102 / 107
5−23 秘密を明かす時
しおりを挟む
私とユベールは2人で窓を向くように置かれたソファに座り、美しい夜空を見上げていた。ユベールはいつでも剣を抜けるように背中に剣を差している。
「綺麗な満月ですね…」
大きな満月を見上げながら私は隣に座るユベールに言った。
「ああ、本当に見事な満月だな…」
「ユベール様」
私はどうしても聞きたいことがあり、ユベールに声を掛けた。
「何だ?」
「もし…ジュリエッタが襲ってきたらどうしますか?彼女を…切れるのですか?」
「当然切れるに決まってるだろう?ジュリエッタは…俺たちの敵なのだから」
ユベールの顔に戸惑いが浮かんでいた。
「何故、そんな事を聞くんだ?」
「だ、だって…ジュリエッタはユベール様とアンリ王子の…大切な幼馴染ですよね?」
すると突然ユベールが私の頭を引き寄せ唇を押し付けてきた。
「んっ…」
暫く無言で私とユベールは口付けを続けた。やがて…息も止まりそうな深い口付けが終わるとユベールが言った。
「ジュリエッタは…俺たちの幼馴染じゃない。あれは魔女だ。あの女はこの国を乗っ取るために俺たちに近付いたんだ。それに…俺に取って大切な存在はアンリ王子でもジュリエッタも誰でもない。お前だけだ、シルビア」
私の頬を両手ではさみ、熱を帯びた瞳のユベールに見つめられて私の心は高ぶった。今、この瞬間13回目の死がおとずれても、甘んじて受けいれられると思える程に…。
「ユベール様…先程の話の続きですけど…」
「ああ、ジュリエッタの話だろう?」
「はい。恐らくアンリ王子はジュリエッタに操られて…今回の婚約者選びの選定試験を開催したと思うのです。目的は…」
「お前を見つけ出すことだったんだろう?」
ユベールは私の肩を抱き寄せると言った。
「は、はい…」
ユベールの私の肩を抱き寄せる手に力が込められた。
「ジュリエッタが何故お前を探していたのか…本当の目的は分からないが、必ずお前の事は守ってやる。だから安心しろ」
ユベールはそう言ってくれるけれども…でも、私は不安だった。私は既に12回も様々な方法で殺されてきた。誰が私を殺し続けてきたか…今ならはっきり分かる。私はジュリエッタによって殺されてきたのだ。しかも恐ろしいことに彼女は自分で手を下さずに…。ジュリエッタは恐らくユベールを使って私を殺してきたのかもしれない。と言う事は…今回もひょっとすると私は…?
「ユベール様…私の話を聞いて頂けますか…?」
俯き、スカートの裾をギュッと握りしめながら私は口を開いた。
「どうした?」
「今迄…ずっとユベール様に秘密にしていたことがあります…。こんな話、しても信じて貰えないと思っていたから…でも、聞いて頂けますか…?」
「ああ、聞こう。安心しろ、シルビア。お前の話なら…俺はどんな話だって信じる」
どんな話だって信じる…。
ユベールのその言葉は涙が出そうになるほど嬉しかった。ユベールが私を信じてくれるなら、私もユベールを信じて自分の今迄誰にも告げたことのないデスループの話をしよう。
「ユベール様。私は…過去に置いて12回の死を遂げてきました」
私は語り始めた―。
「綺麗な満月ですね…」
大きな満月を見上げながら私は隣に座るユベールに言った。
「ああ、本当に見事な満月だな…」
「ユベール様」
私はどうしても聞きたいことがあり、ユベールに声を掛けた。
「何だ?」
「もし…ジュリエッタが襲ってきたらどうしますか?彼女を…切れるのですか?」
「当然切れるに決まってるだろう?ジュリエッタは…俺たちの敵なのだから」
ユベールの顔に戸惑いが浮かんでいた。
「何故、そんな事を聞くんだ?」
「だ、だって…ジュリエッタはユベール様とアンリ王子の…大切な幼馴染ですよね?」
すると突然ユベールが私の頭を引き寄せ唇を押し付けてきた。
「んっ…」
暫く無言で私とユベールは口付けを続けた。やがて…息も止まりそうな深い口付けが終わるとユベールが言った。
「ジュリエッタは…俺たちの幼馴染じゃない。あれは魔女だ。あの女はこの国を乗っ取るために俺たちに近付いたんだ。それに…俺に取って大切な存在はアンリ王子でもジュリエッタも誰でもない。お前だけだ、シルビア」
私の頬を両手ではさみ、熱を帯びた瞳のユベールに見つめられて私の心は高ぶった。今、この瞬間13回目の死がおとずれても、甘んじて受けいれられると思える程に…。
「ユベール様…先程の話の続きですけど…」
「ああ、ジュリエッタの話だろう?」
「はい。恐らくアンリ王子はジュリエッタに操られて…今回の婚約者選びの選定試験を開催したと思うのです。目的は…」
「お前を見つけ出すことだったんだろう?」
ユベールは私の肩を抱き寄せると言った。
「は、はい…」
ユベールの私の肩を抱き寄せる手に力が込められた。
「ジュリエッタが何故お前を探していたのか…本当の目的は分からないが、必ずお前の事は守ってやる。だから安心しろ」
ユベールはそう言ってくれるけれども…でも、私は不安だった。私は既に12回も様々な方法で殺されてきた。誰が私を殺し続けてきたか…今ならはっきり分かる。私はジュリエッタによって殺されてきたのだ。しかも恐ろしいことに彼女は自分で手を下さずに…。ジュリエッタは恐らくユベールを使って私を殺してきたのかもしれない。と言う事は…今回もひょっとすると私は…?
「ユベール様…私の話を聞いて頂けますか…?」
俯き、スカートの裾をギュッと握りしめながら私は口を開いた。
「どうした?」
「今迄…ずっとユベール様に秘密にしていたことがあります…。こんな話、しても信じて貰えないと思っていたから…でも、聞いて頂けますか…?」
「ああ、聞こう。安心しろ、シルビア。お前の話なら…俺はどんな話だって信じる」
どんな話だって信じる…。
ユベールのその言葉は涙が出そうになるほど嬉しかった。ユベールが私を信じてくれるなら、私もユベールを信じて自分の今迄誰にも告げたことのないデスループの話をしよう。
「ユベール様。私は…過去に置いて12回の死を遂げてきました」
私は語り始めた―。
10
お気に入りに追加
337
あなたにおすすめの小説
【完結】「ループ三回目の悪役令嬢は過去世の恨みを込めて王太子をぶん殴る!」
まほりろ
恋愛
※「小説家になろう」異世界転生転移(恋愛)ランキング日間2位!2022年7月1日
公爵令嬢ベルティーナ・ルンゲは過去三回の人生で三回とも冤罪をかけられ、王太子に殺されていた。
四度目の人生……
「どうせ今回も冤罪をかけられて王太子に殺されるんでしょ?
今回の人生では王太子に何もされてないけど、王子様の顔を見てるだけで過去世で殺された事を思い出して腹が立つのよね!
殺される前に王太子の顔を一発ぶん殴ってやらないと気がすまないわ!」
何度もタイムリープを繰り返しやさぐれてしまったベルティーナは、目の前にいる十歳の王太子の横っ面を思いっきりぶん殴った。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろうにも投稿しています。
闇黒の悪役令嬢は溺愛される
葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。
今は二度目の人生だ。
十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。
記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。
前世の仲間と、冒険の日々を送ろう!
婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。
だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!?
悪役令嬢、溺愛物語。
☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
【本編完結】美女と魔獣〜筋肉大好き令嬢がマッチョ騎士と婚約? ついでに国も救ってみます〜
松浦どれみ
恋愛
【読んで笑って! 詰め込みまくりのラブコメディ!】
(ああ、なんて素敵なのかしら! まさかリアム様があんなに逞しくなっているだなんて、反則だわ! そりゃ触るわよ。モロ好みなんだから!)『本編より抜粋』
※カクヨムでも公開中ですが、若干お直しして移植しています!
【あらすじ】
架空の国、ジュエリトス王国。
人々は大なり小なり魔力を持つものが多く、魔法が身近な存在だった。
国内の辺境に領地を持つ伯爵家令嬢のオリビアはカフェの経営などで手腕を発揮していた。
そして、貴族の令息令嬢の大規模お見合い会場となっている「貴族学院」入学を二ヶ月後に控えていたある日、彼女の元に公爵家の次男リアムとの婚約話が舞い込む。
数年ぶりに再会したリアムは、王子様系イケメンとして令嬢たちに大人気だった頃とは別人で、オリビア好みの筋肉ムキムキのゴリマッチョになっていた!
仮の婚約者としてスタートしたオリビアとリアム。
さまざまなトラブルを乗り越えて、ふたりは正式な婚約を目指す!
まさかの国にもトラブル発生!? だったらついでに救います!
恋愛偏差値底辺の変態令嬢と初恋拗らせマッチョ騎士のジョブ&ラブストーリー!(コメディありあり)
応援よろしくお願いします😊
2023.8.28
カテゴリー迷子になりファンタジーから恋愛に変更しました。
本作は恋愛をメインとした異世界ファンタジーです✨
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる