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1-12 息の詰まる夕食会
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カチャカチャ・・・
フォークとナイフの音が静かに聞こえてくる夕食の席・・・。
微妙な空気の中、食事が始まった。令嬢たちは互いをけん制しつつ会話をしていたが、話題に上るのはやはりジュリエッタ嬢の件だった。
「それにしても・・・何でしょうね。あのジュリエッタ嬢は・・・。」
「本当に気に入らない方ですね。アンリ王子の隣で楽し気に笑いあって・・。」
「ええ、全くですわ。彼女は婚約者候補に名を連ねることが出来ない身分なのに。私たちでさえ、おいそれとお話をする事が出来ないアンリ王子と楽し気に会話をして・・。」
「・・・。」
私は今度こそ死のループから抜け出すと心に決めている。だから些細な面倒ごとにも絶対に巻き込まれたくないので、気配を消して黙々と目の前の豪華なディナーを口に運んでいた。なのに・・・。
「あら?でも・・ここにアンリ王子に話しかけられた方がいらっしゃるじゃないですか?」
赤毛の意地悪そうな令嬢の言葉が私の背筋を凍らせた。恐る恐る顔を上げると。8つの目が私をじっと見つめていた。その目には・・どことなく敵意を感じる。
「ねえ・・貴女・・確かアンリ王子に名前も憶えられていましたわね?」
赤毛の女性は私から視線をそらさずに尋ねてきた。
「ええ、そうですわ。今回第1回目のテストでは120名の令嬢たちが勝ち残ったらしいですけど・・アンリ王子にとって顔と名前が一致している女性がいるなんて・・驚きだわ。一体アンリ王子とはどのような関係なのかしら?」
「そ、それは・・私が特別枠の招待状を持っていたからでは・・・無いでしょうか・・?」
「まあ!特別枠・・?!一体それは何かしらっ?!」
黒髪の気の強そうな令嬢がギロリと睨みつけてきた。
「あの・・・どうもアンリ王子の話ですと・・特別枠の招待状を貰った令嬢たちは・・過去に魔術師を輩出したことがある家柄の女性たちだったらしいです。」
こんな事ばらしてしまってもいいのだろうか?それにしても・・・。
うう・・本当に勘弁して欲しい。今まではこんなふうに初回から令嬢たちに目をつけられたことなど無かったのに・・13回目はスタートからして何もかもが違う。こんなに予想外の事ばかり起きてしまえば自分の死期すら早まってしまいそうな気がする。
「まあ・・魔術師ですって・・・。あんなのは言い伝えではありませんの?」
「ええ。この世に魔法を使える人間がいるなんて・・そんな夢物語みたいな事があるはずないじゃないですか。」
「全く馬鹿らし・・・・ヒッ!」
突如、私の向かい側に座っていた1人の令嬢が怯えたように小さく悲鳴を漏らした。そして何故か私の方を見て青ざめている。彼女の隣に座っていた令嬢もカタカタと震えている。
一体何をそんなに怯えているのだろう・・。私は何気なく背後を振り向き・・息を飲んだ。そこにはユベールが立っていたからだ。
彼は私たちの会話を聞いていたのだろうか。怒りのまなざしで魔術師を馬鹿にした話をした令嬢を睨みつけていた。
「そこのお前・・今、アンリ王子を愚弄するような事を話していなかったか?」」
その声は・・・とても冷淡だった。
「い・いえ・・と、とんでもありません・・。ア・アンリ王子を愚弄だなんて・・そ、そんな恐れ多い・・・。」
令嬢はガタガタ震えながらも何とか答える。
「そうか・・・ならいいが・・くれぐれも軽はずみな言葉は口にするな。そして・・そこのお前。」
突如ユベールは私をじろりと見た。
「は、はいっ!ユベール様っ!」
こ、殺されるっ!
「ん・・・?お前何故俺の名前を知っている?」
ユベールは警戒心を表す目で私を見る。し、しまった・・・!
「あ、あの・・そ、それはアンリ王子様が・・あ、貴方の事をユベールと呼んでいたからです・・!」
「ふ~ん・・そうだったか・・?」
私はとっさに嘘をついてしまった。あの部屋ではアンリ王子はユベールの名を呼んではいないが・・彼自身はそのことに気づいていないようだった。
「まあいい・・。後で部屋に迎えをよこすから待っていろ。」
「え・・?」
何とも要領を得ないユベールの言葉だったが、これ以上ボロを出さない為に、私は返事をした。
「はい。分かりました。」
と―。
フォークとナイフの音が静かに聞こえてくる夕食の席・・・。
微妙な空気の中、食事が始まった。令嬢たちは互いをけん制しつつ会話をしていたが、話題に上るのはやはりジュリエッタ嬢の件だった。
「それにしても・・・何でしょうね。あのジュリエッタ嬢は・・・。」
「本当に気に入らない方ですね。アンリ王子の隣で楽し気に笑いあって・・。」
「ええ、全くですわ。彼女は婚約者候補に名を連ねることが出来ない身分なのに。私たちでさえ、おいそれとお話をする事が出来ないアンリ王子と楽し気に会話をして・・。」
「・・・。」
私は今度こそ死のループから抜け出すと心に決めている。だから些細な面倒ごとにも絶対に巻き込まれたくないので、気配を消して黙々と目の前の豪華なディナーを口に運んでいた。なのに・・・。
「あら?でも・・ここにアンリ王子に話しかけられた方がいらっしゃるじゃないですか?」
赤毛の意地悪そうな令嬢の言葉が私の背筋を凍らせた。恐る恐る顔を上げると。8つの目が私をじっと見つめていた。その目には・・どことなく敵意を感じる。
「ねえ・・貴女・・確かアンリ王子に名前も憶えられていましたわね?」
赤毛の女性は私から視線をそらさずに尋ねてきた。
「ええ、そうですわ。今回第1回目のテストでは120名の令嬢たちが勝ち残ったらしいですけど・・アンリ王子にとって顔と名前が一致している女性がいるなんて・・驚きだわ。一体アンリ王子とはどのような関係なのかしら?」
「そ、それは・・私が特別枠の招待状を持っていたからでは・・・無いでしょうか・・?」
「まあ!特別枠・・?!一体それは何かしらっ?!」
黒髪の気の強そうな令嬢がギロリと睨みつけてきた。
「あの・・・どうもアンリ王子の話ですと・・特別枠の招待状を貰った令嬢たちは・・過去に魔術師を輩出したことがある家柄の女性たちだったらしいです。」
こんな事ばらしてしまってもいいのだろうか?それにしても・・・。
うう・・本当に勘弁して欲しい。今まではこんなふうに初回から令嬢たちに目をつけられたことなど無かったのに・・13回目はスタートからして何もかもが違う。こんなに予想外の事ばかり起きてしまえば自分の死期すら早まってしまいそうな気がする。
「まあ・・魔術師ですって・・・。あんなのは言い伝えではありませんの?」
「ええ。この世に魔法を使える人間がいるなんて・・そんな夢物語みたいな事があるはずないじゃないですか。」
「全く馬鹿らし・・・・ヒッ!」
突如、私の向かい側に座っていた1人の令嬢が怯えたように小さく悲鳴を漏らした。そして何故か私の方を見て青ざめている。彼女の隣に座っていた令嬢もカタカタと震えている。
一体何をそんなに怯えているのだろう・・。私は何気なく背後を振り向き・・息を飲んだ。そこにはユベールが立っていたからだ。
彼は私たちの会話を聞いていたのだろうか。怒りのまなざしで魔術師を馬鹿にした話をした令嬢を睨みつけていた。
「そこのお前・・今、アンリ王子を愚弄するような事を話していなかったか?」」
その声は・・・とても冷淡だった。
「い・いえ・・と、とんでもありません・・。ア・アンリ王子を愚弄だなんて・・そ、そんな恐れ多い・・・。」
令嬢はガタガタ震えながらも何とか答える。
「そうか・・・ならいいが・・くれぐれも軽はずみな言葉は口にするな。そして・・そこのお前。」
突如ユベールは私をじろりと見た。
「は、はいっ!ユベール様っ!」
こ、殺されるっ!
「ん・・・?お前何故俺の名前を知っている?」
ユベールは警戒心を表す目で私を見る。し、しまった・・・!
「あ、あの・・そ、それはアンリ王子様が・・あ、貴方の事をユベールと呼んでいたからです・・!」
「ふ~ん・・そうだったか・・?」
私はとっさに嘘をついてしまった。あの部屋ではアンリ王子はユベールの名を呼んではいないが・・彼自身はそのことに気づいていないようだった。
「まあいい・・。後で部屋に迎えをよこすから待っていろ。」
「え・・?」
何とも要領を得ないユベールの言葉だったが、これ以上ボロを出さない為に、私は返事をした。
「はい。分かりました。」
と―。
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