当に感謝しているわ。貴女がフレーベル家で私のメイドとして側にいてくれたから私は食事をする事が出来たし、いつもお洗濯済みの服を着ることが出来ました。本当に感謝してもしきれないわ。
けれど、その反面まだたった17歳の貴女をフレーベル家の使用人達から守って上げることが出来なくて申し訳ないことをしてしまったと思っているの。
貴女が私に仕えていることで他の使用人たちから虐められていたのは知っていたわ。なのに、貴女はいつも私の前で笑ってくれていたわね。本来なら貴女の主である私が守って上げなければならない立場だったのに、無力な私でごめんなさい。
実は今だから告げるけれども、本当はずっと貴女をフレーベル家から開放してあげなければと考えていたの。
私のメイドとしてあの屋敷で仕えている限り、使用人たちから虐められ続けるのは目に見えて分かっていたから十分な退職金を渡して自由にしてあげなければと思っていたのに…。
けれど私を慕ってくれる貴女が大好きだったから、何より私が1人になりたくなかったから、どうしても言い出せなかったの。
謝って許してもらえるとは思っていないけれども、謝罪させて下さい。
ケリー、本当にごめんなさい。
マルセル様に救い出されて、2人で一緒にここで暮らせるようになってからは貴女が見違えるように明るく笑う姿を見るのが大好きでした。
けれど、その反面私がケリーの笑顔を今迄奪っていたのかと思うと、申し訳ない気持ちで一杯です。
そこで今までのお詫びの気持ちとして、私の持っている服を受け取って下さい。貴女に私の服を着てもらえると嬉しいわ。
本当は貴女にもっと沢山伝えたい事が山程あるのに…あまり長い間机に向かってペンを握っていられるだけの体力が私にはもうありません。
ごめんなさい、ケリー。
そして、今まで本当にありがとう。
アゼリア
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「アゼリア様…」
私の目から涙が込み上げて来る。手紙を濡らさないようにハンカチで涙を押さえた。
アゼリア様の手紙の最後の方は文字が震えている。余程無理をして手紙を書いたに違いない。そして…小さく滲んだ血の跡…。恐らく途中で出血をしてしまったのだろう。
「アゼリア様…私は貴女と出会ってから一度も自分が不幸だと思った事は…ありませんよ…。むしろアゼリア様に出会えて…本当に幸せでした…」
そして、手紙を箱にしまうと強く胸に抱きしめ…今は亡きアゼリア様を思って少しの間涙を流した―。
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